掲示板・SNSの書き込みを削除するには? 依頼の手続きや注意点を解説
- インターネット
掲示板やSNSで誹謗中傷を受けた場合、そのまま放置していると情報が拡散され、被害が拡大するおそれがあります。そのため、誹謗中傷の書き込みを発見したときは、すぐに削除を行うことが大切です。
もっとも、掲示板やSNSごとに削除依頼の方法は異なりますので、掲示板・SNSごとの削除依頼のポイントを押さえておきましょう。
今回は、掲示板やSNSでの誹謗中傷の書き込みがあったときの削除依頼の手続きと注意点について解説します。
1.掲示板・SNSでの削除依頼の方法
以下では、掲示板・SNSで誹謗中傷をされたときの削除依頼の方法を説明します。
(1)削除依頼の方法はサイトごとに異なる
削除依頼の方法は、掲示板やSNSごとに異なります。
以下では、代表的な掲示板とSNSの削除依頼の方法を紹介します。
①5ちゃんねる(5ch、旧2ちゃんねる)
5ちゃんねるでの削除依頼の方法には、以下の2つの方法があります。
- 専用の削除フォームを利用した削除依頼
- メールでの削除依頼
削除依頼から実際に削除されるまでの期間は、2週間が一応の目安となります。
②爆サイ
爆サイの削除依頼は、専用の削除フォームを利用して行います。
対象のスレッド下部にある「削除依頼」ボタンを押し、会員登録後にログインすることで削除フォームへのアクセスが可能になります。
削除依頼から実際に削除されるまでの期間は、72時間(3日)が一応の目安となります。
③ホスラブ
ホスラブの削除依頼は、専用の削除フォームを利用して行います。
サイト内の「削除依頼」ボタンを押すと削除フォームが開きますので、以下の情報を記載します。
- スレッド番号
- レス番号
- 削除理由
削除依頼から実際に削除されるまでの期間は、96時間が一応の目安となります。
④X(旧Twitter)
Xの削除依頼は、ヘルプセンターに設置された違反報告のフォームから行います。
削除依頼から実際に削除されるまでの期間は、報告内容や状況によって異なるため、目安となる期間はありません。
⑤YouTube
YouTubeの削除依頼は、専用の削除フォームを利用して行います。
YouTubeのヘルプセンターに権利侵害の種類ごとのフォームが用意されているため、自分のケースにもっとも近いものを選び、必要事項を記入して送信します。
なお、動画投稿者には、7日間の猶予期間が与えられているので、削除依頼をしたからといってすぐに問題が解決されるわけではありません。
⑥Facebook
Facebookでの削除依頼の方法には、以下の2つの方法があります。
- 各投稿に設置されている通報ボタンを利用する
- 専用の報告フォームを利用する
削除依頼から実際に削除されるまでの期間は、報告内容や状況によって異なるため、目安となる期間はありません。
(2)ネット上の誹謗中傷に対して警察は動いてくれない?
