なりすましの被害に遭った場合の対処法と、被害を防ぐための手だて

  • インターネット
弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
なりすましの被害に遭った場合の対処法と、被害を防ぐための手だて

インターネット上で自分になりすました人を放置していると、不適切な言動が自分のものとして広まり、社会的評価が低下してしまうおそれがあります。なりすましを見つけたら、速やかに警察などへ相談しましょう。

1. なりすましとは

「なりすまし」とは、他人のふりをすることを意味します。インターネットは匿名性が高い空間なので、なりすましがしやすい特徴があります。

(1)なりすましの具体例

インターネット上におけるなりすましとしては、以下のような例が挙げられます。いずれも、本人に重大な損害をもたらしうるので、発見したら速やかに対処しなければなりません。

①SNSのなりすましアカウント

フォロワー集めやアフィリエイト広告によるお金稼ぎなどを目的とした、有名人などになりすましたSNSアカウントを開設するケースがあります。

②SNSアカウントののっとり

IDやパスワードなどを盗用して、他人のSNSアカウントをのっとる被害事例が報告されています。

③なりすましによるウェブサイトの開設

SNSアカウントと同様に、他人になりすましてウェブサイトを開設する例もあります。なりすましのウェブサイトにおいては、別の他人に対する誹謗(ひぼう)中傷などが行われるケースもあるようです。

④なりすましによる商品の購入

他人になりすまして商品を購入し、着払いで本人の自宅へ配達させるなどの迷惑行為が見られます。

(2)なりすましについて成立する犯罪

インターネット上でのなりすまし行為は、以下の犯罪によって処罰されることがあります。

①詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪

他人になりすまして商品を購入したり、なりすましによって他人の信用を利用してお金を借りたりすると、詐欺罪または電子計算機使用詐欺罪が成立します(刑法第246条第1項、第246条の2)。

詐欺罪および電子計算機使用詐欺罪の法定刑は、いずれも「10年以下の懲役」です。

②不正アクセス禁止法違反

他人のIDやパスワードなどを盗用してウェブサービスなどにログインすると、不正アクセス禁止法違反によって「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されます(不正アクセス禁止法第3条、第11条)。

③名誉毀損(きそん)罪

他人になりすました上で、事実を摘示して本人や第三者の社会的評価を下げるような言動を公然と行うと、名誉毀損罪による処罰の対象となります(刑法第230条)。

名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。

④偽計業務妨害罪

なりすまし行為によって他人の業務を妨害した場合は、偽計業務妨害罪が成立します(刑法第233条)。

偽計業務妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

2. なりすまし被害に遭ったらどうすべき?

インターネット上において、他人が自分になりすましているのを発見したら、ポイントを押さえつつ落ち着いて対応しましょう。

(1)なりすまし被害への対処法

なりすまし被害に遭ったら、以下の対応を順次行いましょう。

①被害状況の確認・証拠保全

なりすましのアカウントがどのような投稿をしており、自分にとってどのような損害が生じているのかを確認します。アカウント情報や投稿内容などについては、日付やURLを表示させた上でスクリーンショットを撮影し、証拠保全をしましょう。

②サイト管理者への通報

なりすましアカウントを速やかに削除するよう、サイト管理者に通報します。サイト管理者がアカウントの削除に応じない場合は、裁判所に削除仮処分を申し立てることも検討しましょう。

③警察への相談

なりすましが犯罪にあたると思われる場合は、警察署で被害届を提出しましょう。具体的な被害が生じていることを伝えれば、捜査に動いてもらえる可能性があります。

④投稿者の特定・損害賠償請求

投稿者が匿名の場合は、発信者情報開示請求などによって特定します。投稿者を特定できたら、なりすましによって生じた損害の賠償を請求しましょう。

(2)なりすましを見つけた際の注意点

インターネット上で自分になりすましている人を見つけても、その人と安易に連絡をとったり、自分で示談交渉を進めようとしたりすることは危険です。詐欺や脅迫などの被害に遭ってしまうおそれがあります。

なりすまし被害に対処するためには、弁護士に相談してサポートを受けるのが安心です。

弁護士に相談すれば、なりすまし被害への対応をどのように進めたらよいかについてアドバイスを受けられます。また、削除依頼・発信者情報開示請求・損害賠償請求などの対応は、弁護士に代行してもらうことも可能です。

インターネット上におけるなりすまし被害にお悩みの方は、お早めに弁護士へご相談ください。

3. なりすまし被害を防ぐための対策

インターネット上でのなりすまし被害のリスクをできる限り防ぐためには、個人情報の管理を適切に行うことが大切です。

個人情報を広く公開すると、攻撃者にとってなりすましがしやすくなります。SNSなどのプライバシー設定を見直し、公開範囲を適切に設定した上で、プライバシー性の高い情報を安易に投稿しないようにしましょう。

また、SNSアカウントののっとりなどを防ぐためには、アカウントのセキュリティーを強化することが重要です。ID・メールアドレス・パスワードなどを適切に管理するとともに、多要素認証が設定できる場合は設定して、セキュリティー強化に努めましょう。

さらに、定期的にインターネット上で自分の情報を検索して(いわゆる「エゴサーチ」)、自分になりすましている人がいないかどうかチェックすることも効果的です。特に著名人・インフルエンサー・企業などは、なりすましのリスクが高いので、定期的にエゴサーチを行うことをおすすめします。

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2024年10月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

インターネットに強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す