日本人の平均月収「29万円」の苦境も...「年収800万円超」稼ぐ労働者の業種とは?

弁護士JP編集部

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日本人の平均月収「29万円」の苦境も...「年収800万円超」稼ぐ労働者の業種とは?
光熱費の高騰も家計を圧迫している(Mills / PIXTA)

厚生労働省が5月9日に発表した「毎月勤労統計調査」(速報)によれば、2023年3月分の労働者1人あたりの平均賃金(現金給与総額)は29万1081円だった。前年比0.8%の増加となったが、物価上昇を考慮した「実質賃金」は前年比2.9%の減少。12か月連続のマイナスとなり、賃金が物価高に追い付いていない実態が明らかになった。

「一般労働者」「パートタイム労働者」それぞれの平均賃金は?

2023年3月分の平均賃金(現金給与総額)を一般労働者、パートタイム労働者に分けると、一般労働者は38万82円(前年比1.3%、実質賃金-2.4%)、パートタイム労働者は10万1038円(前年比2.1%、実質賃金-1.6%)だった 。

また月間の総実労働時間は、一般労働者で165.0時間(前年比0.9%)、パートタイム労働者で78.8時間(前年比0.9%)となっている。

一番“稼いだ”のは「電気・ガス業」の従事者

一般労働者でもっとも平均賃金が高かったのは「電気・ガス業」で48万3488円(前年比3.3%)。次いで「学術研究等」48万1342円(前年比1.2%)、「金融業,保険業」45万8192円(前年比0.0%)だった。

厚労省「毎月勤労統計調査 令和5年3月分結果速報」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2303p/dl/pdf2303p.pdf)をもとに弁護士JP編集部が作成

パートタイム労働者においても、平均賃金がもっとも多かったのは「電気・ガス業」で15万6202円(前年比1.0%)。次いで「金融業,保険業」15万1826円(3.5%)、「建設業」15万218円(前年比21.2%)となった。

厚労省「毎月勤労統計調査 令和5年3月分結果速報」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2303p/dl/pdf2303p.pdf)をもとに弁護士JP編集部が作成

50%以上の人が「平均年収」以下

ここまでのデータを見て「自分の給料は平均より低い」と落胆した人も少なくないかもしれない。しかし「平均値」は、一部の高所得者が数値を引き上げているため、多くの労働者の肌間隔とはズレが生じるものだ。

国税庁が2022年9月に公表した「令和3年分 民間給与実態統計調査結果」によると、給与所得者1人あたりの平均年収は443万円だが、給与階級別分布でもっとも構成比が高いのは「300万円超400万円以下」で17.4%となっている。さらに、給与階級が「400万円以下」の構成比を合計すると53.6%になり、少なくとも半数以上の人は平均年収以下だということが分かる。

なお、平均年収を業種別に見ると、もっとも高額なのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で「766万円」、次いで「金融業,保険業」で「677万円」。それぞれの給与階級別分布を見ると、いずれも「800万円超」の構成比がもっとも多くなっている。

業種別の給与階級別構成割合(国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」〈https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2021/pdf/000.pdf〉より)

大手企業は「賃上げ」高水準だが...

毎日新聞によれば、2023年3月分の「毎月勤労統計調査」(速報)を受け、厚労省担当者は「春闘での賃上げの動きで、4月分以降の調査結果にどのような影響が出るかを注視したい」と話したという。

3月の春闘集中回答日には、大手企業から近年にない高水準の回答が相次いだというが、中小企業や非正規雇用の労働者にも賃上げは広がるのか、注目される。

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