“パパ活”バレても辞職しない吉川議員「釈明ブログ」の“法律的”な問題点は?

弁護士JP編集部

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“パパ活”バレても辞職しない吉川議員「釈明ブログ」の“法律的”な問題点は?
吉川たけるオフィシャルブログより(https://ameblo.jp/yoshikawatakeru/)

18歳の女性と飲酒し、その後高級ホテルに入り4万円を渡したとされる「パパ活疑惑」が週刊誌に報じられた吉川赳衆議院議員。

6月9日に第一報が報道され、翌10日には自民党を離党したが、その後公の場に姿を現さず”雲隠れ”に徹している。与野党そして国民から議員辞職を求める声があがるなか、吉川議員には税金から夏のボーナスにあたる期末手当が286万円支給された。

そんな吉川議員が1か月近い沈黙をやぶり、7月15日にブログを更新した。

これまで発言・説明しなかった理由として「参議院選挙で党に迷惑をかけないために」「安倍元首相の喪に服していた」と前置きし書き始められたブログは、5000文字を超える"大作”だ。

そもそもこれら"パパ活”が事実であれば、吉川議員は何らかの罪に問われる可能性はないのだろうか。内容の法的見地からの検証を差しはさむ前に、まずは吉川議員の”言い分”を再確認しよう(以下、ブログより一部編集し抜粋)。

「なるほど、大学1年生という設定なのね」

●パパ活ではなく同伴だった
女性とは女性が勤めるクラブで出会い、営業成績を上げるため「同伴」に付き合ってほしいと言われた。その後交換したLINEで「同伴」に誘い、焼き肉屋の個室にて待ち合わせをした。

●女性は20歳以上だと思っていた
女性は勤務先のクラブでも飲酒していたため、飲酒不可能な年齢であるとは認識していなかった。焼き肉屋でも女性の意向に従ってお酒を注文した。会話の中で「大学1年生」「18歳です」という女性の発言があったが、「なるほど、大学1年生という設定なのね」と受けとめ、軽い乗りで会話を合わせていた。
女性の年齢を確認したいが、本人に何度LINEしても連絡が取れない状況。法律の専門家に依頼して、名誉毀損訴訟を通じ、女性の年齢の客観的事実の確認をするべく準備をしている。

●4万円はクラブ欠勤に対する給与相当額の”補填”だった
食事の後クラブに「同伴」するはずだったが、女性が「今日は休みます」と言いふたりで時間を過ごすことを希望した。お店での給与を”補填”するべきと考え、想定される給与より多い3万円と帰りのタクシー代1万円の合計4万円をその場で渡した。

●女性と週刊誌が組んだ「マッチポンプ」ではないか
週刊誌の記事は焼き肉屋の個室内での会話を元に作成されていて、録音は女性が実行したものと考えている。週刊誌がお台場(ホテル)で写真を撮れたのも、女性から行き先についての連絡を受けていたのではないか。「私の落ち度」を録音することを目的としてマッチポンプというべきやり方をとったため、週刊誌に対し不法行為に基づく損害賠償を求めて訴訟を提起する。

報道直後、吉川議員は4万円という金銭について「渡したこともない」と主張していたが、給与の穴埋めとして支払ったことを認めた。また、ホテル内での出来事については言及がなかった。

もしホテルで性的な行為をしていれば…

一連の騒動について、否認事件の対応も多い杉山大介弁護士は「いったん黙ったのは合理的だとは思います」と評価する。その理由は「弁護士目線で言えば、法律上の紛争を意識した時には、余計なことは一切語る必要なし『寡黙は多弁に勝る』が方針になる」からだという。ただし「何だったら、ブログも”しゃべり過ぎ”です」と苦笑する。

上記のブログの"言い分”についてはこう話す。

「たとえば、クラブで事前に出会って20歳以上と認識しているなら、わざわざ年齢や学年を確認するような会話をする必要もないです。録音が誰によるものかという部分は、店の部屋構造を実際に見ていないので何とも・・・ですが、取材源の秘匿のために週刊誌が別のストーリーを作るぐらいは、やってもおかしくないと思いますよ」(杉山弁護士)

また、ブログで”女性は20歳以上だと思っていた”ことと”パパ活ではなく同伴だった”ことを強調している点について、「飲酒禁止法と刑法の故意の関係で、18歳だとわかって飲ませたとなると刑事罰もありよろしくないですが、パパ活か同伴かはすごくどうでも良いです」とバッサリ。

「(報道にあるように)もしホテルで性的な行為をしていれば、不貞行為として評価される可能性はありますし、吉川議員の奥さんは夫に対してでも女性に対してでも、損害賠償請求を試みることは当然可能でしょう」(杉山弁護士)

「辞職するつもりはない」吉川議員、今後の身の処し方は?

吉川議員のブログには、上記の言い訳ばかりではなく、「家庭を持つ身でありながら、また政治家としての自らの立場を踏まえた場合、十分に氏素性を把握していない女性とふたりきりで飲食をともにするような振舞いは、軽率な行動であったと、深く反省しております」といった反省の情を表す内容も記されている。

杉山弁護士は「昔から政治家の政治的な問題よりも、下半身の話の方が好きなのが大衆です。脇が甘いと、法的リスク以上に社会的な評判に関するリスクが問題となります」と火遊びが過ぎる他の”政治家”にも忠告する。

「議員辞職するつもりはない」と周囲に話しているという吉川議員。今後どのような身の処し方を選ぶのがベストなのだろうか。

「どうも吉川議員は議員をやっているから経済力があるというわけでもないようですので、無理に政治家などやらずとも、金持ちの私人として好きなだけ遊んで暮らせば、誰にも気にされることもないのではないでしょうか」(杉山弁護士)

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