【発信者情報開示請求】費用の相場は? 内訳や弁護士費用も解説
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1. 発信者情報開示請求の費用相場と内訳
発信者情報開示請求ではどのような費用がかかるのでしょうか。以下では、発信者情報開示請求の手続きごとに必要になる費用とその内訳を説明します。
(1)発信者情報開示請求では3段階で費用がかかる
発信者情報開示請求の手続きには、3つの段階があります。
- 発信者情報開示の仮処分申し立て
- ログ保存の仮処分申し立て
- 発信者情報開示請求訴訟の提起
以下では、各段階で必要になる費用を説明します。
なお、弁護士に依頼してこれらの手続きを進めていく場合、以下で説明する費用のほかに、弁護士費用もかかります。
①発信者情報開示の仮処分申し立ての費用
コンテンツプロバイダに対して発信者情報開示の仮処分の申し立てをする場合には、以下のような費用がかかります。
- 申し立て手数料(収入印紙)
発信者情報開示の仮処分の申し立て手数料は、2000円/件です。 - 予納郵券(郵便切手)
裁判所から書類の送達などをする際の郵便切手も申し立て人が納める必要があります。予納郵券の金額は、申し立てをする裁判所によって異なりますが、数千円程度がかかります。 - 担保金
担保金とは、仮処分命令により債務者に不当な損害を与えた場合に備えて提供しなければならないお金です。発信者情報開示の仮処分の事案では、10~30万円程度が担保金の相場になります。
なお、コンテンツプロバイダから発信者情報(IPアドレス、タイムスタンプなど)の開示が受けられれば、担保金は返還されます。
②ログ保存の仮処分申し立ての費用
アクセスプロバイダに対して、ログ保存の仮処分申し立てをする場合には、以下のような費用がかかります。基本的には、発信者情報開示の仮処分と同様の費用がかかります。
- 申し立て手数料(収入印紙)
ログ保存の仮処分の申し立て手数料は、2000円/件です。 - 予納郵券(郵便切手)
予納郵券の金額は、申し立てをする裁判所によって異なりますが、数千円程度がかかります。 - 担保金
ログ保存の仮処分の事案では、10~30万円程度が担保金の相場になります。
なお、ログ保存の仮処分の担保金も後日返還を受けられます。
③発信者情報開示請求訴訟の費用
アクセスプロバイダに対して、発信者情報開示請求訴訟を提起する場合には、以下のような費用がかかります。
- 申し立て手数料
発信者情報開示請求訴訟の申し立て手数料は、1万3000円です。 - 予納郵券(郵便切手)
予納郵券の金額は、訴訟を提起する裁判所によって異なりますが、東京地裁の場合は6000円となっています。
(2)任意開示請求の費用
発信者情報開示請求は、上記のような仮処分や訴訟といった法的手段だけでなく、コンテンツプロバイダやアクセスプロバイダへの任意の開示請求という形で行うこともできます。
この場合にかかる費用は、数百円程度の郵送費用のみです。
ただし、任意の開示請求に応じてくれることはほとんどなく、多くのケースでは裁判手続きが必要になります。
(3)発信者情報開示命令の制度を利用した場合の費用
プロバイダ責任制限法の改正により、新たに発信者情報開示命令という制度が設けられました。これは、従来の2段階の発信者情報開示請求の手続きを1つにまとめたものになります。
発信者情報開示命令の制度を利用した場合、以下のような費用がかかります。
- 申し立て手数料
発信者情報開示命令では、コンテンツプロバイダに対する発信者情報開示命令、提供命令、アクセスプロバイダに対する発信者情報開示命令、消去禁止命令という4つの申し立てを行います。
それぞれの申し立てで1000円の手数料がかかり、申し立て手数料としては合計4000円がかかります。 - 予納郵券
コンテンツプロバイダに対する申し立てとアクセスプロバイダに対する申し立てのそれぞれで予納郵券が発生します。予納郵券の金額は、申し立てをする裁判所によって異なりますが、それぞれの申し立てで5000円程度がかかります。
2. 発信者情報開示請求での弁護士費用の相場
以下では、発信者情報開示請求での弁護士費用の相場を説明します。
