「袴田事件」再審請求"血の赤み"めぐり協議、証人喚問へ

弁護士JP編集部

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「袴田事件」再審請求"血の赤み"めぐり協議、証人喚問へ
会見を開いた弁護団とともに袴田巌さんの姉ひで子さんもオンラインで参加(3月14日 霞が関/弁護士JP編集部)

1966年(昭和41年)に静岡市清水区(旧:静岡県清水市)で一家4人が殺害された「袴田事件」。死刑が確定した袴田巌さん(85)は無実を訴え、再審・裁判のやり直しを求めている。3月14日に東京高等裁判所で、5回目となる差し戻し審の三者協議(裁判所、弁護団、検察官)が開かれた。

袴田さんの弁護団は、死刑判決の最大の根拠となった証拠、犯人のものとされる5点の衣類の血痕について、複数の専門家に鑑定を依頼。昨年11月に袴田さんの犯人性に合理的疑いを生じさせるとした鑑定書、意見書を東京高等裁判所に提出、証拠はねつ造されたものと主張していた。これに対し検察側は反論する意見書を2月24日に裁判所に提出していた。

弁護団によれば、裁判所は弁護側の鑑定を行った専門家へ尋問の実施を確認、次回(5月23日予定)に尋問の時間や内容を協議する予定だという。

検察は「赤み」は残ると主張

事件の争点となっているのが、袴田さんが逮捕された約1年2か月後に現場近くのみそタンクから見つかった、犯人のものとされる5点の衣類に付いた血痕の「赤み」に関するもの。

弁護側は、どのような条件でも短期間で血痕は黒く(黒褐色)なるにも関わらず、現場のみそタンクから見つかった犯行着衣の血には「赤み」が残っていたとねつ造の可能性を主張。

一方検察側も専門家の見解をもとに独自の実験を行い、6か月みそにつけた血痕に「赤み」が残っていたケースもあると反論している。

袴田さんの弁護団の一人、小川弁護士は「大量に血液がついた時は色が赤く残っていると検察は主張しているが、半年経って赤みが感じられないほどの変色をしている。(今後さらに)黒褐色化していくという我々の主張は裏付けられている」と事件と同様の期間(1年2か月)を経ていないことなども併せて指摘した。

袴田事件をめぐっては、2014年に静岡地裁が再審開始を決定、48年ぶりに袴田さんは釈放されたが、2018年には東京高裁が再審請求を棄却。2020年、最高裁が東京高裁への差し戻しを命じるなどして裁判は長期化している。

三者協議を受け、この日オンラインで会見に参加していた袴田さんの姉ひで子さんは「再審開始になることをおおいに期待しています」とコメント。びっくりするほど食欲があるという3月10日に86歳となった袴田さんの近況も語られた。

また、3月29日(火)には「袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会」による袴田事件支援の全国集会も開催予定。集会の模様はネットでも生配信(15時~17時)される。

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