強盗事件多発“侵入者対策”は「窓」がカギ? 簡単「防犯グッズ」で自宅を守る術とは
今年1~2月に全国で起きた強盗事件の認知件数が208件にのぼることが、警察庁の犯罪統計(暫定値)によりわかった。昨年は刑法犯認知件数が20年ぶりに増加し、警察庁の治安に関する調査では「ここ10年で日本の治安は悪くなった」と回答した人が前年から3%増え 、67.1%となった。この調査は昨年10月に行われ、その後関東近郊で強盗事件が連続して起きたため、国民の「体感治安」は現在さらに悪化している可能性がある。
高齢者をとりまく犯罪としてこれまで大きく報道されていたのは、オレオレ詐欺などの「特殊詐欺」だ。しかし報道などによれば、特殊詐欺を行っていた犯罪グループが、“強盗”という実力行使の犯罪に移行するようになってきたという。
命の危険もある強盗事件の多発は、本人にとってはもちろん、高齢の親を持つ家族にとっても不安なトピックのひとつだろう。これらの不安を少しでも軽減するため、個人宅への侵入者から身を守る防犯グッズも数多く発売されている。防犯カメラや、カメラ付きインターホン、セキュリティー会社による防犯アラームなどがあるが、これらの取り付けには、業者に依頼するという「ひと手間」を要するものも多い。
そこで今回、ホームセンター「カインズ」に業者を呼ぶ必要がなく、高齢者がひとりでも簡単に取り付けることができる防犯グッズを聞いた。
夜間は“人感センサー”で侵入者を撃退
「カインズでは、家庭用品や日用品だけでなく、防災や防犯に役立つ商品まで取り扱っており、地域のインフラとしての役割・使命があります」と語るカインズ広報担当の宮田健義氏は、店舗でも防犯・防災グッズの担当をした経歴を持つ。
そんな宮田氏がまずおすすめとして挙げたのは家の外、エントランス部分に設置する「センサーライト」だ。人が近づくと光が点灯したり点滅したりするセンサーライトは、強盗・侵入犯が突然の明かりを嫌がることから防犯効果がある。電気の通っていない場所に照明を新たに設置する場合“電気工事士”の資格が必要だが、近年は乾電池やソーラー発電で動くセンサーライトも多くのメーカーから発売され、それらは取り付けが簡単な仕様がほとんどだ。
「上部に取り付け用の穴が開いているものは、外壁にタッピングで直接打ち付ける以外にも、結束バンドでフェンスに取り付けるということもできます」(宮田さん)
宇宙人のような足が印象的なライトは、ライト部分が非常に軽く、足の部分には固いワイヤーが入っているため、物干しざおやカーポートなどにくくりつけられる。玄関付近に取り付けられることの多いセンサーライトだが、宮田氏によれば「ベランダへの取り付け」も効果的だという。
「屋外に取り付けるものなので防水性能は確かめてからご購入いただきたいのと、人感センサーだけでなく、暗くなったら自動的につくという商品もありますので、混同しないように気を付けていただきたいです。また、ソーラー式はラクですが、天気が悪い日や日当たりの悪い場所への設置では『充電効率』が悪くなってしまうことを念頭に置いて選んでいただきたいです」(宮田氏)
侵入者は「サクっと入ってサクっと出たい」
室内に設置できる防犯グッズとして、宮田氏が紹介したのは「強盗事件が報道されていたときに、一番お問い合わせが多かった」という防犯フィルムだ。カインズオリジナル商品で、「ハードコートポリエステル」素材により、窓に貼り付けてもガラスの質感が変わらないことが人気の理由だという。さらに紫外線を99%カットしてくれるというおまけ付きだ。
「侵入者は『サクっと入ってサクっと出たい』。侵入に時間をかけたくないはずです。このフィルムは窓が割れにくくなる“耐貫通性能”という面でかなり効果がありますので、貼っていただくと、侵入者にとっては『なかなか割れてくれない』。犯行をあきらめさせる効果が期待できると思います」(宮田氏)
フィルムを貼る時にヨレてしまったり、空気が入ってしまったりという失敗はないのだろうか。自身も不器用という宮田氏は、「粘着剤が塗布されているので、空気は入りづらいと思います。ハケなどで抑えながら貼っていただくとまっすぐ貼りやすいですよ」とアドバイスする。
「あえて見せる」防犯グッズの意図とは?
さらに宮田氏が「お子さんであってもやり方がわかれば取り付けられる」ほど設置が簡単と紹介するのは、カインズオリジナル商品の「補助錠」だ。サッシに取り付けるものと、窓ガラスの縁にあたる“かまち部分”に取り付ける2種類がある。
まずサッシに取り付けるものについて、宮田氏は次のように説明する。
「黒いつまみ部分をねじりまわしていくと、コの字になっているところが広がってサッシを押さえつけるという構造になっています。カインズの商品は締めた後に黒い部分が外れますので、補助錠自体を外すのが難しくなります。先ほどのセンサーライトもそうですが、『あえて見える部分に取り付ける』ことで、防犯意識が高い家だと思わせる効果も期待できると思います」
もう一方のかまち部分に取り付けるものについては、さらに簡単で両面テープでも設置できるという。
「こちらはスライドすると角が立って壁になるという構造です。小さいですが、無理やり窓を開けようとしても開きません。必要があって窓を開ける際は、パチッと角を畳めばいつも通り開閉できます。よく開閉する窓にはこちらを、普段は開閉しない窓には先に紹介したコの字型の補助錠を使い分けると良いと思います」(宮田氏)
侵入者はドアや窓を開けるのに5分かかると70%が、10分以上かかるとほとんどが侵入をあきらめる と言われている。その上で宮田氏はドアや窓への防犯対策について以下のように語った。
「玄関にはドアロックがデフォルトでついていたり、カメラ付きのインターホンがある家も多いと思いますので、後付けで何か対策をする時には、『窓』を優先した方がいいと思います。窓が開きにくくなる補助錠と、割れにくくなる防犯フィルムを両方とも使っていただくのがおすすめです」
※記事中の写真はすべてカインズ(https://www.cainz.com/)提供
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