袴田事件「専門的知見」に基づく鑑定書に対し、検察側は反論の意見書提出へ
いわゆる「袴田事件」の差し戻し審後、4回目となる三者協議(裁判所、弁護団、検察官)が11月22日に行われ、弁護団が会見を開いた。
袴田事件は1966年(昭和41年)に静岡市清水区(旧:静岡県清水市)で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した袴田巌さん(85)は無実を訴え、再審・裁判のやり直しを求めている。
昨年12月に、最高裁が東京高裁の決定を破棄して審理を差し戻したことを受け、8月に裁判所、検察と弁護側が意見を交わす三者協議が都内で進められていた。差し戻し審の課題となったのは、袴田さんが逮捕された約1年2か月後に現場近くのみそタンクから見つかった、犯人のものとされる5点の衣類に付いた血痕の「赤み」に関するもの。
弁護側は、「みそ漬けされた血液の色調の変化」について、実証実験を行い、得られた結果について複数の専門家に鑑定を依頼。専門的知見に基づき、5点の衣類の犯行着衣性、袴田さんの犯人性に合理的疑いを生じさせるとした鑑定書、意見書を11月5日東京高裁に提出していた。
今回の三者協議では、提出したものが新証拠として検察側が認めれば、ただちに再審開始、即時抗告を取り消す旨を求めていたが、検察は反論の姿勢を表明。裁判所からは、なるべく早期の反論(検察側)が求められたものの、検察側は反論の意見書については専門家らの意向もあり、来年2月末(25日)に提出される見通しであるという。
これに対し、弁護団の小川秀世弁護士は、「今度の提出意見は総括的な反論をお願いしたいと指示している。(期日が)長すぎて残念だが、やむを得ない」との認識を述べた。
会見に同席した袴田巌さんの姉ひで子さんは、今回の期日について、「55年も闘っている。長い、短いと言っている暇はない」と話す。袴田さんの近況については、「血糖値も安定している。腰が痛いと杖をついているが、健康には自信があるようです」(袴田ひで子さん)と元気である様子も語られた。
2022年2月末に提出される検察側の反論の意見書をもとに、3月14日(13:30)に再び三者協議が行われる予定。
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