“結婚”5人に1人「アプリの出会い」も落とし穴…“運命の人”探す令和「婚活」事情とは

榎園 哲哉

榎園 哲哉

“結婚”5人に1人「アプリの出会い」も落とし穴…“運命の人”探す令和「婚活」事情とは
婚活アプリでは「相手男性が既婚者だった」ケースも多いという(hika-j / PIXTA)

「男女の永遠のテーマ」と言えるかもしれない出会いと結婚。昭和のころまではお見合いが主流だった出会いのきっかけは様変わりし、令和の現代、婚活(マッチング)アプリもその大きな役割を担っている。しかしそこには、気を付けたい“落とし穴”もあるようだ。

男性の10人中3人、女性の同2人が生涯未婚

憂うべき数字かもしれない。内閣府が昨年11月に発表した「令和4年版 少子化社会対策白書」によると、50歳になった時点で一度も結婚したことがない生涯未婚率の割合は、男性が28・3%、女性が17・8%。男性のおよそ10人中3人、女性の同2人が生涯一度も結婚していない。

こうした状況に歯止めをかけようと、全国の各自治体が結婚適齢期の男女の婚活に力を入れている。

婚活情報サイト「マリピタ」(運営会社・ネクストレベル)では、「自治体の婚活支援」というコンテンツ(項目)を設け、各自治体が主催する婚活イベント等が検索できる。

東京都では約5年前、平成30(2018)年度事業として、WEBサイト「TOKYOふたりSTORY」を開設。インターネットを介して、男女の出会い、結婚、さらに結婚後のサポートまでの情報を発信している。サイトの九つのコンテンツ(メニュー)は、バラエティーに富んでいて、都内在住・在勤に限らず、誰でもが閲覧・利用できる。

「イベントカレンダー」では、東京都内で行われる直接の出会いのきっかけとなる各種イベント(パーティー等)の予定を紹介。7~8月には都内で計4回の婚活イベントが実施された。

「独婚祭13th」で語らう参加者(「日本婚活支援協会」HPから)

このうち、7月30日に都の名勝に指定される日本庭園「清澄庭園」(東京都江東区)内で行われたガーデンパーティー「独婚祭13th」(一般社団法人・日本婚活支援協会主催)には、20~30代の男性29人、女性32人が参加。11組のカップルが成立したという。

「TOKYOふたりSTORY」を担当する東京都生活文化スポーツ局都民生活部の須山朝子都民活躍支援担当課長は、「結婚を希望する方、結婚に関心があるけどどうしたらいいか分からない、という方たちに情報をお届けしたい」とサイトの趣旨を説明。また、結婚を具体的・現実的に考えてもらうために、「就職、結婚をどのようにライフプランに入れていくかなどをシミュレーションする」ためのライフデザインツールの充実や、東京都の子育て支援策などの紹介にも今後力を入れていきたいと語る。

5人中1人がマッチングアプリで伴侶を得る

結婚相談所、結婚情報サービス、お見合い、各種サークルなど従来の「婚活」サービスに加え昨今、「婚活」の主流になっているのが冒頭でも紹介した“婚活アプリ(アプリケーションソフトウエア)”だ。

交際、恋愛、結婚のための“出会い”を目的とした、主にスマートフォンなどで利用する「婚活アプリ」。その魅力は何といっても手軽に、簡単に使えること。料金も結婚相談所などと比べると格安で、女性は無料のアプリが多い。AI(人工知能)を使用し、好みのタイプなどを詳しく分析、より理想に近いパートナーを選び出すことも。

明治安田生命が昨年11月、「いい夫婦の日(11月2日)」に合わせて行ったアンケート調査によると、結婚に至った男女のおよそ5人中1人の22・6%(2022年単年)が婚活アプリで伴侶を見つけたという結果が出ている。

一方で、課題も少なくない。

「実は既婚者だった、という話はよくある」

結婚相談所「マリーミー」(東京・表参道)を経営し、結婚に関する多くの著書も出す婚活アドバイザーの植草美幸氏によると、婚活アプリでの出会いには危険も多いという。

結婚適齢期者へのエールを送る植草さん(写真提供:マリーミー)

アプリの登録時に身分証、独身証明書、年収証明書、学歴証明書等の書類をそろえる必要があるところはほぼなく、写真自体が本人と異なる、男性なのか女性なのかそもそも分からない、といったケースも。

女性が受ける被害では、「男性が既婚者だったというケースが圧倒的に多い。妊娠したけど認知されない、という話はよく聞きます」と植草氏。

「女性は結婚を求め、男性は快楽を求める、そこが男女の考え方の大きな食い違い。(書類等での)裏付けがないものは信じないこと、相手を疑ってかかること、交際中にどういう人なのかを見定めることが大事です」とアドバイスする。

会員数がアプリを選ぶ際の目安の一つになっているが、中には無報酬、あるいは報酬を得て会員を装う”サクラ”が存在していることも。あるSNSのグループにはサクラを募集している書き込みもあった。詐欺や投資勧誘の被害、援助交際なども報告されているようだ。

リスクを懸念し、アプリを使うことに抵抗のある人もいるのではないだろうか。

そうした中、東京都では今秋以降、結婚支援マッチング事業として、交流イベント、WEB相談とともにマッチングアプリの開設を予定している。前出の須山課長によると、「東京都が行うのだから安心だろう、と思っていただけるようなアプリにしたい」と、身分証などの確認をしっかり行い、より安心して利用できるものとすることに特に留意する。また、マッチングアプリを利用する際の注意点等について、チラシなどを配布して周知している。

コミュニケーション力高め自分を磨き、一歩を踏み出す

婚活アプリに限らず、どのようにして赤い糸をたぐり寄せ、人生の伴侶を得るか。行動制限が求められ人と接する機会が少なかったコロナ禍が過ぎた今、植草氏は次のように求める。

「人が集まるところに行き、人に触れ、社会に関わり、コミュニケーション力を高めてほしい。人との関わりがうまくできないと恋愛もできません。テニスやゴルフのサークル、お料理教室や友だち同士の合コンなど、積極的に参加してみてください。また、婚活をしていること、結婚を考えていることを周りに伝えることも大事です。人の力も借りてください。ただ“きらきら”していないと紹介もされませんので、自分磨きにも努めると良いと思います」

前出の須山課長も「ぜひ一歩を踏み出して」とエールを送る。

自分を磨き、一歩を踏み出す。昭和のころも平成から令和に至る現代も、結婚に至る究極の秘訣は変わらないのだろう。

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