突如没収の悲劇も? 沖縄旅行“要注意”のお土産とは

弁護士JP編集部

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突如没収の悲劇も?  沖縄旅行“要注意”のお土産とは
バラエティに富んだお土産も沖縄旅行の魅力のひとつだが・・・(fumoto / PIXTA)

長い人では10連休となる今年のゴールデンウィーク(GW)。旅行代理店株式会社エイチ・アイ・エスが発表した予約状況などからの調査によれば、GW期間中に人気第1位の国内旅行先は沖縄県だった。

2022年GW期間の国内旅行予約者数ランキング(エイチ・アイ・エス「2022年ゴールデンウィーク旅行予約動向」より)

沖縄本島の滞在予約は減少したものの、宮古島、石垣島など離島は前年を超える予約数となっているという。

日本返還50周年である今年、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』もはじまり、ますます注目を集める沖縄県。

県が令和2年度に行った観光客満足度調査によれば、沖縄を訪れた日本人客のうち実に96.9%が「(沖縄旅行に)満足した」と答えている(大変満足67.8%、やや満足29.1%)。

青い空と透き通った海、暖かな気候に美味しい料理といった豊かな観光資源に恵まれ、名実ともに日本随一の観光地である。

しかし、そんな沖縄県から”持ち出してはいけない”植物があることをご存じだろうか。

沖縄県から「持ち出してはいけない」植物がある理由

沖縄県から持ち出せない植物の一部(植物防疫所「広報用リーフレット」より)

沖縄食材としても人気の高い「紅イモ」(以下、サツマイモ)や「シークヮーサーの苗木」など、実は県外に持ち出せない。

これらの規制にはきちんとした理由がある。

沖縄県全土では現在、サツマイモなどの農作物に大きな被害を与える病害虫が発生している。病害虫が付着するおそれのある対象植物が、他の地域に持ち出されないよう、移動の取締りが行われているのだ。

植物防疫所が公表している「持ち出してはいけない植物」は、サツマイモ、ヨウサイ(空心菜など)、アサガオ・ヒルガオなどの生茎葉及び地下部、カンキツ類(シークヮーサー、ミカンなど)、ゲッキツ、オオバゲッキツ(カレーリーフ)、イチジクなどの生植物(※種子及び果実を除く)だ。(※2022年4月時点)

沖縄の海空港では植物防疫官による声掛けや巡回、リーフレットの配布、案内板の設置などが実施されており、2020年は対象植物の取り締まりが6件あった(植物防疫所統計 より)。

悪質な持ち出しには罰則も

持ち出しが禁止されている対象植物が荷物から発見された場合、どうなるのか。

那覇植物防疫事務所輸出及び国内検疫担当の佐久本氏によれば「規制内容を説明の上、自主的に放棄いただく」対応がとられるという。また、制度を知らずに対象植物を持ち出してしまった場合に関しては、「速やかに最寄りの植物防疫所に知らせてほしい」と呼びかける。

空港内の植物検疫カウンター(植物防疫所ホームページより)

規制を知った上で故意に持ち出したり、隠匿するなど悪質性が認められた場合は、植物防疫法第39条第1号において罰せられる(3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金)こともあるというので、必ず申告が必要だ。

「どうしても持ち帰りたい!」と思ったら

旅行者の中には、お土産として移動規制対象の植物をどうしても持ち帰りたいという人もいるだろう。その場合、正規の手順を踏めば持ち出すことができる植物もある。

例えば、サツマイモ(紅イモなど)は蒸熱処理されていれば持ち出しが可能となる。

蒸熱処理機で消毒を行う(西原村ホームページより)

事前の申し込みが必要だが、植物防疫所に購入したサツマイモを持参すると、数日程度で消毒してもらえる。

ただし、「植物防疫所が所有する蒸熱処理機は処理容量が小さく、個人消費用のサツマイモについてのみ」(佐久本氏)で、業務用などの大量の消毒には対応していない。

消毒済みのサツマイモは害虫が再侵入しないように密閉され、外装に「消毒確認証印」が押される。この状態であれば持ち出しても良くなる(※こん包は規制地域内を出るまで開けることができない)。

また、シークヮーサーの苗木を持ち出したい場合は、接ぎ木による検査やPCR検査により、持ち出しまで1年程度の期間が必要だ。

「この植物は持ち出して大丈夫だろうか?」「移動規制の植物だけど持ち帰りたい」などと思ったら、那覇の植物防疫所への問い合わせが確実だ。

沖縄以外の地域にもある「移動規制の植物」

ここで紹介した植物(例えばサツマイモ)は、鹿児島の奄美群島、トカラ列島や、東京の小笠原諸島でも移動規制対象だ。これらの規制は、その地域の病害虫の発生状況により変化するので、気になる旅行者は事前に植物防疫所のホームページなどでの確認をおススメする。

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