自分が写っている動画を勝手に投稿されたら?
- インターネット
1. 自分の動画が勝手に投稿されているのを発見したらすべきこと
自分が映っている動画がインターネット上へ勝手に投稿されているのを発見したら、冷静に以下の対応をとりましょう。
(1)事実関係を把握する
まずは、投稿内容や被害の有無・程度などの事実関係を把握する必要があります。具体的には、以下の事項などを確認しましょう。
- 動画の内容(映っている人、撮影日時、場所など)
- 動画の公開範囲(限定公開、全体公開など)
- 動画の拡散状況(再生回数、コメント数など)
(2)動画や関連情報を記録・保存する
動画投稿削除請求や損害賠償請求などに備えて、証拠を確保することも大切です。動画そのものをダウンロードするほか、投稿日時・URL・投稿者のアカウント情報などを記録・保存しておきましょう。
(3)投稿者に連絡する
事実関係の確認と証拠の保存が完了したら、投稿者に連絡をとって速やかに動画を削除するよう求めましょう。
動画を自発的に削除させるためには、感情的な言葉遣いを避け、冷静かつ丁寧な対応をした方がよいです。自分で投稿者に連絡をとるのが怖い場合には、弁護士に代理で対応してもらいましょう。
2. 勝手に投稿された動画に対する法的主張
自分の動画が勝手に投稿された場合には、以下に挙げる法律上の理由を根拠に、投稿者に対して損害賠償を請求しましょう。
弁護士に依頼すれば、損害賠償請求に必要な証拠の確保・内容証明郵便による請求書の送付・訴訟手続きなどを幅広くサポートしてもらえます。
(1)著作権侵害
自ら撮影した動画については、著作権が発生します。
著作物をインターネット上にアップロードするためには、著作権者の許諾を得なければなりません。したがって、自分が撮影した動画がインターネット上へ勝手にアップロードされた場合には、著作権侵害を主張することができます。
著作権侵害を受けたときは、投稿者に対して動画の公開差し止めや損害賠償を請求できます(著作権法第112条、民法第709条)。
(2)肖像権侵害
人には、自己の容貌をみだりに撮影されず、または撮影された写真や動画などをみだりに公開されない権利(=肖像権)が認められています。
自分が映った動画を勝手に撮影され、さらにその動画がインターネット上へ勝手に公開された場合には、撮影者や投稿者に対して、肖像権侵害による動画の公開差し止めや損害賠償を請求できる可能性があります。
(3)プライバシー権侵害
他人の私生活に関する事実をみだりに公開する行為は、プライバシー権侵害に該当することがあります。
公の場での姿ではなく、自宅内やホテル内などのプライベートな空間における動画を勝手に公開された場合には、プライバシー権侵害に基づく損害賠償を請求できる可能性が高いです。
(4)名誉毀損
自分が映った動画を悪意のある形で編集されて公開された場合や、自分の動画に誹謗(ひぼう)中傷にあたるコメントを付して公開された場合などには、名誉毀損に基づいて損害賠償や名誉回復措置を請求できます(民法第709条、第723条)。
また、名誉毀損(きそん)罪によって投稿者を刑事告訴することも可能です(刑法第230条第1項、刑事訴訟法第230条)。刑事告訴をすれば、警察や検察による捜査が促され、投稿者の摘発につながる可能性があります。
3. 勝手に投稿された動画について、SNSや動画共有サイトの管理者に求める対応
他人によって勝手に投稿された自分の動画を発見したときは、投稿先のSNSや動画共有サイトの管理者に対しても、動画の削除・アカウントの凍結・発信者情報の開示などを請求し、被害の拡大防止への協力を求めましょう。
自分の映り込み写真がSNS上に! 削除できるケースなどを解説
(1)動画の削除・アカウントの凍結
SNSや動画共有サイトでは、不適切な動画の削除に関するガイドラインを設けているのが一般的です。ガイドラインに沿った理由を記載して動画の削除を申請すれば、管理者の審査を経て動画が削除される可能性があります。
また、不適切な動画を投稿するアカウントについては、管理者に凍結を求めましょう。動画の投稿が悪質なものである場合は、動画の削除と併せてアカウントの凍結についても対応してもらえることがあります。
(2)発信者情報の開示
動画の投稿者に対して損害賠償を請求するにあたっては、投稿者を特定する必要があります。そのためには、サイト管理者が保有する発信者情報(=投稿者の情報)の開示を請求しましょう。
SNSや動画共有サイトの管理者(=コンテンツ・プロバイダ)は、勝手に自分の動画を投稿した投稿者の個人情報を保有していることがあります。
個人情報そのものは保有していなくても、投稿に用いられた端末のIPアドレスなど、投稿者の特定につながる情報を保有しているかもしれません。
IPアドレスなどが分かれば、それを手掛かりとしてさらにインターネット接続業者(=アクセス・プロバイダ)に対して発信者情報開示請求を行うことで、投稿者を特定できる可能性があります。
発信者情報開示請求は、裁判手続きを通じて行うのが一般的です。複雑で専門的な対応が求められますので、弁護士のサポートを受けましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2024年10月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お一人で悩まず、まずはご相談ください
インターネットに強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?