有名神社周辺で初詣参拝客が「路上駐車」の“迷惑”行為… どう対応するのが正解?
愛知県にある熱田神宮の周辺では正月三が日、無断路上駐車が散見される。
初詣期間は神宮内の無料駐車場が閉鎖され、近隣のコインパーキングへの駐車は「特別料金」で高騰、商業施設の駐車場は車が長蛇の列をなしている。そんな状況にしびれを切らしたドライバーが、近所の道路を拝借しているのだ。
自治体は無断駐車禁止の看板やコーン標識を立てて対策しているが、近隣に住む70代の女性は「いっときより駐車は減ったけど、特に夜間は、家にいてもバタバタと車に乗り降りする音や話し声が外から聞こえてきます」と話すなど、その効果は限定的なようだ。
無断駐車をめぐるトラブル
無断駐車をめぐっては、正月の神社仏閣近辺に限らず国内の至るところでトラブルの原因となっている。
たとえば、昨年8月には静岡県沼津市で自店の駐車場に無断で車を止められた店主が、駐車した車を出られなくする“反撃”をしてSNSで賛否を呼んだ。京都では11月、「観光バス」の無断路上駐車が増加し交通渋滞の原因となっていることが「京都新聞」によって報道された。
もしも自宅の敷地内や、付近の道路上など通行の妨げとなる場所に無断駐車された場合、どのような対応が正解なのだろうか。交通事故に多く対応する鈴木淳志弁護士に話を聞いた。
私有地に無断駐車された時はどうする?
まず、自宅の敷地内や所有の駐車場内など私有地に無断駐車された場合、鈴木弁護士は「勝手に車を動かすのはNG行為」と説明する。
「たとえ“無断”駐車であっても、勝手に車を動かしたり処分したりすると自力救済(※)とみなされ、場合によっては車両所有者から不法行為と主張され、賠償請求されるという話になりかねません。法的に適切に撤去するためには、車両所有者を特定し、民事訴訟を提起し、相手に撤去を求めるという手続きを踏む必要があります」(鈴木弁護士)
※裁判所を通さずに自力で権利侵害を排除することはできないという原則。
有料の駐車場などで「無断駐車は罰金◯万円」「見つけ次第レッカー移動」といった看板を見たことがあるかもしれないが、これらの警告に法的な拘束力はない。それどころか、車両所有者への確認なしにレッカー移動した場合は前出の「自力救済」に当たる可能性がある。
また、私有地の違法駐車に対する警察への通報についても、鈴木弁護士は「有効ではない可能性」を指摘する。
「基本的に私有地への無断駐車は“民事的”な問題として扱われます。したがって、通報したとしても警察には民事不介入の原則があるため、どこまで協力してくれるかは現場に来た警察官次第。まったく動いてくれない場合もあるでしょう」(同前)
自宅前「公道」への駐車は110番通報
一方で、自宅の前などの「公道」に無断駐車された場合について、鈴木弁護士は「警察に通報するべき」と説明する。
「駐車禁止の場所に駐車していた場合には道路交通法違反、長時間(日中12時間、夜間8時間)同一の場所に駐車しているような場合には『自動車の保管場所の確保等に関する法律』に抵触していますので、警察に通報すれば移動を命じるなどの措置を取ってくれます」(鈴木弁護士)
主な駐車禁止の場所としては、駐車場や車庫などの「自動車用の出入り口」から3メートル以内や、交差点の側端(そくたん)・道路のまがり角から5メートル以内の部分などが挙げられる。
このような場所への駐車を目撃した場合は、すみやかに警察へ通報することがベストな対応となる。
また長時間の駐車であることを証明するために、写真を撮影する際には時刻がわかるスマートフォンなどで駐車車両を撮影しておくのも有効だ。
ただし私有地と同じく公道であっても、迷惑車両を勝手に動かす行為は“不法行為”にあたる可能性がある。理不尽な思いをしないためにも、有名施設の近隣の家庭や駐車場運営者などは各自が“無断で車が止められないよう”工夫する必要がありそうだ。
- この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。
おすすめ記事