過去に出演したAV動画を削除したい|削除方法や相談窓口を解説
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1. ネット上のAV動画を削除できるケース
以下に挙げるようなケースでは、インターネット上で公表されているAV動画や関連する記事・画像などを削除してもらえることがあります。
(1)AV人権倫理機構の枠組みに参加するメーカーから発売されている場合
AV出演強要などの人権問題に対処するため、2017年10月1日に「AV人権倫理機構」が発足しました。
AV人権倫理機構は、過去にリリースされたAV作品の販売・レンタル・配信等の停止申請を受け付けていました。
同機構は2024年3月31日に活動を終了しましたが、現在は知的財産振興協会(IPPA)が引き続き停止申請を受け付けています。
AV人権倫理機構に賛同する枠組みに参加しているメーカーからリリースされているAV動画については、知的財産振興協会に対して停止申請を行うことで、インターネット上から削除してもらえる可能性があります。
(参考:AV人権倫理機構「作品販売等停止申請」)
(2)AVの出演契約を取り消すことができる場合
以下に挙げるような場合には、AVの出演契約を取り消すことができます。
- 出演契約の締結時に未成年者だった場合
- 錯誤、詐欺または強迫により出演契約を締結した場合
- メーカー側が、出演者に対する説明義務や書面交付義務を果たさなかった場合
など
出演契約を取り消せば、インターネット上のAV動画の削除も請求可能です。ただし、メーカー側が反発して争いに発展することも想定されます。その場合は、訴訟などによって出演契約の取り消しおよびAV動画の削除を主張しましょう。
(3)AV動画が違法アップロードされている場合
動画サイト上に違法アップロードされているAV動画は、サイト管理者に依頼すれば削除してもらえることがあります。
サイト管理者が削除に応じないときは、裁判所に対して削除の仮処分を申し立てることも考えられます。この場合、AV動画の権利者(メーカーなど)の協力を得ることが必要です。
(4)AV動画が無許可で改変されている場合
AIによるモザイクの除去など、AV動画が無許可で改変されている場合には、著作権または著作者人格権の侵害を理由に、その動画の削除を請求できることがあります。
権利者(メーカーなど)の協力を得て、サイト管理者に対して削除請求を行うか、または裁判所に削除の仮処分を申し立てましょう。
2. ネット上のAV動画の削除方法
出演者がインターネット上のAV動画の削除をしたい場合、削除請求を自分で行うか、または専門家に依頼して行いましょう。
(1)自分でAV動画の削除請求をする
公式に掲載されているAV動画についてはメーカーなど、違法アップロードされているものについては掲載サイトの管理者に対して、それぞれ削除請求を行いましょう。
自力で削除請求をする場合は、基本的には相手方との交渉での解決を目指します。
メーカーに対しては、すでに知っている担当者のメールアドレスや、サイト上の問い合わせフォームなどから連絡をとり、理由を示して動画の削除を依頼しましょう。
AV人権倫理機構に賛同する枠組みに参加しているメーカーであれば、知的財産振興協会に対して停止申請を行うことも考えられます。
(参考:AV人権倫理機構「作品販売等停止申請」)
違法アップロードされたAV動画の掲載サイトに対しては、削除依頼フォームなどから削除申請を行います。
また、Googleの検索結果から違法アップロードされたAV動画を削除したい場合は、Google上の報告フォームから削除を請求しましょう。
(参考:Google「Google 上のコンテンツを報告」)
(2)専門家に依頼する
AV動画の削除請求は、弁護士や削除代行業者などの専門家に依頼することもできます。
特に弁護士に依頼すれば、法的な観点からさまざまな方法を用いて、迅速にAV動画が削除されるように尽力してもらえます。
これに対して削除代行業者は、削除請求の相手方とトラブルになった際に、そのトラブルを解決するための対応をすることができません。
法律のルールを守らない違法業者や、相談者の秘密を漏らしてしまう業者も存在するので、基本的には弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
3. AV動画出演による被害を回復するための法的措置
AV動画への出演強要などによる被害を回復するためには、以下の法的措置を講じることを検討しましょう。
①差止め請求
AVの出演契約を取り消した上で、リリースされているAV動画の販売・レンタル・配信などの差し止めを請求します。
②損害賠償請求(慰謝料請求)
AV動画への出演を強要されたことなどにより、被った精神的損害の賠償を請求します。金額は具体的な事情によって異なりますが、100万円から300万円程度の慰謝料が認められる傾向にあります。
③刑事告訴
AVへの出演に関して強要行為がなされた場合には、メーカーやプロダクションの担当者などを強要罪(刑法第223条)で刑事告訴できることがあります。
また、出演契約の解除を妨げるためにうそをついたり脅したりする行為や、出演契約の締結にあたって説明義務や書面交付義務を果たさない行為も犯罪にあたるため、刑事告訴が可能です(AV出演被害防止・救済法第20条、第21条)。
刑事告訴をする際には、警察署に対して告訴状を提出しましょう。
4. AV動画出演による被害の相談窓口
AV動画への出演に関する被害に悩んでいる方は、以下の窓口などへ相談しましょう。
①知的財産振興協会(IPPA)
AV動画の作品販売等停止申請を受け付けています。
②警察
犯罪にあたるAV強要などについて、被害届の提出や刑事告訴をすることができます。
③弁護士
AV動画の販売等の差止め請求や、損害賠償請求などを代理で行ってもらうことができます。
法テラスや弁護士会で相談を受け付けているほか、法律事務所へ直接相談することも可能です。
- こちらに掲載されている情報は、2024年10月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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