「ギャラ飲み」女子に税務調査の手「追徴課税」リスク回避の必須義務とは

弁護士JP編集部

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「ギャラ飲み」女子に税務調査の手「追徴課税」リスク回避の必須義務とは
画像はイメージです(Ushico/PIXTA)

飲み会に参加すると謝礼(ギャランティー)が支払われる「ギャラ飲み」が、若い女性の間で広がっている。

市場が拡大し、飲み会に女性を呼びたい男性と女性とのマッチングを行う専用のマッチングサービスも登場。

マッチングサービスの利用で、会えないのに料金だけ請求される、ギャラの未払いなど男女双方のトラブルを事前に防止できるメリットの享受が可能となった。しかしマッチングサービスの運営会社と女性たちは雇用関係にない。運営会社を介して支払われたギャラは女性たちが自身で管理するが、思わぬ落とし穴が待ち受けるケースに注意が必要だ。

ギャラ飲み女性の申告漏れ、国税局が調査

朝日新聞(2月4日付)は、ギャラ飲み女性による所得税の申告漏れ疑いが相次ぎ、東京国税局が調査に乗り出していると報じた。

記事によると、国税局がマッチングサービスの運営会社を税務調査した際、登録女性たちへの支払い状況や口座情報も同時に調査。その結果、年間数百万~数千万円の収入があるにも関わらず、所得税の申告をしていないキャストが数十人以上におよんだという。

ギャラ飲みの大手マッチングサービスが女性の登録を呼びかける募集サイトを確認すると、「1日で20万円以上実績あり」という文字が。さらに、キャストの利用者レポートには収入実例として「平均時給1万2000円×85時間=102万円」(週5回、1回2〜3時間程度、延長・深夜有)と具体的な金額が記載されている。サイト上の一例ではあるが、社会人が副業として行っていたとすれば確定申告はもちろん、別途消費税の納税義務が生じる可能性もある金額だ。

国税局は無申告者に対し、「無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるため、的確かつ厳格に対応していく必要があります。こうした無申告者に対しては、さらなる資料情報の収集及び活用を図るなどして、実地調査のみならず、簡易な接触も活用し積極的に調査を実施しています」と警告しており、運営会社だけではなく登録女性たちへの税務調査が進められていると冒頭の報道は続けている。

前述の大手マッチングサービスによると、登録している女性のうち約40%は会社員として働いている。社会人経験があれば納税の義務は身近で、無申告であれば言い逃れはできない。

「現金手渡し」ならバレない?

今回の騒動は、ギャラの動きが記録に残っていたからこそ発覚したもので、氷山の一角ともいえる。アプリを介さずに直接ギャラ飲みを依頼・受注する場合や、「パパ活」の現場ではギャラの"現金手渡し”での受け渡しが多く発生している。

“現金手渡し”なら課税を免れるのか。税理士の岸健一氏は「バレなければ申告しなくていいという話ではない。申告義務は当然あります」と明快だ。

「例え現金でもらっているから安心と思っていても、相手が例えば経営者や個人事業主の方だと(ギャラを)経費にしている可能性がある。会社の帳簿にあなたの名前が記載されてるかもしれません。『経費にしとけばいっか』というような気持ちで帳簿に乗せるケースは結構多いのではないかと思います」。

何らかのきっかけでその帳簿が見つかり、お金の動きが可視化されれば国税庁としても見ないふりはできない。岸税理士によると申告漏れが発覚した際には、一般的に5年ほど前まで遡って調査されるとのことで、その期間に本来納めるべき税金の支払いはもちろん、それに加えて「延滞税」と「無申告加算税」などの追徴課税がなされる。

では、ギャラ飲みやパパ活でいくら以上の収入があると申告が必要となるのか。岸税理士は「人によって変わるため一概に伝えるのは難しい」としつつ、社会人に対しては「ギャラ飲みを含む“副業の収入”が年間20万円を超える場合は確定申告が必要と覚えておくといい」という。

他に収入がない学生などの場合は、年間で103万円から確定申告が必要となる。子どもの収入が103万円を超えると、親は「扶養控除」を受けられなくなる。実質増税となるため、税務署だけではなく家庭内での“申告”も必須だ。

申告漏れが発覚した場合、家族にも多大な影響が及ぶ可能性がある。「過去に遡って調べられた際に、(過去の分も)扶養控除から外されてしまい、保護者の方にもそれなりの不利益が…ということも考えられます。将来にわたってビクビクするよりも、健全な生活を送るために申告はきちんとしましょう」(岸税理士)。

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