アマゾンから購入のバッテリー発火で自宅が半焼「プラットフォーマー」への賠償請求は認められず

弁護士JP編集部

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アマゾンから購入のバッテリー発火で自宅が半焼「プラットフォーマー」への賠償請求は認められず
2017年11月、バッテリーが原因で火災が発生した加藤さんの自宅(写真:加藤尚徳さん提供)

Amazonマーケットプレイス経由で購入したモバイルバッテリーが原因となり火災が発生、自宅が半焼した男性がアマゾンジャパンを相手取り30万円の損害賠償を求めた裁判で、4月15日東京地裁(伊藤正晴裁判長)は請求を棄却する判決を言い渡した。

「和解金」は支払われたが…

2017年11月、原告である会社員加藤尚徳さん(35)の住むマンションから出火が発生し、自宅の家財道具が消失、火災保険に加入していたものの、保険金を超過する損害を受けた。火災後の調べで、購入した中国製モバイルバッテリー(オーキー社製)の劣化・損傷を原因とする内部からの出火が判明。

その後、中国現地の弁護士などを通じ、オーキー中国本社と交渉、日中の法制度の違い、高額の裁判費用を考慮し訴訟は断念したが和解金として184万円が支払われていた。しかし、損害に対する補償額が充分ではなく、プラットフォーマーであるアマゾンに対し、裁判では損害の一部賠償と、被害者救済の仕組みを求めていたもの。

加藤さんは主に「適正な事業者(出店・出品)かを審査する義務」「保険・補償制度を構築する義務」を怠っていたと主張していた。

裁判所は、いずれも具体的な根拠が明らかではなく、本件のバッテリーについては出品者であるオーキー社との和解が成立している点などを考慮し、これらの主張を退けた。

裁判の経緯(加藤さんの資料を基に編集部で作成)

「消費者にリスク、コストが転嫁される」

加藤さんは判決後に開いた会見で、今回の判決について「訴えを認めていただけなかったのは非常に残念と思う一方で、一つ社会に問題提起できたということは大きな意義であると感じている」としながら、和解の認定については、オーキー社側が責任はないと主張した上での「見舞金」であることなどから違和感も語った。

また、「今回のように相手方の連絡先の明示や事故があった時の責任、安全性も(プラットフォーマー側の)義務として認められなければ、結局は消費者にリスク、コストが転嫁される」と訴え、控訴の意向を示した。

火災で家族の写真が焼失したのが感情的心情的に1番辛かったと語る加藤さん(写真:4月15日霞が関/弁護士JP)
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