子育て世帯9割「所得制限撤廃すべき」 5000人超調査 “異次元の少子化対策”親たちの評価は?

弁護士JP編集部

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子育て世帯9割「所得制限撤廃すべき」 5000人超調査 “異次元の少子化対策”親たちの評価は?
記者会見でアンケート結果を発表する「子育て支援拡充を目指す会」(2月9日/弁護士JP編集部)

今国会でもっとも注目を集めている議題のひとつが「児童手当の所得制限撤廃」など、子育て関連制度の改善だろう。岸田総理は年頭に「異次元の少子化対策」を掲げたが、子育てしている当事者たちが本当に求めているのは、どのような対策なのだろうか。

子育て中の親たちからなる市民団体「子育て支援拡充を目指す会」は9日、当事者を対象に行ったアンケートの結果を発表した。アンケートの実施期間は1月29日〜2月6日とわずか1週間ほどだったが、5304人から回答が得られたという。

6割以上の世帯が“産み控え”している

まずアンケートから見えてきたのは、6割以上の世帯で「希望する子どもの数」と「現実的に持てそうな子どもの数」が乖離(かいり)している、いわゆる“産み控え”が起こっているという現状だ。

赤枠内が“産み控え”している世帯の割合

では具体的に、どのような支援が充実すれば、子どもを追加で持てるようになると当事者は考えているのか。上位を占めたのは、以下3項目だった。

  • 子育てにかかる継続的な経済的負担軽減(減税および給付の拡充)
  • 教育費の負担軽減(高校授業の完全無償化・大学費用の補助の充実)
  • 義務教育の完全無償化(給食費・教材費)、0~2歳の保育料の負担低減
アンケートより「どのような支援が充実したら子どもを追加で欲しいか」

なおこの結果に、回答者の地域や属性(性別、就労状況、所得制限の有無)による差は見られなかったという。

「異次元の少子化対策」子育て当事者の評価は

また現在、政府が提示している「異次元の少子化対策」を、当事者たちはどう見ているのだろうか。

アンケートでは「児童手当の拡充」「保育士待遇改善」「男性の長時間労働の是正」などが高評価だということが分かった。その一方、妊娠期、出産・産後、育児期の各段階において妊婦やその家族に寄り添った相談体制をとる「伴走型相談支援」については「別のことに予算を使ってほしい」という反対意見が多かった。この理由を、アンケートを実施した「子育て支援拡充を目指す会」は「産前産後の面会に出向かなければいけないなど、当事者が希望する労働的負担の軽減と矛盾するため」と見ている。

アンケートより「政府が提示している『異次元の少子化対策』について」

所得制限、9割が「撤廃するべき」と回答

アンケートの自由記述欄でもっとも多く登場したキーワードは「所得制限」だった。また所得制限関連のアンケート項目では、88.84%が「子どもへの支援は親の所得に関係なく平等にすべきだ」と回答しており、属性に関係なく所得制限の撤廃が望まれていることがうかがえる。

また障害児福祉についても、健常児以上に負担が大きいのにもかかわらず、所得制限が設けられているのが現状だ。こちらは「所得制限撤廃をすべき」が83.4%、「所得が高い世帯の子どもも、一部給付・助成をすべき」が10.5%という結果に。障害児を抱える当事者のみならず、ほとんどの人が支援や治療を適切に受けられるようにすべきと考えていることが分かった。

アンケートは国に提出

「子育て支援拡充を目指す会」は9日、和田義明内閣府副大臣に面会し、アンケートをまとめた要望書を提出した。会の代表・工藤健一さんによると、要望書を受け取った和田副大臣は「5000人以上の当事者の声が集まったアンケートは非常に大きなサンプル。当事者にしっかり話を聞くことは岸田総理も望んでおり、制度設計に生かしていきたい」と話したという。

※記事中の図表はすべて「“異次元の少子化対策”に求める子育ての当事者アンケート結果」(https://children1st.jp/posts/8/)より

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