女性スペース「性暴力」と密接な関係にある…LGBT法案に当事者団体も“待った”

弁護士JP編集部

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女性スペース「性暴力」と密接な関係にある…LGBT法案に当事者団体も“待った”
共同で記者会見に臨む4団体(4月5日 霞が関/弁護士JP編集部)

LGBT関連新法の整備に向け議論が進む中、性的少数者からなる団体を含む4団体は5日、厚労省で記者会見を開き、拙速な法制化への疑問を訴えた。

「何をもって差別とするのか」が不明確

4団体は先月、岸田文雄首相や各政党党首へ共同要請書を提出。名を連ねたのは、女性の権利保護を求める「女性スペースを守る会」、性的少数者からなる「白百合の会」「性別不合当事者の会」、性暴力被害者を支援する「平等社会実現の会」。

要請の趣旨は、以下の3点だ(原文ママ)。

  • 1 gender identity:性自認ないし性同一性(以下「性自認」という。)に関する差別解消法または理解増進法を作成し審議するにあたっては、拙速に提出することなく、女性の権利法益との衝突、公平性の観点からの研究・検討をし、先行した諸外国の法制度と運用実態、混乱などの問題、またその後の制度変更などもしっかりと調査し、国民的な議論の上で進めて下さい。
  • 2 仮に法令化するのであれば、生物学的理由から女性を保護する諸制度・施設・女性スペース、女子スポーツ等々において、元々は男性だが自身を女性と認識する方を「女性として遇せよ」という趣旨ではないことを明確にする、また別途女性スペースや女子スポーツに関する法律を制定するよう求めます。
  • 3 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律のうち「手術要件」は削除せず、男性器ある法的女性が出現しないようにして下さい。

「女性スペースを守る会」の滝本太郎弁護士は「トランス女性を差別しているのではない」とした上で「『トランス女性は女性だ』と運動として言うのはいいが、そのイデオロギーをもとに法律解釈、制度をシステム化していいはずがない」と指摘。

現在、日本では性別適合手術を受けなければ法的性別の変更ができないが、先行して「性自認」のみでの変更を認めた諸外国で混乱が生じていることに触れながら、「性自認」は主観的で曖昧な概念であるとして、「何をもって差別とするのか」の議論がなされず不明確なまま法令化されることへの懸念を示した。

女性スペースは「性暴力被害」と密接な関係にある

性暴力被害者を保護する立場から、「平等社会実現の会」の代表・織田道子さんは「電車の女性専用車両など、女性スペースに一定の理解が示される半面、トランスジェンダーについて言及しただけで“言論弾圧”を受ける現状がある」と指摘。

「女性専用の空間は性暴力被害と歴史的に密接な関係にあり、多くの女性の犠牲のもとに勝ち得た女性の安全のための権利だと考えています。

強姦をはじめ痴漢、盗撮、セクハラ、露出魔、リベンジポルノ、体液をかけられるといった性暴力への恐怖や不安は、女性なら誰もが持っているもの。“身体的な男性”に入ってきてほしくないという思いは、偏見や差別意識ではなく、根拠のある実感です」と言及した。

また性的少数者の立場からは、日常的に問題なく生活している当事者もいるとして、十分な調査がないまま法令化へ向かっていることへの疑問が示された。

「性別不合当事者の会」の森永弥沙さんは「本当の問題は、トランス女性が女性用のトイレやお風呂を利用できないことではなく、男性優位社会の中で就職ができない、賃貸住宅への入居ができないこと」と指摘。

「女性スペースを守る会」の森谷みのりさんも、「女性に向かって『トランス女性を女性スペースから排除するな』と叱る男性たちこそ、自分たちが女性たちの自由を認めず、性の多様性を認めていないから、トランス女性を男性スペースから排除しているのだと自覚していただきたい」と語った。

最後に滝本弁護士は「“身体的な女性”の方が力が弱いのは当たり前のこと。トランス差別をしているのではなく、トランスジェンダリズム、性自認至上主義というのがおかしいと言っているだけなのです」と訴えた。

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