三菱電機でまたパワハラか。女性従業員が四畳半“監禁部屋”の撤去訴え団体交渉
エアコンも電話もない四畳半の部屋で、トイレの出入りも監視されている。そんな労働環境が想像できるだろうか。
11月16日、三菱電機に勤める女性が就労環境の改善を求め、電機・情報ユニオンを通して同社との間で団体交渉が行われた。この女性の勤務先は、大船駅から車で10分ほどの同社工場(鎌倉市上町屋325)。配属部署は「インフォメーションシステム事業推進本部 インフォメーションシステム事業部」で、 業務部長という肩書きながら、工場内の小さな個室で一人就労していた(現在は休職中)。
個室は画像中央付近の9工場3階にある(画像提供:電機・情報ユニオン)
(三菱電機株式会社ホームページより一部抜粋、赤枠部分加工)
女性の主張によると、2017年4月から勤務している個室には、当初エアコンが設置されておらず、夏場は扇風機で暑さをしのぐ状態。内線電話もなく、外部と連絡を取る設備は緊急用のナースコールのみだったという。
このような労働環境の中、女性は2017年6~8月の勤務時間中に複数回にわたって倒れ、緊急搬送された。それ以降、エアコンと電話は設置されたものの、電話は総務課のみに通話することができる限定的な設備だという。
この労働環境をめぐっては、2019年に中央労働基準監督署が調査に立ち入っている。
その調査によると、部屋の広さは縦3.5m×横3.1mで四畳半ほど。廊下に面した壁の一部とドアはすりガラスになっており、窓には緑色のカーテンとブラインドが取り付けられていた。部屋の入口、および同フロアにある女子トイレの前には防犯カメラが設置。女性は中央労働基準監督署の聞き取りに対し「トイレに行くたびに監視されていると感じていました」と語っていた。団体交渉を申し入れる際、女性はこの部屋を“監禁部屋”と表現している。
女性が主張する“監禁部屋”について、東京・丸の内にある本社では把握しているのだろうか。弁護士JPニュースが三菱電機に問い合わせたところ、女性従業員が個室で仕事をしていたのは事実としながらも、「断じて監禁・リストラを目的としたものではない」との認識を示した。
また、女性が「監視されている」と感じていたという防犯カメラについては「工場という場所柄、防犯上の観点から各フロアに設置されています。決して従業員個人を監視するものではありません」とのことだった。女性が部長という肩書きながら個室で仕事をしている経緯については「事実関係を含めて団体交渉の中で話し合う予定なので、現時点では回答を差し控えたい」としている。
三菱電機では、2014~17年にかけて長時間労働などを原因に自殺した2人を含む5人が労災認定され、2019年には上司からのパワハラに耐えかねた新入社員が自殺するなど、労働環境を巡る問題がたびたび明るみになっている。こうした状況を重く受け止め、同社は2020年1月より「職場風土改革プログラム」に取り組みながらも、同年度のパワハラ相談窓口への相談件数はグループ全体で330件にも及んでいるという。
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