「反応が見たかった」卑劣な“AirDrop痴漢”男性も被害 「わいせつ画像じゃなくても」逮捕されるリスクも?

弁護士JP編集部

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「反応が見たかった」卑劣な“AirDrop痴漢”男性も被害 「わいせつ画像じゃなくても」逮捕されるリスクも?
“エアドロ痴漢”はれっきとした犯罪行為だ(aijiro/PIXTA)

1月17日、アップル社製品に搭載されている通信機能「AirDrop(エアードロップ)」を使用して、見知らぬ人にわいせつな動画や画像を送る「AirDrop痴漢(略称:エアドロ痴漢)」をしたとして、病院職員の男性(24)が東京都迷惑防止条例違反の疑いで書類送検された。

男性は昨年8月、東京都葛飾区のJR亀有駅構内のエスカレーターで20代の女性のスカート内を盗撮。その画像を「AirDrop」を使用して女性本人に送ったとされる。男性は調べに対し容疑を認め、「女性の反応を見てスリルを味わいたかった」と供述したという。

これら「エアドロ痴漢」の“被害”だが、じつは男性にも及ぶケースがある。

2019年7月、福岡市中央区を走行中の地下鉄で面識のない男性(34)に対し、女性の裸の画像を送りつけたとして、男性(37)が県の迷惑防止条例違反容疑で書類送検された。加害者の男性は容疑を認めた上で、「受信した相手の反応が見たかった」と話したとされる。

さらに「エアドロ痴漢」の現場も、電車内とは限らない。

昨年9月には、京都市で飲食店内の客に、自身が盗撮した女性の動画を送りつけたとして、男性(20)が府の迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されている。

SNS上での被害報告も多いがれっきとした“犯罪行為”

エアドロ痴漢は送受信の履歴が残らないことから事件化しづらい面があり、被害はSNS上で共有されることも多い。

アップル社は、2019年10月に「AirDrop」の仕様を一部変更(iOS 13より)し、受け入れる前にも表示されていた“プレビュー画像”の表示を取りやめた。これによって突然、わいせつ画像などを見させられるということはなくなったが、前出の通り2019年以降もエアドロ痴漢行為自体はなくなっていない。

加害者は「いたずら」気分で行う人が多いのだろう。しかしエアドロ痴漢はれっきとした犯罪行為であり、被害者が警察に被害届を提出すれば、書類送検や逮捕されてしまう可能性もある。

実際に書類送検や逮捕者の報道などをみると、各自治体の「迷惑行為防止条例違反」の容疑がかけられていることが多いが、刑法の「わいせつ物頒布罪」の成立要件も満たす可能性がある。

東京都の場合、迷惑防止条例違反は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金。わいせつ物頒布罪が成立すれば、2年以下の懲役または250万円以下の罰金もしくは科料で処罰される。

脅迫罪に当たる可能性も

AirDropを利用した迷惑行為について、盗撮などの刑事事件に多く対応する空田晃典弁護士は、罪に問われるのは「わいせつ画像」を送りつけた場合に限らないと話す。

「たとえば、人の死体の写真などを送った場合には、送った相手の生命に対する害悪の告知として、『脅迫罪』が成立する可能性があると思います」(空田弁護士)

脅迫罪は「害悪を告知して人を畏怖させた場合」に成立する。ホラー映像やスプラッタ画像なども、送り付けたことで逮捕される可能性があると言えるだろう。

もし誤ってわいせつな画像・動画や人を怖がらせるような文言を送ってしまい、受け取った相手から被害届が出された場合、どのように対応するべきなのか。

「故意がないと犯罪は成立しませんので、黙秘した上で、弁護士に依頼する対応を行うことが適切です」(空田弁護士)

Apple社による改善

Apple社はAirdropの改善をはかっており、現在は連絡先などを知らない「すべての人」からのデータの受け入れは、端末所有者が受け入れを許可した10分に限定される形になった。(※最新のOSである「iOS 16.2」から有効)

「すべての人」にして10分経つと自動的に「受信しない」にシフトされる

この施策によって被害が減ることを期待したい。

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