進路妨害の「路上駐車」VSバス運転手“猛クラクション”警告がSNS拡散で泥沼炎上… 法律違反はどちら?
11月3日、住宅街の“バス通り”に路上駐車をした車の運転手が、バス乗務員から注意を受ける動画をTwitterに投稿し、“炎上”するという騒動があった。
投稿者は、「(乗務員に)クラクション鳴らされまくって怖かった」とツイートしており、バス会社の対応を“炎上させたかった”ものと思われるが、他のユーザーらからは「叱られて当然だ」と非難され、逆に自身が“炎上”したものだ。
投稿者は、あらかじめ炎上狙いだったため、自身の素性がバレないよう、いわゆる“捨てアカウント”を利用して動画を投稿しており、騒動から1か月以上が経過した今も新たな動きはない。
ハザードつけて路上駐車してたらバスの運転手にクラクション鳴らされまくって怖かった。#あおり運転#関東バス pic.twitter.com/OGgzEsh8jn
— たいじゅ (@MM90B9BUGaMZV95) November 2, 2022
騒動はなぜ起きた?
報道によると、バス乗務員は通行の妨げになっている路上駐車の車を発見し、クラクションを何度か鳴らして警告したが、車が動かなかったという。
路上駐車があった場合は、ナンバープレートを控え、営業所に報告。これを受けた営業所が警察に連絡する、という会社の取り決めに従い、乗務員はナンバープレートを控えるためにバスを降車して、止まっていた車に近づいた。すると、動かなかった車の中に、運転手らが乗車していたことがわかり注意した。
一方、自動車の運転手か同乗者によってSNSに投稿された動画は、乗務員がバスを降車して近づいてきているところから録画されている。
乗務員が「どんだけ注意したと思って…ずっとここ(車内)にいたってことでしょ。(クラクションを鳴らされてることは)分かってて、ずっとわざといたってことでしょ?」と尋ねると、運転手は「そんなに(クラクション)鳴らす必要ないんじゃないの? みんな通っていたけど、バスとか」と反論。
しかし乗務員が「通ってたバスがあるんだね」と聞き返すと、「知らないけど。車とか通ってたけど」と発言が一転した。これに対し乗務員は「車は通れるに決まってんだろ! バスの車体の幅、どんぐらいか分かってんの?」と声を荒らげた。
言い返せないと思ったのか運転手が「じゃあ、まあいいけど。とりあえず、もう大丈夫」と反応、乗務員がバスに乗り込むところで動画は終わっている。
動画のやり取りでは全容が分かりにくいが、実際の現場は、車通りが多く、道幅も想像より狭い。「路上駐車禁止」の看板も目につき、周辺にコインパーキングが多くあるのも印象的だ。路線バスの車幅を考えると、“一時的”でも車を停車してもいい場所には到底見えなかった。
世間の反応は「路上駐車する方が悪い」
“捨てアカウント”に投稿されたツイートは〈#あおり運転 #関東バス〉と拡散を促す「#」(ハッシュタグ)が使われていた。実際に、投稿者の思惑通り、1.1万を超えるリツイートがなされ、4000件を超える返信がついている(2022年12月15日現在)。
しかし、投稿者は意図しなかった反応に驚いたのではないだろうか。その返信のほとんどすべてが、〈ハザードをつけたらどこに停めても良いと思ってるの? 〉〈免許返納してください! 〉などと投稿者を批判するものだったからだ。中には〈道路交通法に違反しているのでは 〉と法律に違反していることを指摘するリプライもあった。
騒動の舞台となった関東バスは、報道機関の取材に対して乗務員の行動は「間違っていた」として、車の運転手に謝罪したと語っているが、SNSでは「間違ったことはしていないのでは?」「会社はクレーマーではなく運転手を守るべき」といった反応もあった。
市民感情としては成敗がついたといえるが、この騒動の問題はどこにあったのだろうか。交通事故の対応を多く手掛ける、海嶋文章弁護士に話を聞いた。
道路交通法上、乗務員と運転手の違法性は?
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