店内で「駄菓子ぶちまけ」TikToker炎上 「お金は払ってる」「許可はとってる」“いいわけ”は通用する?
駄菓子店で売られているお菓子を時間内にどれだけカゴに入れられるか、という動画をTikTokに投稿していた社会人2人組が、動画内で売り物の駄菓子を店内に散乱させた行為がSNS上で物議を呼び、炎上した。
「許可もとってて…」「お金は支払った」
投稿された動画に対し批判コメントがつくと、「許可もとってて閉店後」「お金は支払った」などとアカウントが反論。さらに回転ずしチェーンで“しょうゆさし”をなめるなどした炎上事件を引き合いに出して「あれは醤油って備品に対して行ったからであって、頼んだ寿司に対してしても、 お金をしっかり払えば問題ない。食べ方は人それぞれ」と書き込み、自分たちのやっていることはいわゆる“迷惑動画”ではないと主張していた。
その後当該動画は一度非公開となり、再び公開されたがコメント欄は閉鎖されている。アカウント主は、別の動画で何度か炎上に触れた動画やコメントを投稿。4月13日の時点では「今回の炎上につきまして、個人的にお店側に謝罪はいれました。これからは僕らとお店側で話していきますので、お店側にご迷惑をかける行為はおやめください。」と書かれた動画が公開。その動画にはさらに「これ以上お店側に迷惑をかける行為は、僕らは責任をとりかねますので、ご遠慮願います。お店側に迷惑をかけた事に関しては、深く反省していますので、アンチの出る幕ではありません」とも記されている。
これら一連の騒動に対し、ネット上では「お金出してるから何してもいいって考え方はやばい」「駄菓子屋はそういうことする場所じゃないんだよな…」「胸糞」といった批判が寄せられた。しかし一方で、「店の許可得てやってるんなら問題ない」と撮影者らを擁護する意見もあった。
お金を払えば店内で何をしてもいいのか
動画を投稿した2人組の言い分通り「お金を払っていれば」「許可をとっていれば」何をしても法律上ではおとがめはないのだろうか。
刑事事件を多く手掛ける杉山大介弁護士は、「たしかに物に関しては、自己の所有物か他人の所有物かは大きな違いです」とし、駄菓子を事前に購入していた場合については「物に対する自由はある程度あったのかもしれない」と話す。しかし、お金を払ったからといって「店内で何をしても良いかは別」だと続ける。
「迷惑行為が商品になされたものか、『醤油さしのような備品』に対して行われたかは関係ありません。もちろん迷惑行為の内容と、それが合意によって許諾されていたかによって変わりますが、“店内での迷惑行為”自体が『業務妨害』になり得ます」(杉山弁護士)
もし撮影を持ちかけられたら?
この投稿者らは前述の通り、駄菓子屋側に対し「許可をとっていた」とコメント欄で主張していた。何についての許可をどのように取っていたのかは定かではないが、常識的に考えれば駄菓子屋側が商品を乱暴に扱うことを許可していたとは考えにくい。
通常テレビ局などのロケではどういった撮影を行うのか事前に「企画書」を送り、店や施設側から撮影の許可を得る流れが一般的だが、きちんとした手続きを踏んでいるはずのテレビ番組でさえ、施設側と番組側に齟齬(そご)が生じ炎上するケースもある。
3月、日テレの情報番組『スッキリ』内で、お笑い芸人のオードリー春日俊彰氏が、ロケで訪れた動物園「那須どうぶつ王国」のペンギンプールにわざと落ち、ペンギンを危険にさらしたとして動物園側からテレビ局に対し抗議がなされた一件がまさにそれだ(※後日、春日氏と番組制作責任者は動物園に出向き個人的な謝罪を行っている)。
杉山弁護士は、「『スッキリ』と那須どうぶつ王国の件では、園側ではそもそも許可していない事をやられたと認識しています。双方の許可に対する理解自体に齟齬があることが、問題に至っている原因です」と、撮影者と撮影を持ちかけられた側との間にある認識の差を指摘する。その上で、撮影を持ちかけられた側が「なんとなく包括的に許可してしまわないよう行う撮影内容を具体的に聞き、懸念点をしっかり確認させる」ことも大切だという。
「撮影者と撮影を持ちかけられた人がお互いに『何をしたいのか』『してほしくないのか』、はっきりさせることがトラブルにならないためには大切です」(杉山弁護士)
炎上動画を投稿したアカウントは4月28日現在も存続しているが、駄菓子屋とのやりとりについて続報はない。ただ、“炎上”で注目を集めたことがよほど痛快だったのか、23日に新しく投稿された“下ネタ”動画には「炎上覚悟wwwwww」とあおり文が埋め込まれていた。
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