リベンジポルノ被害の慰謝料・損害賠償相場と請求方法

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リベンジポルノ被害の慰謝料・損害賠償相場と請求方法

リベンジポルノは、リベンジポルノ防止法違反の罪に問われる犯罪だけでなく、民法上の不法行為が成立しますので、被害者は加害者に対して、慰謝料などの損害賠償請求をすることができます。

リベンジポルノによる被害は、一般的なインターネット上での誹謗(ひぼう)中傷よりも大きいため、賠償額も高額になる傾向があります。適切な賠償を受けるためにも慰謝料・損害賠償相場をしっかりと押さえておきましょう。

1. リベンジポルノ被害は慰謝料・損害賠償請求ができる

リベンジポルノの被害に遭ったときは、加害者に対して、慰謝料・損害賠償請求が可能です。

以下では、加害者に請求できる賠償金の項目などを説明します。

(1)リベンジポルノ被害に遭ったら損害賠償請求が可能

リベンジポルノは、被害者の名誉やプライバシーを侵害する違法な行為ですので、民法上の不法行為が成立します(民法709条)。

そのため、被害者は、リベンジポルノの加害者に対して、不法行為を根拠として損害賠償請求をすることができます。

(2)リベンジポルノ被害で請求できる損害項目

リベンジポルノの被害に遭った場合に請求できる損害項目には、以下のようなものがあります。

①積極損害

積極損害とは、リベンジポルノにより被害者が実際に負担せざるを得なくなった損害をいいます。積極損害にあたるものとしては、以下のようなものがあります。

  • 治療費
  • 通院交通費
  • 弁護士費用

②消極損害

消極損害とは、リベンジポルノにより被害者が本来得られるはずの利益を失ったことによる損害をいいます。消極損害にあたるものとしては、以下のようなものがあります。

  • 休業損害
  • 逸失利益

③精神的損害

精神的損害とは、リベンジポルノにより被害者が被った精神的苦痛をいいます。精神的損害にあたるものとしては、慰謝料があります。

2. リベンジポルノ被害の慰謝料・損害賠償の相場

リベンジポルノの被害に遭った場合の慰謝料・損害賠償の相場は、どのくらいになるのでしょうか。

以下では、一般的な相場や高額になるケースを説明します。

(1)リベンジポルノ被害の慰謝料・損害賠償の相場

リベンジポルノ被害の慰謝料は、50~100万円程度が一般的な相場になります。一般的なインターネット上の誹謗中傷による慰謝料の相場が10~50万円程度であるのと比較すると、リベンジポルノ被害の慰謝料は、高額になりやすいといえるでしょう。

また、慰謝料以外の損害賠償については、実際の損害項目を積み上げて計算しますので、事案によってケース・バイ・ケースであり、一般的な相場というものはありません。

(2)慰謝料・損害賠償が高額になるケース

リベンジポルノの慰謝料額は、さまざまな要素を踏まえて決定しますが、以下のような事情がある場合には、慰謝料が高額になる傾向があります。

  • 公開された画像や動画から被害者を特定するのが容易である
  • 公開された画像や動画に被害者の裸体や性器などがうつっている
  • 公開された画像や動画が盗撮など被害者の同意なく撮影された
  • 公開された画像や動画が広く拡散された
  • 被害者が精神疾患を発症した
  • 公開により仕事を辞めざるを得なくなった
  • 加害者が営利目的で公開していた

また、リベンジポルノにより仕事を辞めざるを得なくなった場合、慰謝料の増額事由になるだけでなく、休業損害や逸失利益などの請求も可能になるため、高額な賠償金を請求できる可能性があります。

(3)リベンジポルノに関する判例

リベンジポルノに関する慰謝料の支払いが命じられた裁判例には、以下のようなものがあります。

①盗撮動画の流出により200万円の慰謝料が認められた事例|東京地裁平成16年7月14日判決

この事案は、芸能活動を行っている原告が露天風呂に入浴する様子を盗撮され、被告の経営するアダルトビデオ店において販売されていたという事案になります。

裁判では、芸能人であることをことさらに強調して動画が販売されていたこと、盗撮動画の販売により原告の裸体が広く流通したことなどを考慮して、200万円の慰謝料の支払いが命じられました。