(1)弁護士費用の内訳
弁護士費用には、以下のような項目があります。
①相談料
相談料とは、弁護士に法律相談をした場合に発生する費用です。
②着手金
着手金とは、弁護士に事件を依頼した場合に発生する費用です。着手金は、事件処理の結果にかかわらず返金されることはありません。
③報酬金
報酬金とは、弁護士が依頼された事件を解決した際に発生する費用です。報酬金は、事件処理の成果に応じて発生するため、発信者情報の開示を受けられなかったときは報酬金はゼロとなります。
④実費
実費とは、弁護士が事件処理にあたって実際に支出した費用です。実費には以下のようなものが含まれます。
- 印紙代
- 切手代
- 記録謄写費用
- 交通費
⑤日当
日当とは、弁護士が事件処理のために事務所所在地から移動することで時間的に拘束された場合に発生する費用です。
(2)弁護士費用の相場
発信者情報開示請求の弁護士費用の相場は、以下のとおりです。
①相談料
相談料は、1時間あたり1万円が相場になります。
無料相談を実施している法律事務所であれば、無料で相談することもできます。
②着手金
着手金は、任意の発信者情報開示請求と裁判手続きによる発信者情報開示請求とで異なります。
任意の発信者情報開示請求 | 5~10万円程度 |
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裁判手続きによる発信者情報開示請求 | 20~30万円程度 |
③報酬金
報酬金は、10~20万円程度が相場になります。
④実費
実費は、どのような事件処理をするかによって変わりますが、1~2万円程度が相場になります。
⑤日当
日当は、拘束時間が半日で3~5万円、1日で5~10万円が相場になります。
3. 弁護士費用は相手に請求できるか
発信者情報開示請求の弁護士費用に関して押さえておくべきポイントを説明します。
(1)弁護士費用は必ず相手に請求できるとは限らない
発信者情報開示請求にかかる弁護士費用については「調査費用」として、誹謗中傷をした人に請求することが可能です。
ただし、全額請求できるとは限らず、一部しか認められなかった場合は残りを自己負担しなければなりません。
誹謗中傷をした相手に対しては慰謝料請求も可能ですが、慰謝料の相場が低いこともあり、事案によっては発信者情報開示請求の弁護士費用で、費用倒れになる可能性もあるため注意が必要です。
(2)弁護士依頼のメリット
発信者情報開示請求は、弁護士に依頼すると弁護士費用がかかりますが、それを上回る以下のようなメリットがあるため弁護士に依頼するのがおすすめです。
①法的なアドバイスやサポートが受けられる
インターネット上で誹謗中傷の書き込みを見つけても、どのように対応すればよいかわからないという方がほとんどです。インターネット上の誹謗中傷は、すぐに情報が拡散してしまい被害の拡大を招きます。そのため、早期に適切な対応をすることが重要です。
弁護士に依頼すれば状況に応じた最適な手段を講じてくれるため、被害を最小限に抑えることができます。
②発信者情報開示請求の手続きを一任できる
発信者情報開示請求は、仮処分や訴訟といった裁判手続きが必要なため、知識や経験に乏しい一般の方では、対応が困難といえます。
弁護士に依頼すれば、複雑な発信者情報開示請求の手続きをすべて任せることができ、ご自身の負担はほとんどありません。また、専門家に手続きを任せることで開示請求の成功率を上げることができます。
③損害賠償請求もそのまま任せられる
発信者情報開示請求により誹謗中傷した投稿者を特定できたら、次は、投稿者に対して損害賠償請求を行っていきます。損害賠償請求は、まずは相手との交渉で行い、交渉が決裂したときは裁判所に訴訟提起が必要になります。
発信者情報開示請求を弁護士に依頼すれば、損害賠償請求の手続きも引き続き対応してもらえるので、最後まで安心して任せられます。
- こちらに掲載されている情報は、2024年10月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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