高速道路の渋滞で「3割増」“事故発生リスク”を避ける運転マニュアル
昨年の年末年始(12月29日〜1月4日)にJAFが受け付けたロードサービス件数は5万9542件(前年比5497件増)。コロナ禍3回目の年末年始となる今年は、人の動きも活発になると見られており、NEXCO東日本なども高速道路での渋滞による事故多発に注意を呼びかけている。
渋滞時の事故「通常時の2~3割増える」
渋滞時は、通常時に比べてどのくらい事故が増えるのだろうか。NEXCO東日本の担当者によれば、「交通混雑期は通常期と比べて事故件数が2〜3割程度増加する傾向にあります。特に渋滞の中や後ろでの追突事故が起きやすくなりますので、いつも以上に慎重な運転を心がけてください」とのこと。
今年の渋滞予測は以下。高速道路を利用する場合は「可能な限り」ピークを避けるべきであろう。
「ドライバーの心がけ」で渋滞がなくなる?
前出・NEXCO東日本の担当者は年末年始の事故増加について、「渋滞の約7割が交通集中(いわゆる自然渋滞)を原因として発生しています(※1)」と、その原因について指摘する。このような渋滞は、ドライバー1人ひとりの“ちょっとした心がけ”が、緩和への糸口になるという。
(※1)NEXCO東日本管内、2021年のデータ
渋滞緩和のためにドライバーができることとして、NEXCO東日本は以下3点を挙げている。
①上り坂での速度低下に注意
「交通集中渋滞が発生している箇所を見てみると、サグ部(※2)・上り坂が約6割となっています(※3)。
(※2)下り坂から上り坂になるV字の箇所
(※3)NEXCO東日本管内、2021年のデータ
サグ部・上り坂でのドライバーの無意識な速度低下を抑制することで、渋滞軽減効果が見込まれます。上り坂など、速度低下を注意喚起している場所では、ご注意いただければと思います」(NEXCO東日本・担当者)
②車間距離をつめ過ぎない
「渋滞の大半は後続車へブレーキが伝搬することで発生し、増幅していきます。適切な車間距離を確保することでクッションの役割を果たし、後続車にブレーキが伝わるのを防ぎます。
混雑時に意識していただきたいのは、車間距離を時間で計る『車間時間(※4)』です。適切な車間時間としては、普通車の場合で『約2秒』を心がけてください。
(※4)標識柱や照明柱などを目印に定めて、前方の車両がそこを通過してから自車が通過するまでの時間で車間距離を図る方法。欧米諸国では一般的な安全確認方法として用いられている
確保すべき車間距離は自車の速度に応じて変化しますが、車間時間の場合には自車の速度によらず、常に同じ値を目安にすることができる利点があります」(NEXCO東日本・担当者)
③車線変更は控える
「むやみな車線変更は後続車にブレーキを踏ませる原因となり、渋滞を発生・悪化させるばかりか、事故の発生リスクも高めてしまうため控えてください。事故などによって車線が制限されている場合を除き、渋滞時においては基本的にはどの車線を走行しても進み方に大きな差はありません。」(NEXCO東日本・担当者)
冬ならではの「危険スポット」は?
日本気象協会によれば、年末年始は太平洋側は晴れるものの、北海道や本州の日本海側では断続的に雪が降り、積雪が増える見込みとのこと。雪道では、視界不良やスリップなどでさらに事故が発生しやすくなるため、注意が必要だ。
「雪道を運転する場合は、追突防止のために通常よりも車間距離を十分にとるようにしてください。車間距離が短いと、路面状況を把握することも困難になります」(NEXCO東日本・担当者)
もし事故に遭ったら…
高速道路で事故に遭い、やむを得ず車を止めたり車外へ出たりした人が、後続車にはねられ死亡する事故は決して少なくない。万が一の場合は、どのように行動すればよいのだろうか。
「事故を起こした際には、車両の中や周りにとどまらず、ガードレールの外側など安全な場所へ避難することが大切です。特に冬季は、視界不良により後続車が停止車両に気づいていない場合があります」(NEXCO東日本・担当者)
久しぶりの帰省や旅行という人もいるだろう。十分に気を付けて出かけてほしい。
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