相続税とは? 相続税のかかる財産とかからない財産

  • 遺産相続
弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
相続税とは? 相続税のかかる財産とかからない財産

遺産を相続する際には、相続税が課税されることがあります。

1. 相続税とは

「相続税」とは、相続などによって取得した財産に対して課される国税(税金)です。

相続税は、亡くなった家族の遺産に加えて、相続をきっかけに取得した財産や、一部の生前贈与に対しても課されることがあります。相続税の課税対象財産を正しく理解しておきましょう。

相続税の税率は、10%から55%までの累進課税とされています。相続税額の計算方法については、以下のページをご参照ください。

相続税の税率は? 相続税の計算方法と流れを分かりやすく解説

2. 相続税の課税対象となる財産

相続税の課税対象財産は、本来の相続財産(遺産)のほか、「みなし相続財産」と呼ばれる財産、相続発生前7年間に受けた贈与、および相続時精算課税制度の適用を受けた贈与などです。

(1)本来の相続財産

被相続人が亡くなった時点で所有していた財産は、本来の相続財産として相続税の課税対象となります。また、遺言書によって贈与された財産(=遺贈された財産)も、相続税の課税対象です。

なお、被相続人が亡くなった時点で債務を負っていた場合は、その額が相続税の課税対象財産額から控除されます。

(2)みなし相続財産

本来の相続財産ではないものの、被相続人の死亡をきっかけに取得した財産であることや、租税回避を防ぐ必要があることなどを踏まえて「みなし相続財産」が相続税の課税対象とされています。

みなし相続財産にあたるのは、主に以下の財産です。

  1. 生命保険の死亡保険金・損害保険金
  2. 死亡退職金
  3. 被保険者が被相続人以外の者である生命保険の解約返戻金請求権
  4. 定期金および定期金に関する権利
  5. 特別縁故者が受けた財産分与、特別寄与料
  6. 著しく低額の対価による財産の譲渡、債務免除等による利益
  7. 遺言による信託の受益権

(3)相続発生前7年間に受けた贈与

相続開始前7年間に受けた生前贈与は、相続税の課税対象となります。直前で駆け込み的に生前贈与をして、相続税の負担を不当に軽減することを防ぐためです。

ただし、相続開始日が令和8年12月31日以前である場合、生前贈与の加算期間は3年間となります。

(4)相続時精算課税制度の適用を受けた贈与

生前贈与に対する課税を、相続発生時にまとめて行う制度を「相続時精算課税制度」といいます。相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の父母や祖父母などから、18歳以上の子や孫などが受ける贈与について選択できます。

相続時精算課税制度の適用を受けた贈与については、贈与税が総額2500万円まで非課税となる代わりに、相続税の課税対象となります。

相続時精算課税制度の詳細は、以下のページを併せてご参照ください。

相続時精算課税制度とは? 法改正でこれから相続税対策の「主流」に

3. 相続税の課税対象でも課税されないケース

相続税の課税対象財産がある場合でも、以下のケースでは相続税が課税されません。

(1)死亡保険金・死亡退職金の非課税限度額の範囲内である場合

死亡保険金と死亡退職金については、以下の式によって計算される非課税限度額が設けられています。

非課税限度額=500万円×法定相続人の数

相続税が課される死亡保険金および死亡退職金は、非課税限度額を超える部分のみです。非課税限度額を超えない部分の死亡保険金・死亡退職金には、相続税が課されません。

(参考:「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」(国税庁))

(参考:「No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金」(国税庁))

(2)基礎控除の範囲を超えない場合

相続税には、以下の金額の基礎控除が設けられています。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

相続税が課されるのは、課税対象財産のうち基礎控除額を超える部分のみです。課税対象財産の総額が基礎控除額の範囲内であれば、相続税は課されません。

(3)配偶者の税額の軽減の適用を受ける場合

配偶者が取得する課税対象財産のうち、以下のうちどちらか多い金額までは、相続税が非課税となります(=配偶者の税額の軽減)。

  1. 1億6000万円
  2. 配偶者の法定相続分相当額

なお、配偶者の税額の軽減を受けるためには、相続税が0円となる場合でも、相続税申告を行う必要があります。

(参考:「No.4158 配偶者の税額の軽減」(国税庁))

4. 相続税の課税対象とならない財産

本来であれば相続財産に含まれる財産であっても、以下のものについては相続税が非課税とされています。

①日常礼拝をしている物

(例)墓地、墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など。ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや、商品として所有しているものは課税対象となります。

②宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う者が取得した財産で、公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

③条例に基づき、障害者またはその人を扶養する人が取得する、心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権

④個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で、一定の要件を満たすもの

※相続人のいずれかが、引き続きその幼稚園を経営することが非課税の条件とされています。

⑤相続税の申告期限までに、国または地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの

⑥相続税の申告期限までに、特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの

など

(参考:「No.4108 相続税がかからない財産」(国税庁))

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2024年08月26日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

遺産相続に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す