一方的に給料を下げられた! 違法じゃないの? 対処法は?

一方的に給料を下げられた! 違法じゃないの? 対処法は?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

このコラムでわかること

  • 違法な減給のケース
  • 減給を含む懲戒処分の要件
  • 違法な減給への対処法

企業が勝手に労働者(従業員)の給料(給与、賃金)を下げることは、原則として労働基準法違反に当たります。もし一方的に給料を下げられた場合には、お早めに弁護士までご相談ください。

今回は、会社が勝手に給料を下げることの違法性や、勝手に給料を下げられた場合の対処法などを解説します。

1. 給料を下げることが違法となるケース

使用者が一方的に労働者の給料を下げることは、人事評価の一環であっても、法律上容易に認められることではありません。以下のいずれかに該当する場合、一方的に給料を下げることは違法です。

(1)労働者の同意がない場合

給料(手当を含む)の額や計算方法を含めた労働条件は、労働契約で決まっている事項です。したがって、給料を減額するためには、原則として労働契約を変更する必要があります。

労働契約の変更には、労働者と使用者の合意が必要です(労働契約法第8条)。したがって、労働者の同意がない一方的な給料の減額は、原則として労働契約違反に該当します。

(2)減額後の給料が最低賃金を下回る場合

労働者が給料の減額に同意している場合でも、減額後の給料が最低賃金を下回る場合は違法となります(労働基準法第28条、最低賃金法)

最低賃金は、地域別最低賃金と特定最低賃金のいずれか高い方が適用されます。

(参考:「地域別最低賃金の全国一覧」(厚生労働省))
(参考:「特定最低賃金の全国一覧」(厚生労働省))

(3)懲戒処分の要件を満たさない場合

例外的に、労働者の同意なく給料を減額できるのは、減給・出勤停止・降格の懲戒処分を行う場合です。

  1. 減給
    給料を減額する懲戒処分です。
  2. 出勤停止
    一定期間出勤を禁止し、その間の給料を不支給とする懲戒処分です。
  3. 降格
    役職を降格させ、役職手当などを不支給とする懲戒処分です。

労働者に就業規則違反の懲戒事由が認められれば、これらの懲戒処分によって給料の減額が認められる可能性があります。

ただし、労働者の行為の性質・態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない懲戒処分は違法・無効です(労働契約法第15条)

また、減給の懲戒処分については、以下の上限を超える部分は無効となります(労働基準法第91条)。

  1. 1回当たり、平均賃金の1日分の半額
  2. 一賃金支払期(月給制なら1か月)当たり、賃金総額の10分の1

2. 勝手に給料を下げられた場合の対処法

会社から一方的に給料減額の通知を受けた場合、ご自身の労働者としての権利を守るために、以下の流れで対応しましょう。

(1)給料減額の理由と法律上の根拠を確認する

会社が一方的に労働者の給料を減額する場合、適法な懲戒処分の要件を備えていなければなりません。反対に、懲戒処分の要件が備わっていなければ、労働者は給料減額の無効と未払い賃金の支払いを主張できます。

労働者としては、まず会社が主張する給料減額の理由と、その理由に法律上の根拠があるかどうかを確認することが大切です。人事部などに対して照会を行い、回答の内容を踏まえて反論の方針を決定しましょう。

(2)納得できなければ会社と協議する

会社が主張する給料減額の理由に納得できない場合は、会社に対して協議を提案し、給料を元に戻すように求めましょう。

会社としては、労働者側の泣き寝入りを期待して、労働法を無視した給料の減額を行っているのかもしれません。このような会社は、労働者から法的な反論を受けた場合、トラブルを避けるために給料の減額を撤回する可能性があります。

(3)労働基準監督署・弁護士に相談する

会社が給料の減額を撤回しない場合は、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。

労働基準監督署は、会社における労働法令の遵守状況を監督する行政官庁です。一方的な給料減額は労働基準法違反に当たり、労働基準監督署による刑事処分や行政指導の対象となる可能性があります。

会社に対して労働基準監督署の処分などが行われれば、違法な給料減額の是正が期待できるでしょう。

弁護士は、労働者の権利を守るため、労働者の代理人として行動してくれる専門家です。給料減額の無効主張や、未払い残業代の支払い請求などを、労働者に代わって行ってくれます。

弁護士を通じて法的な主張を行うことで、会社が労働者側の主張を受け入れる可能性や、訴訟で裁判所に労働者側の主張が認められる可能性が高まります。一方的な給料減額や賃金未払いなど、会社との間でトラブルが発生した場合には、お早めに弁護士までご相談ください。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2024年12月06日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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