「エンジンブレーキ」使用で通報された!? SNSで物議「迷惑運転」「うざい」と晒されないための心得とは

弁護士JP編集部

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「エンジンブレーキ」使用で通報された!? SNSで物議「迷惑運転」「うざい」と晒されないための心得とは
ブレーキランプがなくとも“車間距離”は十分にとる必要がある(bee/PIXTA)

今年3月27日、ドライブ中突然警察に止められて「ビックリした」とSNS上に投稿されたツイートが大きな話題を呼んだ。話題になったのは、警察に止められた理由が多くの人が行う「エンジンブレーキで減速したため」だったからだ。

投稿によれば、投稿者がエンジンブレーキを使用し減速していたところ、「迷惑運転してる」と警察に通報があり止められたのだという。

この投稿に対し、ドライバーたちからは「理不尽な通報ですね…」「エンジンブレーキを多用してるので通報される対象ってことか」「エンブレ使わないで(フット)ブレーキだけで減速しろってことかな?」など、通報した人に対する憤りの声も寄せられた。

また、この騒動が起きる前の3月22日には、個人ブログの「エンジンブレーキをうざいと思う人がいる」という一節がスクリーンショットによってSNS上で拡散され、炎上していた。

エンジンブレーキ使用、なぜ通報された?

ドライバーには説明無用だが、エンジンブレーキとは アクセルを踏まないことで車を徐々に減速させ、その減速力を利用した停止方法のことで、長い下り坂などではその使用が推奨されているもの。

この方法によってフットブレーキを補助し、その消耗も軽減できる。さらに、一般的にエンジンブレーキはフットブレーキを使用した場合より燃費に良い影響があると言われており、インターネットサイトなどではモータージャーナリストらによっても使用が勧められている。

一方で、エンジンブレーキの利用ではブレーキランプが点灯しないため、後続車には減速したことが伝わりにくいとされている。今回投稿者を通報した人が、なぜ「迷惑運転」と感じ通報したのか明確な理由はわからないが、おそらくはブレーキランプが点灯しなかったことで車間距離が詰まるなどして「危ない」と感じたのではないだろうか。

しかし、教習所でも使用方法を教わる「エンジンブレーキ」を使用しただけで、投稿者のように通報されたり、何らかの罪に問われることがあり得るのだろうか。マニュアル(MT)車が好きで自らも運転するというY弁護士に聞いた。

弁護士も「通報は想定できない」

エンジンブレーキで減速する行為(ブレーキランプが点灯しない減速)は「迷惑運転」とみなされるのでしょうか?

Y弁護士:状況にもよりますが、迷惑というのは評価の問題であって、エンジンブレーキを使用すること自体が直接迷惑ということではないと思います。

後ろの車が結構詰まっているのにブレーキランプを点灯しないで減速した場合、追突事故を誘発してしまうので、後方に注意しながらフットブレーキと使い分けるべきです。もっとも、当然後ろの車も前の車をよく見て、車間距離を取るべきです。

今回SNSの投稿者は「通報」されていますが、これについてはどのように思われましたか?

Y弁護士:通報されるなんて事態は普通想定しないですよね。むしろ、それだけで通報する方が迷惑じゃないかとも思いますし、通報者が車間距離を十分開けていなかったのではないかとも考えられますね。

やはりかなりイレギュラーな事態ということですね。万が一、自身がエンジンブレーキの使用で通報されてしまった場合、どう対処すればいいでしょうか。

Y弁護士:あえて後ろの車に迷惑をかけようとして、車間距離が近いにもかかわらずエンジンブレーキを使用したならそれは迷惑ですが、そうではないなら、ドライブレコーダーの映像などで自身が危険な運転をしていないことを説明すればいいと思います。

もしエンジンブレーキを使っただけで捕まるのであれば、エンジンブレーキでブレーキランプがつかないという車の仕組みがおかしいという話になってしまいますね。

「フットブレーキも併用してブレーキランプを点灯させるべき」

エンジンブレーキを使用し減速したことで、追突などの事故を誘発してしまった場合、運転手が何らかの罪に問われる可能性はありますか?

Y弁護士:具体的な事情を見てみないとハッキリは言えませんが、事故の責任はお互いにあると思います。相手が車間距離をつめてたのであれば、その点は相手の責任が重くなりますし、ご自身が後ろを確認せずエンジンブレーキを使用していたのだとすれば、それも危ない行為と判断されると思います。他の事故同様にケース・バイ・ケースなので、一概には言えません。

エンジンブレーキを使用する際に、運転手が注意するべきことなどがあれば教えてください。

Y弁護士:自分が運転する際に気を付けているのは、後ろとの車間距離を把握することです。

たとえば渋滞で前が詰まっているときにエンジンブレーキだけを使用すると、後続車に合図ができないため、玉突き事故になってしまう可能性があります。そういう場面では、後続車に合図する意味も含めて、フットブレーキも併用してブレーキランプを点灯させるべきだと思っています。

また高速道路などでも、自分が追突されるのが嫌ですから、渋滞の際には少し早めの段階から「前が渋滞している」とランプを点灯させて伝えていますね。

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