悪名は永遠に消し去れない!? 隠ぺい型「社名変更」企業に待ち受ける厳し過ぎる末路
10月2日に開かれる2回目の会見で発表がなされる見通しだが、どうやら「ジャニーズ事務所」という名が消滅しそうだ。正式な称号は株式会社ジャニーズ事務所。設立は1975年1月23日。創立50周年も迫る中で、さぞかし無念だろう。
名の通った会社が社名を変更した事例は過去にも多数ある。それこそ “不祥事”が原因となるもの、時代の潮流に合わせた新事業の展開などによる “戦略型”が2大パターンといえる。
本来なら、後者のように事業の拡大を見据え、明るい未来を切り開くための社名変更をするのが企業にとって望ましいハズだ。なにせ、せっかく社会に浸透したネーミング。それを消滅させることによる損失はお金では代えられないからだ。
そうはいってもコストは膨大にかかる。規模によるが、ジャニーズ事務所の場合、生業がタレントマネジメント業であり、ブランド力がビジネスに非常に影響力を持つ。失う価値は見えないながらも莫大であり、数億円規模といわれる社名変更に伴うコストが、ズシリとのしかかるだろう。
それより問題は社名を変更して、汚名を返上できるのか、そして会社として再浮上できるのかということだ。こればかりはわからない。ただ、過去に不祥事で社名を変更した企業がどのような路をたどったのか。業種による違いはあるものの、そこに目を向けることはムダではないだろう。
不祥事で社名変更した企業のその後
時系列の古いところでは、リクルート事件の際は、関連会社が社名から「リクルート」を外すなどしたが、いまもしっかりと君臨している。カネボウの粉飾決算にかかわった「4大監査法人」のひとつ、「中央青山監査法人」は、その後「みすず監査法人」に社名変更。結局、失った信用を回復できず、2016年に清算決了した。
脅迫に近い取り立て方法が問題となった「株式会社商工ファンド」は2002年に株式会社SFCGに商号を変更。強引さを残しながらビジネスを続けたが、2009年、民事再生法の適用を申請し、東京地裁に受理された。負債総額は3380憶4000万円に上った。
「サブリース問題」といわれた投資アパート詐欺に関わり、貯金残高の改ざんに手を染めた不動産会社の「インベスターズ」はその後、「TATERU」に商号変更。2021年2月にはさらに「Robot Home」に商号変更。現在、株価は最盛期の10分の1以下と低迷しているが、AI・Iot事業を軸にする不動産テック企業として、再浮上を虎視眈々と狙っている。
こうしてみると、不祥事を挽回する道のりは極めて困難といえる。それでも、犯した罪を真摯に反省し、ゼロからやり直す気概があれば、再浮上は不可能ではない。ただし、”悪名”が物理的に消滅しても、それぞれの人の記憶や心にはずっと刷り込まれ続ける。どんな方法で浮上を目指すにしても、そのことは絶対に忘れてはならない。
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