- (更新:2024年12月06日)
- 借金・債務整理
家族の借金を代わりに返済してあげる必要はある?
家族が借金をしていることがわかった場合には、「自分には借金の返済義務があるのだろうか」など不安になる方もいるでしょう。また、家族の代わりに借金の返済をすることになった場合には、注意しなければならないポイントもあります。
今回は、家族の借金を代わりに返済する義務があるかどうか、返済する場合の注意点について解説します。
1. 借金を代わりに返済する必要はある?
借金は、消費貸借契約というお金を貸した人(債権者)およびお金を借りた人(債務者)との間の契約に基づいて発生するものです。債務者には、お金を返済する義務が生じますが、契約当事者ではない第三者には借金の返済義務はもちろんありません。そのため、お金を借りた人の家族は当然借金の返済義務は負いません。
なお、債権者によっては、親・家族だからという理由で借金取り立てをする業者もいますが、法律上返済義務のない方に対して返済を求めるような業者は、違法な貸金業者である可能性が高いといえます。このような貸金業者から取り立てを受けた場合には、すぐに警察や弁護士に相談をするようにしましょう。
2. 代わりに返済しなければいけない場合
上述したように、借金をした本人でなければ、借金の返済義務はありません。しかし、以下のような場合には、借金をした本人に代わって返済をしなければならないことがあります。
(1)連帯保証人や保証人になっている場合
借金の連帯保証人や保証人になっている場合には、お金を借りた本人でなくても債権者から返済を求められた場合には、保証契約に基づき本人に代わって返済をしなければなりません。
なお、連帯保証人は、「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」がない点で、保証人よりも重い責任を負うことになります。一般的には、保証人といえば連帯保証契約をした連帯保証人であることが多いです。
- 催告の抗弁権:主債務者に先に請求するよう求める権利
- 検索の抗弁権:主債務者の財産に強制執行をするよう求める権利
- 分別の利益:保証人の頭数で割った金額を返済すればよい権利
(2)親の借金を相続した場合
相続によって引き継ぐのは、現金、預貯金、不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続の対象となります。亡くなった親が借金を負っていた場合には、相続人である子どもが親に代わって返済をしていかなければなりません。
借金の負担を免れるためには、相続開始後3か月以内に家庭裁判所に対して、相続放棄の申述という手続きを行うか、相続人自身が債務整理をする必要があります。
3. 家族が代わりに返済“してあげたい”場合
借金の返済義務がなかったとしても、家族が借金の返済を求められた場合には、無関心でいることができず本人に代わって返済をしてあげることもあるかもしれません。大切な家族が困っている場合には手を貸してあげたくなるのが人情でしょう。
ただし、家族が代わりに返済をする場合には、「贈与税」に注意が必要です。債務者本人が負担している借金を返済義務のない家族が代わりに返済をした場合、法律上は、返済額を債務者本人に贈与したという扱いになります。贈与をした場合には、年間110万円までは非課税となりますが、それを超える場合には、超えた部分について、贈与を受けた側に贈与税が課税されることになります。
借金の負担が消えたとしても、贈与税の負担が新たに生じるおそれもありますので、家族が代わりに返済をする場合には、贈与税の負担も考慮して行う必要があります。
4. 贈与税が発生しないようにするには
家族が代わりに返済をしたとしても、以下のような場合には贈与税が発生しません。
(1)借金をした本人に返済能力がない場合
借金をした本人に返済能力がない場合には、家族が代わりに返済をしたとしても贈与税は発生しません。返済能力がないとは、本人の資産をすべて売却したとしても借金の返済をすることができない状態をいいます。
(2)贈与ではなく貸与であった場合
本人の代わりに返済をしたとしても、それが一時的な立替払いであった場合には、贈与税は発生しません。この場合には、家族から本人に対して、返済額相当額の貸付があったものといえるからです。
ただし、客観的にみれば贈与があった場合と変わりありませんので、そのままでは税務署から贈与を疑われる可能性があります。そのため、貸与の形式で金銭のやり取りを行うのであれば、必ず金銭消費貸借契約書を作成するようにしましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2024年12月06日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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