18歳がもっとも“信頼している”機関は「裁判所」!? 8割超“政治不信” Z世代の意外な社会意識とは
選挙権が与えられ、2022年4月からは「成人」として扱われるようになった「18歳」が、何を考え、社会をどう見ているのか――。
日本財団は全国の17〜19歳の男女を対象に、「恋愛・結婚観」「働く」など、さまざまなテーマについてインターネットアンケートを行う「18歳意識調査」を継続的に行っている。その第54回となる「国会と政治家」をテーマにした調査の結果が2月末に公表され、政治に関わる機関を「信頼している」と回答した人は20%程度だったのに対し、裁判所を「信頼している」と回答した人は過半数以上いたことがわかった。
若者の8割超、日本の政治「クリーンでない」
「信頼している」「どちらかというと信頼している」と回答した人がもっとも多かった機関は「裁判所」で55.8%、2位は「中央省庁」で30.3%だった。一方、内閣、国会、与党、野党などの政治に関わる機関については「信頼していない」「どちらかというと信頼していない」と回答した人が軒並み50%を超える結果となった。
では若者たちは、政治について具体的にどのような印象を抱いているのか。「あなたは、今の日本の政治について、どのような印象を持っていますか」という質問に対し、「クリーンである」と“思わない”人は81.3%。その他「期待ができる」「日本社会をよい方向に導いている」「民意をよく反映している」など、すべての項目においておおむね70%以上の人が否定的な回答をした。
過半数以上の若者が「政治に関心ある」
今の日本の政治に「関心がある」「どちらかというと関心がある」と回答した人は54.9%と、全体の過半数を占める結果となった。
その理由に関する質問では「自分の現在または将来に関係のあることだから」「18歳から有権者として、投票に行くから」「日本の社会全般にとって、政治の動向は重要なことであるため、知っておきたいから」などが上位だった。
一方「どちらかというと関心がない」「関心がない」と回答した人の理由としては「支持する政党や政治家がいないから」「政治に関わる機関や政治家に期待をしていないから」などが上位という結果になった。
国会は「有意義な政策論議の場」になっていない
現在、まさに通常国会が開かれている最中だが、若者たちは国会の現状に対して、どのような意見を持っているのだろうか。
アンケートでは「現状の国会は、有意義な政策論議の場となっていると思いますか」という質問に対し「そう思う」「どちらかというとそう思う」と回答した人は19.3%。一方「そう思わない」「どちらかというとそう思わない」と回答した人は52.3%だった(残り28.4%は「わからない」と回答)。
「有意義な政策論議の場となっていない」理由としては、「欠席している議員や、居眠りや内職等議論に参加していない議員がいるから」「不祥事の追及など、政策に関係のない議論が多いと感じるから」などが上位だった。
また「現状の国会は、若者の意見が取り入れられやすい場となっていると思いますか」という質問には、64.6%が「そう思わない」「どちらかというとそう思わない」と回答。これには「高齢な議員が多く、若者の立場からの意見が少ないから」「若者の投票率が低いから」「若者にとってよい政策を行おうとする議員が少ないと思うから」といった意見が多く寄せられた。
では若者たちは、政治や国会を改善するために何が必要だと考えているのか。
「国会を現在よりもよく機能させるためには、何が必要だと思いますか」という質問には「より多くの若手議員の選出」「インターネットなどにおいて、国民の意見を表明すること」「投票率の上昇によって、国民の意見を表明すること」などが上位にあがった。
若者への信頼獲得に向けた取り組みが必要
今回の調査では、政治に対して多くの若者が関心を持つことが明らかになった一方、現状の政治に対する評価の低さも際立った。「信頼できる機関」として裁判所が断トツで1位になったのは、法治国家の日本において、クリーンではないと感じる政治機関よりも、事実認定や法律に基づき判断を下す裁判所のほうが信頼できるということなのかもしれない。
日本財団は調査結果を受け「国会の場において、若者の意見が反映されていると考えている若者は少なく、若者への信頼獲得に向けた取組が必要であると考えられる」と分析している。
※本文中の画像はすべて「第54回18歳意識調査『国会と政治家』調査報告書」(https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/eighteen_survey#anchor54)より
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