歌舞伎町スカウトグループ幹部“掟”破った部下暴行容疑で逮捕…組織の名が広まるキッカケとなった“ある事件”

弁護士JP編集部

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歌舞伎町スカウトグループ幹部“掟”破った部下暴行容疑で逮捕…組織の名が広まるキッカケとなった“ある事件”
厳しい掟でメンバーの締め付けを行っていた(okd / PIXTA)

今月1日。警視庁暴力団対策課はグループの規約に違反した“制裁”としてメンバーを監禁し、殴る蹴るなどの暴行を加えたとしてスカウトグループ『ナチュラル』の沢田和哉容疑者(32)および兼子エディ容疑者(29)ら14人を監禁、強制わいせつ致傷容疑で逮捕したと発表した。ナチュラルは歌舞伎町を拠点とする全国最大規模のスカウトグループでメンバーは少なくとも1000人に上るという……。

歌舞伎町だけでなく九州や東北などの繁華街にも勢力を拡大

社会部記者が事件の経緯について説明する。

「歌舞伎町を拠点に活動をしていたナチュラルにはスカウト行為で摘発された際、“組織性は一切口にするな”などグループ内での掟(おきて)がいくつか存在し、そうした厳しい掟でメンバーの締め付けを行っていました。被害に遭った男性は何らかの掟を破り、今年2月に歌舞伎町のマンションに8日間にわたって監禁され、ヘルメットやフライパンなどで暴行を受けていました」

今回、逮捕された沢田容疑者はナチュラルの幹部とされ600人規模のスカウトを取り仕切っていたという。前出の記者が続ける。

「ナチュラルには五つのグループが存在していますが沢田はその最大勢力のトップ。被害男性も沢田の勢力に属していました。ナチュラルは歌舞伎町だけではなく、九州や東北などの繁華街にも勢力を伸ばしており、女性をスカウトし風俗店などに紹介するなどして荒稼ぎをしていたようです」

歌舞伎町を拠点とする全国最大規模のスカウトグループであったという(弁護士JP)

暴力団がメンツをつぶされ…

1000人規模のメンバーを有し、掟を犯したメンバーに重症を負わせるなど“組織性”と“凶暴性”を持ち合わせたスカウトグループ『ナチュラル』ーー。

グループは、トップである双子のK兄弟のもと、この10年で急成長してきたというが、その名が全国的に知られるようになったのは2020年6月に歌舞伎町でおきたある事件がキッカケだった。

「ナチュラルは元々指定暴力団の4次団体の組と関係がありました。ですがスカウトの引き抜きを巡って他のグループとトラブルになったんです。そこで他のグループはナチュラルと関係のあった同じ組織の4次団体の組に事態を相談。結果、組同士の話し合いとなり、ナチュラルは手打ちの条件を突きつけられたんです」(歌舞伎町飲食店関係者)

組側はナチュラルに対し、「引き抜いたスカウトを元のグループに戻すことや今後、他のグループのスカウトを引き抜かないことなど」(同前)を手打ちの条件として突きつけたというが、K兄弟らはそれらの条件を拒否したという。

「その結果、双方の組のメンツはつぶれる形となり、ナチュラルは双方から狙われることになりました。そこで行われたのが歌舞伎町の“スカウト狩り”です。組側はスカウトがナチュラルのメンバーだと分かると殴る蹴るの暴行を加えるなどし、その動画がSNSなどで拡散するなどの騒動になりました」(同前)

警察当局が力を入れる『匿名・流動型犯罪グループ』の実態解明

この事件によりナチュラル、組側の双方は暴力行為等処罰法違反容疑等で計7人が逮捕されることとなるが、前述した経緯により最終的にナチュラルは組側からの条件を「飲まざるを得なかった」(捜査関係者)という。

「追い詰められたナチュラルは組側から突き付けられた“K兄弟の引退”と“ナチュラルの解散”の要求を飲むことになった。だが実際にはKは表立って姿を見せなくなっただけで解散もしておらず、『ナチュラル』は『ホワイト』という別のグループ名を名乗って活動を続けていた」(同前)

グループ内のメンバーに対する暴行事件により、その実態の一部が浮かび上がったナチュラル。前出の社会部記者が言う。

「現在、警察当局は目的によって結びつき離合集散を繰り返す『匿名・流動型犯罪グループ』(通称:トクリュウ)の実態解明に本腰を入れていますが、ナチュラルは『その最たるもの』と見て組織の全容解明のための捜査を続けています」

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