在宅事件とは|捜査の流れと起訴される可能性を解説

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弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
在宅事件とは|捜査の流れと起訴される可能性を解説

被疑者が身柄拘束されず、在宅のまま捜査が進められる刑事事件を「在宅事件」といいます。

1. 在宅事件とは

「在宅事件」とは、被疑者の身柄が拘束されず、在宅の状態で捜査が行われる刑事事件をいいます。これに対して、被疑者が逮捕・勾留により身柄拘束される刑事事件を「身柄事件」といいます。

在宅事件の特徴は、身柄事件のような厳格な時間制限が適用されないことです。

身柄事件の場合、逮捕は最長72時間(3日間)、勾留は最長20日間と決まっており、検察官は勾留期間が満了するまでに起訴・不起訴を判断しなければなりません。

これに対して、在宅事件の場合は上記の時間制限が適用されないので、警察や検察は時間をかけて捜査ができます。また、悪質性が低いと思われる事件については、他の事件を優先した結果、捜査が後回しとなることも少なくありません。そのため在宅事件では、事件発生から起訴・不起訴の判断までが長期化しやすい傾向にあります。

なお、当初は在宅事件として捜査が進められていたものの、途中で捜査機関の方針が変わって、身柄事件に切り替えられるケースもあります。

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2. 在宅事件の流れ

在宅事件の刑事手続きは、以下の流れで進行します。

(1)警察・検察による捜査|取り調べも行われる

在宅事件では、被疑者は身柄拘束されませんが、警察・検察の捜査は行われます。実施される捜査の内容は事件によって異なりますが、一例としては証拠物の押収、防犯カメラ映像の精査、目撃者に対する参考人取り調べなどです。

被疑者に対しても、警察署や検察庁に呼び出したうえで取り調べが行われます。取り調べの回数や時間はケース・バイ・ケースで、警察・検察において各1回短時間で終わることもあれば、何度も呼び出される場合や、1回の取り調べが長時間に及ぶ場合もあります。

(2)起訴・不起訴の決定

捜査の結果を踏まえて、検察官は被疑者を起訴するかどうかを判断します。

犯罪事実の立証が可能であり、かつ被疑者に刑罰を科す必要があると判断した場合、検察官は被疑者を起訴します。これに対して、犯罪事実の立証が困難であるか、または被疑者に刑罰を科す必要がないと判断した場合には、検察官は被疑者を不起訴とします。

在宅事件では前述のとおり、起訴・不起訴の判断に関する時間制限がありません。したがって、いつ起訴・不起訴の処分が行われるかは分かりません。

起訴されたことは、裁判所から起訴状が送られてきたときに分かります。これに対して不起訴となった場合には、警察や検察からの通知は来ないのが一般的です。被疑者が自ら警察や検察に問い合わせれば、不起訴処分となったかどうかを教えてもらえます。

(3)刑事裁判

被疑者が起訴された場合は、裁判所の公開法廷で行われる刑事裁判によって、有罪・無罪および量刑の審理が行われます。

刑事裁判は、検察官がすべての犯罪要件を立証し、被告人が反論する形で進行します。被告人としては、罪を認めて情状酌量を求めることも、罪を否認して争うこともできます。

審理が熟した段階で裁判所が判決を言い渡し、有罪判決が確定すれば刑が執行されます(執行猶予が付される場合もあります)。

なお例外的に、100万円以下の罰金または科料を科す場合であって、かつ被疑者に異議がない場合には「略式手続き」による科刑が認められています。略式手続きによる場合は書面審理のみが行われ、通常の刑事裁判は開催されません。

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3. 在宅事件でも弁護士に相談すべき理由

在宅事件であっても、検察官によって起訴されれば、刑事裁判で有罪となる可能性が非常に高くなります。有罪となれば前科が付きますし、刑務所に収監されるおそれもあります。

在宅事件であれば、弁護士による弁護活動が成功して、被疑者が起訴を免れるケースもよくあります。

罪を認めている場合は、被害者との示談を成立させることや、反省・謝罪の態度を示すことなどが、不起訴処分を得るための大きなポイントです。

罪を否認している場合は、犯罪の証拠が不十分であることや、アリバイがあるため犯行は不可能であることなど、法的な観点からさまざまな反論をする余地があります。

このような不起訴処分に向けた対応を適切に行うためには、弁護人を選任することが必要不可欠です。ご自身やご家族が在宅事件の捜査の対象になった場合は、お早めに弁護士へご相談ください。

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