症状固定のFAQ（よくある質問）

1. 症状固定についてのFAQ

Q1. いつ症状固定と判断されるのですか？

症状固定とは、これ以上治療を継続しても症状の改善が期待できない状態をいいます。

症状固定時期は、治療を担当した医師が患者の回復の具合や症状などを踏まえて、医学上一般に認められた治療を行っても効果が期待できないと判断した時点になります。

そのため、けがの状態に応じて個別具体的に判断しなければなりません。

なお、保険会社による治療費打ち切りと症状固定は、まったく別のものになりますので注意が必要です。

Q2. 医師から「症状固定」と言われたのですが、まだ痛みが残っています。治療を続けることはできないのでしょうか？

症状固定は、事故と因果関係のあるけがの治療の終期を定める概念ですので、症状固定と診断されると、それ以降は治療費を請求することはできません。

ただし、治療をすることが禁止されるわけではありませんので、治療により症状が一時的に改善されるなどの効果が期待できる場合には、自己負担にはなりますが治療を継続することができます。

なお、例外的に症状固定後の治療費が損害として認められることがあります。それは、症状固定後も治療の必要性が認められるケースです。

たとえば、植物状態になり生命を維持するために治療を継続する必要がある場合、症状固定後も強い身体的苦痛が残っており、苦痛を軽減するために治療を継続する必要がある場合などが挙げられます。

Q3. 症状固定に納得できない場合はどうすればよいですか？

症状固定に納得できない場合は、治療を担当した医師に相談して、症状固定時期を先延ばしにしてもらうよう掛け合ってみてください。その際には、治療により症状が改善している旨を伝えることが大切です。

なお、主治医に相談しても症状固定時期の先延ばしに応じてくれないときは、別の病院でセカンドオピニオンを求める、弁護士のアドバイスを求めるなどの方法も有効です。

Q4. 症状固定後、後遺障害が残った場合、どうすればよいですか？

症状固定後に何らかの症状が残っている状態を「後遺症」といいます。後遺症がある場合には、自賠責保険に対して後遺障害等級申請をすることで、症状に応じた後遺障害等級認定を受けることができます。

後遺障害等級申請の方法には、加害者側の保険会社にすべて任せる「事前認定」と被害者自身ですべての手続きを行う「被害者請求」の2つがあります。適正な後遺障害等級認定を受けるには、自分で納得できる資料を収集・提出できる被害者請求がおすすめです。

Q5. 症状固定に関する相談は、どこにすればよいですか？

症状固定は、医師が判断しますので、症状固定時期についての相談は、治療を担当している医師にするとよいでしょう。

また、弁護士に相談をすれば症状固定時期が妥当であるかのアドバイスや後遺障害認定のサポートをしてもらうことができます。

Q6. 症状固定前にやっておくべきことはありますか？

症状固定と判断される前に、きちんと継続して通院することが大切です。

途中で治療をやめたり、通院頻度が少なすぎたりすると症状固定と判断された後に適正な後遺障害等級認定を受けることができません。

後遺障害等級認定は、逸失利益や後遺障害慰謝料などの損害賠償額にも大きな影響を与えますので、症状固定前にしっかりと通院を行うようにしましょう。

Q7. 医師が後遺障害診断書を書いてくれない場合はどうすればよいですか？

医師が後遺障害診断書を書いてくれない場合、まずは、医師に理由を確認してみてください。

症状固定時期でないことが後遺障害診断書の作成を拒否する理由であれば、医師の指示にしたがって引き続き通院を続けるようにしましょう。

他方、合理的理由なく後遺障害診断書の作成を拒否するようであれば、弁護士から後遺障害診断書の作成を依頼することで応じてくれる可能性もありますので、まずは、弁護士にご相談ください。