後遺障害とは|種類や等級についての基本を解説

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後遺障害とは|種類や等級についての基本を解説

交通事故による怪我は、治療をしても事故前の状態には戻らず後遺症として残ってしまうことがあります。そのような場合には、後遺障害等級申請をすることで、症状に応じた後遺障害等級認定を受けることができます。


後遺障害等級は、後遺障害慰謝料や逸失利益といった賠償額に影響を与えるため、適正な後遺障害等級認定を受けることが重要です。

1. 後遺障害とは

後遺障害とはどのようなものなのでしょうか。以下では、後遺障害の定義と後遺症との違いについて説明します。

(1)交通事故での後遺障害の定義

後遺障害とは、交通事故が原因で生じた後遺症のうち、労働能力の喪失・低下を伴い、それが自動車損害保障法施行令の基準に該当しているものをいいます。具体的には、以下の要件をすべて満たすものが交通事故における後遺障害になります。

  • 症状固定時に事故による症状が残っていること
  • 症状の存在が医学的に認められること
  • 残存する症状により労働能力の喪失や低下が生じていること
  • 労働能力の喪失や低下が自動車損害保障法施行令の基準に該当していること

(2)後遺症と後遺障害の違い

後遺症とは、これ以上治療を継続しても改善が期待できないと判断された時点において、残っている症状をいいます。

これに対して、後遺障害は、後遺症のうち労働能力の喪失・低下を伴い、それが自動車損害保障法施行令の基準に該当しているものをいいます。

このように後遺症の方が広い概念であるため、後遺症が残ったからといって、そのすべてが後遺障害に該当するわけではありません。

2. 後遺障害の種類

後遺障害の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。以下では、後遺障害の3つの種類を説明します。

(1)身体的後遺障害

身体的後遺障害とは、交通事故による怪我が原因となり、身体的機能の障害(例:関節の可動域の制限など)や身体の欠損(例:足指の欠損など)などが生じることをいいます。一般的に後遺障害というと身体的後遺障害を指すことが多いです。

(2)精神的後遺障害

精神的後遺障害とは、交通事故による恐怖体験が原因で精神的な障害を発症することをいいます。精神的後遺障害の症状としては、PTSDやうつ病などが挙げられます。

(3)認知機能障害

認知機能障害とは、交通事故により脳を損傷することで生じる後遺障害の一種です。記憶力や判断力などの認知機能に障害が生じてしまいますので、整理整頓ができない、手順通りに料理ができないなどの症状があらわれます。

なお、症状別の詳しい後遺障害の内容については、以下をご参照ください。

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3. 後遺障害の等級とその影響

以下では、後遺障害の等級と各等級が生活に及ぼす影響について説明します。

(1)後遺障害の等級とは

後遺障害等級とは、交通事故が原因で被害者に生じた後遺症を症状の内容や程度に応じて1~14級までの等級で分類したものになります。

後遺障害等級は、数字が小さくなるほど重い症状になり、1級がもっとも重い症状になります。

(2)後遺障害等級の決定方法

後遺障害等級は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が医師の診断や検査結果、労働能力喪失率などを総合的に判断して決定します。

1~14級までの後遺障害等級には、それぞれ細かい認定基準が定められており、後遺障害等級申請の際に提出された書類などを踏まえて要件該当性が判断されます。適正な後遺障害等級認定を受けるには、想定される後遺障害等級の認定基準を踏まえて、後遺障害診断書などの資料を準備することが重要になります。

(3)各等級における生活への影響

後遺障害等級は、介護の要否に応じて別表第1と別表第2の後遺障害に分類されます。

別表第1では1~2級の後遺障害があり、いずれも介護が必要な状態ですので日常生活に大きな影響が生じます。

別表第2では1~14級の後遺障害があり、後遺障害の部位や程度に応じて各等級内でも細かく分類されています。等級ごとの日常生活や仕事に与える影響としては、以下のようになります。

  • 1~3級……仕事や日常生活に重大な制限を受ける
  • 4~7級……仕事や日常生活に著しい制限を受ける
  • 8~14級……仕事や日常生活に一部制限を受ける

(4)等級による補償の違い

後遺障害等級認定を受けられると、傷害分の賠償金(治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料など)に加えて、後遺障害分の賠償金を請求できます。

後遺障害分の賠償金には、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益があり、賠償金全体の中でも大きな割合を占める項目になります。

後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級に応じて金額が変動し、より上位の等級になるほど慰謝料の金額も高額になります。

後遺障害逸失利益は、認定された後遺障害等級に応じた労働能力喪失率が適用されるため、より上位の等級になるほど労働能力喪失率が大きくなり、逸失利益の金額も高額になります。

このように後遺障害等級は、交通事故の損害賠償請求において重要な要素となるため、適正な後遺障害等級認定を受けることが大切です。

(5)等級は見直しされることがある

交通事故の後遺障害等級は、普遍的なものではなく、症状の変化や医学の進歩などによって見直しがなされることがあります。そのため、後遺障害等級申請の際は、最新の認定基準を踏まえて対策を行うことが重要です。

後遺障害等級の認定基準は、一般の方では理解が難しいため、適正な後遺障害等級認定を受けるためにも、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年10月24日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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