ダイエット目的で「糖尿病治療薬を処方」 “オンライン診療”でトラブル増加 国民生活センターが注意喚起

弁護士JP編集部

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ダイエット目的で「糖尿病治療薬を処方」 “オンライン診療”でトラブル増加 国民生活センターが注意喚起
糖尿病治療薬の痩身目的での使用は、安全性と有効性が確認されていない(y.uemura / PIXTA)

国民生活センターは12月20日、HPとXを更新。痩身目的等のオンライン診療トラブルが増加しており、中でも、ダイエット目的で数か月分の糖尿病治療薬が処方される「定期購入トラブル」が目立つとして、注意喚起した。

高額治療薬の処方、解約申し出も「1回目」は解約できず

同センターによると、過去にも痩身目的のオンライン診療について、「説明不足や解約・返金等のトラブルにかかる注意喚起」を行ったものの、その後も相談が増加しているという。今年5月に受けた、40代女性からの相談は以下のような事例だ。

「ネット通販でダイエットサプリを購入しようと思っていたときにオンライン診療を知った。医師の処方であれば安心だと思い、オンライン診療を受け、2種類の薬を処方された。支払いはコンビニ決済を選んだ。
処方された薬を調べると糖尿病治療薬で副作用があることがわかった。自分には糖尿病歴がないため、不安になり、処方薬が届く前に解約の申し出をしたが、「1回目はキャンセルできない」と言われ、後日、薬が届いた。副作用の説明は受けておらず、1か月分で2万円を超え高額なので返品したい」

他にもこれまでに、『基礎疾患の問診がなく、処方された薬で副作用が出た』『処方薬が意図せず定期購入になっていた』といった相談が寄せられているという。

図.PIO-NET(注1)における「美容医療(注2)のオンライン診療」に関する相談件数の推移 ※2022年度同期件数(2022年10月31日までのPIO-NET登録分)は98件  年度別相談件数:2021年度は49件、2022年度は205件、2023年度は10月31日までで169件です。 (注1)消費生活センター等からの経由相談は含まれていない。本資料の相談件数等は2023年10月31日までのPIO-NET登録分(n=423)。なお、2021年度にキーワードの新設を行ったため、2021年度より前の件数は算出できない。 (注2)本稿でいう「美容医療」とは、疾病の治療ではなく、身体の美化を主目的とした医療サービスを指し、特定商取引法に規定する特定継続的役務の美容医療とは必ずしも一致しない場合がある。(国民生活センター「痩身目的等のオンライン診療トラブル-ダイエット目的で数か月分の糖尿病治療薬が処方される「定期購入トラブル」が目立ちます-」より)

トラブルを避けるためには…

では、これらのトラブルを避けるためには、どのような対応が適切なのだろうか。

国民生活センターは「糖尿病治療薬は痩身目的の使用に関して安全性と有効性は確認されていない」とした上で、次のようなアドバイスを行っている。

「痩身目的等のオンライン診療を受診するときは、処方薬も含めて医師からしっかり説明を受けること解約条件等について申し込み前によく確認することトラブルにあった場合は消費生活センター等に相談すること」(同センター)。

初診からのオンライン診療も可能となっている今、トラブルに巻き込まれないよう、受診する際には細心の注意を払う必要がありそうだ。

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