インターネット上で誹謗中傷を受けた場合、それが名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪などの犯罪行為にあたる場合には、警察に動いてもらえます。しかし、警察は投稿者(犯人)の検挙を目的に捜査を行うので、基本的には投稿の削除には対応してくれません。
そのため、誹謗中傷の書き込みを削除したいのであれば、警察ではなく弁護士や行政窓口に相談するようにしましょう。
(3)書き込みの削除代行業者に注意
インターネットなどで検索すると書き込みの削除に対応している削除代行業者が複数存在しています。しかし、誹謗中傷の書き込みの削除依頼は法律行為にあたり、弁護士資格のない人がこれを取り扱うのは「非弁行為」として禁止されています。
削除代行業者による削除請求が違法と判断された裁判例もあるため、注意が必要です。
2.削除依頼の流れや依頼時に知っておきたいこと
以下では、削除依頼の流れや依頼時に知っておきたいことを説明します。
(1)自分でサイト管理者へ削除依頼をする
自分で掲示板やSNSのサイト管理者に対して削除依頼をする場合、以下のポイントを押さえておきましょう。
①利用規約をよく確認する
掲示板やSNSでは、利用規約などで投稿の削除に関するルールを定めています。どのような場合に投稿の削除ができるかどうかは利用規約をみて確認しておきましょう。
②対象投稿の違反内容を明記する
専用の削除依頼フォームやメールなどで削除依頼をする際には、当該投稿により自己の権利が侵害されていることを記載する必要があります。当該投稿のどの部分が自己のどのような権利を侵害しているのかを、具体的に記載しなければなりません。
③失敗した場合は手順などに誤りがないか確認する
定型的な削除依頼フォームでは、規約上のルールに則って削除依頼をしなければ、そもそも受け付けてくれないことが多いです。そのため、削除依頼をしてから目安となる期間が経過しても削除が完了していない場合、手順などに誤りがないかを確認してみましょう。
(2)専門窓口に相談する
インターネット上で誹謗中傷の被害を受けた場合、「違法・有害情報相談センター」に相談することができます。
違法・有害情報相談センターは、インターネット上での違法・有害情報に対して、適切な対応を促進する目的で、具体的なアドバイスや関連の情報提供等を行なう相談窓口です。
専用の相談フォームから無料で相談できるので、誹謗中傷に対してどのように対応したらよいかわからないときは利用してみるとよいでしょう。
(3)弁護士に削除請求の代行を依頼する
個人で誹謗中傷の削除依頼をするのが難しいという場合は、弁護士に削除請求の代行を依頼するのがおすすめです。
インターネット上のトラブルに詳しい弁護士であれば、各掲示板やSNSごとの削除依頼の方法を熟知しているので、適切な方法で削除依頼をすることで相手方が迅速に削除に応じてくれる可能性が高くなります。
また、削除だけでなく投稿者を特定するための発信者情報開示請求にも対応してもらえます。
ただし、弁護士に削除依頼の代行を依頼すると弁護士費用がかかる点に注意が必要です。
(4)弁護士に法的措置を依頼する
掲示板やSNSへの削除依頼の方法では、誹謗中傷の投稿が削除されないときは、裁判所に投稿の削除を求める仮処分の申し立てを行います。
通常の裁判では、結論がでるまで半年から1年程度と長い時間がかかってしまいますが、仮処分であれば2週間から数か月程度で結論がでるので迅速な解決が期待できます。
3.弁護士への削除依頼の手続きの流れ
弁護士に投稿の削除に関する法的措置(仮処分)の依頼をすると、以下のような流れで手続きが進みます。
(1)仮処分の申立書の提出
投稿の削除を求める仮処分を申し立てるには、まずは「仮処分命令申立書」を作成しなければなりません。
仮処分命令申立書には、被保全権利や保全の必要性を記載し、それを疎明する資料の添付が必要になります。
(2)審尋(しんじん)
仮処分命令申立書を裁判所に提出し、それが受理されると、裁判官との審尋が行われます。
審尋は、仮処分命令申立書の内容を踏まえて裁判官からの質問に回答するという面接形式で行われ、追加の資料の提出が求められることもあります。
(3)立担保(たてたんぽ)
裁判官が仮処分命令の発令が相当と判断すると、申し立て人に対して、担保金の納付が求められます。
投稿の削除を求める仮処分での担保金は、30~50万円程度が目安となります。
なお、仮処分命令が発令されサイト管理者が投稿の削除に応じた場合には、納めた担保金を還付してもらえます。
(4)仮処分命令の発令
申し立て人により担保金が納付されると、裁判所は投稿の削除を命じる仮処分命令を発令します。
仮処分命令が発令されると、本訴を提起しなくてもサイト管理者が当該投稿の削除に応じてくれるケースが多いです。
(5)執行
仮処分命令が発令されてもサイト管理者が削除に応じないときは、執行の手続きを行うことができます。
執行の手続きを行うと相手が削除に応じるまで裁判所が命じた金額を支払わせることができます。
- こちらに掲載されている情報は、2024年10月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お一人で悩まず、まずはご相談ください
インターネットに強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?