2024年に「飛躍する企業」人事のプロがあげる “7つ”の必要条件

弁護士JP編集部

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2024年に「飛躍する企業」人事のプロがあげる “7つ”の必要条件
2024年に躍動する企業に必要な条件とは(K@zuTa / PIXTA)

激動の2023年が終わり、2024年は晴れてコロナ明けの”正常モード”からのスタートとなる。年始から全力で事業を加速できるこの1年。どんなタイプの企業が躍動・躍進するのか。あるいはどうすれば躍進できるのか。組織運営や人事のプロフェッショナルの目線から予測し、提言してもらった。(前編/全2回)

ズバリ、2024年はどんな企業が躍動するでしょうか。

今の時代「強要」は絶対的に嫌われると新井氏

新井:自著のための事前リサーチでいろいろなところを聞いて回っていると、「昭和って何なんだっんだ」ということがよく話題に上がりました。元号としては世界一長い期間存続したあの時代。ネガティブな側面で考えた時、そこには「強要」というものが存在していたなと。

「なにかであるように」とか「なにか合わせるように」とか特定の枠組みの中に押し込むように、人々がなにかといえば「強要」をされていた時代だったと思いますね。

でも、「強要」なんて、いまの令和の時代のマネジメントでは絶対的に嫌われますよね。ただ、そうなると一方で若者は自分で自分を律しなければいけない。事業者が強要ができないし、しないようにしているんですから。

そう考えると、「自分で頑張ろう」とか「自分でこの職場をよくしたい」と思わせてくれる会社が、これからは伸びていくんじゃないでしょうか。

逆に引き続き強要が蔓延している組織はどんどん衰退していくでしょう。そこに優秀な人材が集まらないわけですから。

北風と太陽でいう「太陽」になるのが伸びる企業の条件になる。

新井:その北風も自分で受け入れるというか、「厳しい中でも頑張りたい」と思わせてくれる環境であるか。強要されるのではなく、なにをどうするかを自らの意志で決断する。そう思われるような企業が輝いていくんじゃないでしょうか。

首根っこをつかまなくとも、向こうから進んで動いてくれるような環境を備える会社が生き残り、躍動する。

新井:いまの時代の潮流を鑑みてもそうならざる得ないでしょうね。ただ、この状況は決して「緩む」ということと同義ではありません。むしろ、かなり踏み込んだ自律の促進といえます。

そう考えると、日本国憲法の基本原理である個の尊厳。そこにいよいよみんながコミットしようとなった時、実は袋小路に入ったりとか、人生に迷ってしまったりというのは、もしかしたら若者なのかもしれないと感じています。

いかに「管理」から脱却できるかがカギと二野瀬氏

二野瀬:「強要」について経営の側からいえば、いかに管理という側面を従業員に感じさせないか。管理という表現から脱せられるか。そこに近づくほどに、比例して従業員は働きやすくなりますし、のびのびとポテンシャルを発揮していく。

そして、そうした環境に従業員がフィットしていけば自然と個々が活躍もできると思いますし、ひいてはコンプライアンス違反といったところからもより離れていくことになると思います。

一松:私は月並みですが、やっぱり伸びていくのは“三方よし”を実践する会社かと。売り手よし、買い手よし、世間よしです。

さらにいえば、テクノロジーも加えた”四方よし”ともいえるでしょうか。先ほどもテクノロジーとか技術をどう使いこなすのかという話をしましたが、いかにそれらともうまく付き合っていけるか。そのあたりも今後伸びていく上での条件になってくるかと思います。

一松氏は技術を使いこなすことも重要な要素になると

あえて技術と申し上げたのは、やはりその使い方によってはいろいろな問題が生じてくる可能性もあります。ですから、そうならないように、例えば人工知能、AIなんかも負の側面に十分配慮しながらうまく活用し、世間全体がよくなるような事業展開ができる組織体が、これからの時代を邁進していくのではと感じています。

角渕様はどうでしょうか

角渕:経営のキーワードとしてパーパス経営やジョブ・クラフティングなども挙がったりしています。いずれも従業員が自律的に自分の仕事にやりがいなどを見出していくような方向性ですよね。昨今は特に意識の高い企業はそうした方向を目指しているとは思います。

そうした中で、飛躍する会社の条件を挙げるなら、「一人ひとりが自分の存在意義をちゃんと認めてられ、仕事ができる会社」ということになる。

そういう会社では、各自が自分の仕事に対して当事者意識を持ちますから、上から言われたからといって、それがおかしな指示ならば従わないと思うんです。

疑問を持って自分なりの行動が取れるようになっていく。つまり、コンプライアンスの観点からは、極めて安全性の高い会社組織になっていると。1人1人が自分の仕事の意味を認識し、イキイキと働けるような職場を作っていく。それが企業における職場のこれからの課題として大きいと思います。

具体的にはどういうことでしょう。

職場そのものが安全であることは大事と角渕氏

角渕:そのために私は3つの要件を挙げています。

まずは「自分たちがなんのために仕事をしてるのか。ちゃんと自分の仕事にどんな意味があるのか、あるいは組織の中で自分が活かすべきことを自分の頭で考えられるようになっているか」。それがひとつ目の条件です。

もうひとつは、「職場そのものが安全であること」です。安全というのは、最近はやりの心理的安全性とはちょっと角度が違って、「日本人が求める安全」がキチンと担保されているということです。

具体的には、「発言自体を非難されない」「職場が責任ある人にキチンと管理されている」、あるいは「自分に必要な情報がちゃんと与えられている」ということです。

最後の3つ目は、「上司が信頼できる人であること」。これはなにも聖人君子を求めているわけではありません。「この人ならついて行っても大丈夫」。そう思わせるような存在であることです。

もちろん組織は成熟度が高まってくると、上司が誰だろうと構わなくなるものです。しかし、いまの日本企業で改革を進めていくのだとすれば、まずはそこを目指していかなければいけないかと。

こういったことを実践し、実現できている企業が、今後発展していくと思います。


【プロフィール】

新井健一
経営コンサルタント、アジア・ひと・しくみ研究所代表取締役 早稲田大学卒業後、大手重機械メーカー人事部、アーサーアンダーセン(現KPMG)、ビジネススクールの責任者・専任講師を経て独立。人事分野において、経営戦略から経営管理、人事制度から社員の能力開発/行動変容に至るまでを一貫してデザインすることのできる専門家。著書は『働かない技術』『いらない課長、すごい課長』(日経BP 日本経済新聞出版)など多数。

一松亮太
経営コンサルタント、株式会社KakeruHR代表取締役。大手生命保険会社、銀行系シンクタンク、教育系スタートアップを経て独立。現在は、業務プロセス構築、人事制度構築等のコンサルティングに従事。その他、企業向けの研修講師として多数登壇。

角渕渉
経営コンサルタント・産業カウンセラー/アクアナレッジファクトリ株式会社代表 ソフトウェアハウス、国内系コンサル会社を経て、大手監査法人グループのKPMG あずさビジネススクールで講師をつとめる。2007 年にアクアナレッジファクトリを設立。「確かな基礎力に裏打ちされた『変化に柔軟に適応できる人材』の育成」をテーマに、各種ビジネススキル教育、マネジメント教育の研修講師として活躍中。

二野瀬修司
経営コンサルタント、株式会社ウィズインテグリティ代表。大手都市銀行、人材育成・組織開発を専門とする企業を経て独立。現在は、ファイナンスや人事制度構築等のコンサルティングに従事する他、企業向けの研修講師として多数登壇。

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