起訴されたらどうなる? 起訴後の流れを解説
- 犯罪・刑事事件
1. 起訴とは
「起訴」とは、検察官が裁判所に対して、刑事裁判による犯罪の審理を求めることを意味します。「公訴の提起」とも呼ばれます。
起訴された被疑者は、原則として公開の刑事裁判において、有罪・無罪および量刑の審理を受けることになります。ただし例外的に、書面審理のみかつ非公開の略式手続きによる審理が認められる場合もあります。
(1)被疑者が起訴される刑事事件の特徴
検察官が被疑者を起訴するのは、刑事裁判において犯罪の立証が可能であり、かつ被疑者に刑罰を科す必要があると判断した場合です。
刑事裁判における犯罪の立証は、客観的な証拠に基づいて行われるのが原則です。したがって、被疑者が犯人であることおよび犯罪の内容について、捜査機関側が確固たる証拠を持っている場合に限り、被疑者は起訴されます。
ただし、犯罪の嫌疑が確実であっても、被疑者が必ず起訴されるとは限りません。比較的軽微な犯罪であって、被害弁償が適切に行われ、被疑者に十分な反省が見られる場合には、起訴が見送られることもあります(=起訴猶予)。
(2)起訴の種類
起訴には、「正式起訴」と「略式起訴」の2種類があります。
「正式起訴」とは、検察官が裁判所に対して、通常の刑事裁判(=公判手続き)を請求することです。
検察官が被疑者を起訴する際には、正式起訴によるのが原則です。正式起訴された被疑者は、公開法廷で行われる刑事裁判の審理を受けることになります。
「略式起訴」とは、検察官が簡易裁判所に対して、簡略化された手続きによる科刑を求めることです。
100万円以下の罰金または科料を求刑する場合であって、被疑者に異議がない場合に限り略式起訴が認められます。略式起訴された被疑者については、書面審理のみが行われたあと、罰金または科料が科されます。
2. 起訴されたらどうなる?
被疑者が起訴される前と後では、刑事手続き上の取り扱いに変化が生じます。起訴された被疑者(被告人)は、正式起訴であれば公判手続き、略式起訴であれば略式手続きによる審理を受けることになります。
(1)起訴前と起訴後で変わること
起訴の前後では、刑事手続き上の取り扱いについて主に以下の変化が生じます。
・被疑者の呼称が「被告人」へと変化します。
・身柄拘束の種類が「起訴前勾留」から「起訴後勾留」へと切り替わります。起訴後勾留の期間は当初2か月間で、その後は1か月ごとに更新可能です。
・起訴後勾留に切り替わったあとは、保釈請求が可能です(起訴前勾留中は、保釈請求ができません)。
(2)起訴後の手続きの流れ
起訴後の手続きは、正式起訴の場合と略式起訴の場合で異なります。
①正式起訴の場合
通常の刑事裁判(公判手続き)によって有罪・無罪および量刑が審理されます。公判手続きは、検察官がすべての犯罪要件を立証し、被告人がそれに反論する形で進行します。起訴前から勾留されている被疑者の身柄は、引き続き勾留されるのが原則です。
②略式起訴の場合
略式手続きによって有罪・無罪および量刑が審理されます。略式手続きでは書面審理のみが行われ、被告人に反論の機会は与えられません。原則として、略式起訴の当日中に略式命令が発せられます。略式命令書が被告人に手渡された段階で、被告人は釈放されます。
3. 起訴されたら弁護士のサポートが重要
正式起訴された被告人は、公判手続きに向けて準備を整える必要があります。そのためには、弁護士によるサポートが必要不可欠です。
弁護士は、罪を認めて情状酌量を求めるべきか、それとも罪を否認して争うべきかにつき、事件の内容を踏まえてアドバイスします。
情状酌量を求める場合は、被害者との示談を試みるなどして、被告人に有利な情状事実を示せるように準備を進めます。検察官立証に対して反論する場合は、どのような反論が効果的かについても、法的な観点から慎重に検討します。
また、被告人の身柄が拘束されている場合、起訴後は保釈請求が可能です。しかし、罪証隠滅のおそれなどを理由に、保釈が認められないことも多いです。弁護士に依頼すれば、保釈を認めるべき根拠を説得的に主張し、被告人の身柄が早期に解放されるように尽力してくれます。
ご自身やご家族が起訴された段階で、まだ弁護人を選任していない場合は、お早めに弁護士へご相談ください。
- こちらに掲載されている情報は、2024年01月25日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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