②盗撮動画の流出がなくても100万円の慰謝料が認められた事例|宮崎地裁平成28年3月28日判決

この事案は、アロママッサージ店を経営する被告(加害者)が原告(被害者)にマッサージを行った後、性行為に及んだ様子が無断で動画撮影されていたという事案になります。

裁判では、裸体や性行為といった通常他人に見せるものでない私的な姿を無断で撮影され、映像の削除にも応じていないという事情を考慮して、100万円の慰謝料の支払いが命じられました。

3. リベンジポルノ被害の慰謝料・損害賠償請求の方法

リベンジポルノ被害を理由に慰謝料・損害賠償請求をする場合、以下のような事前準備と方法により行います。

(1)慰謝料・損害賠償請求の事前準備

リベンジポルノ被害で慰謝料・損害賠償請求をするためには、被害者の側でリベンジポルノによる権利侵害や損害の発生を立証していかなければなりません。そのためには、以下のような証拠が必要になります。

  • SNSや掲示板などに投稿された動画や画像
  • 投稿された日時、URL
  • 投稿者のアカウント情報

画像であれば当該ページのスクリーンショットを撮る方法により、動画であれば録画やダウンロードをする方法により証拠収集・保全を行うようにしましょう。

(2)慰謝料・損害賠償を請求する方法

リベンジポルノ被害の慰謝料・損害賠償を請求する場合、以下のような方法で行います。

①【加害者が不明な場合】発信者情報開示請求

リベンジポルノを公開した加害者が不明な場合、まずは加害者を特定しなければなりません。加害者を特定するためには、以下のような発信者情報開示請求が必要になります。

  • コンテンツプロバイダに対する発信者情報開示仮処分の申立て
  • アクセスプロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟の提起

発信者情報開示請求には、上記のような法的手続きが必要になりますので、自分だけでは対応が難しいときは、専門家である弁護士に相談するようにしましょう。

②内容証明郵便を送付する

加害者が特定できたら、慰謝料・損害賠償の支払いを求める通知書を作成し、内容証明郵便を利用して加害者に送付します。

内容証明郵便自体には、支払いを強制する効力はありませんが、特別な形式の文書が届いたことで被害者の本気度が伝わりますので、交渉に応じてくれる可能性が高くなります。

③加害者と示談交渉する

内容証明郵便が届いたら、加害者との示談交渉をスタートします。示談交渉では、主に以下のような内容を話し合っていきます。

  • リベンジポルノの公開を認めるかどうか
  • 慰謝料や損害賠償の金額
  • 慰謝料や損害賠償の支払い方法(一括または分割)
  • 慰謝料や損害賠償の支払い時期

任意の支払いに応じないときは、刑事告訴や民事訴訟の提起を交渉材料にすることも有効です。

④民事訴訟を提起する

加害者との交渉が決裂したときは、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起します。

裁判で慰謝料・損害賠償の支払いを命じる判決が確定すれば、相手が支払いに応じなくても強制執行の手続きにより強制的に慰謝料などを回収することができます。

(3)高額な慰謝料・損害賠償の獲得は弁護士へ相談を

リベンジポルノの慰謝料・損害賠償は、一般的なインターネット上の誹謗中傷の事案に比べて高額になる傾向があります。知識や経験がなければ適正な賠償額を獲得することができませんので、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に依頼すれば、証拠収集、削除依頼、示談交渉、訴訟手続きのすべてを任せることができます。リベンジポルノによる精神的苦痛を被った状態では、相手との交渉も満足に行うことができないと思いますので、ご自身の負担を少しでも軽減するためにも早めに弁護士に相談するようにしましょう。

リベンジポルノの損害賠償請求はどうやる? 相場と増額方法を解説

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