刑事事件における性犯罪とは? 犯罪の種類と問われる罪
- 犯罪・刑事事件
1. 性犯罪の種類は大きく分けて2種類
刑事事件における性犯罪とはどのような犯罪なのでしょうか。
(1)性犯罪とは
性犯罪とは、被害者の性的自由を侵害する犯罪や善良な性風俗を侵害する犯罪の総称です。
性犯罪には、さまざまな犯罪が含まれますので、実際の対応も犯した罪によって異なります。そのため、性犯罪の当事者になってしまったときはどの犯罪に該当するのかを把握することが大切です。
(2)性犯罪の大まかな種類
性犯罪は、暴力を伴う性犯罪と暴力を伴わない性犯罪の2つに大きく分けられます。
①暴力を伴う性犯罪として代表的なもの
- 不同意わいせつ
- 不同意性交等罪
- 痴漢
- 児童買春
②暴力を伴わない性犯罪として代表的なもの
- 盗撮
- 露出
- 下着泥棒
- 公然わいせつ
- 児童ポルノ製造罪
2. 刑事事件としての性犯罪の分類
主要な性犯罪の概要と罰則について説明します。
(1)痴漢
痴漢とは、被害者に不安を抱かせたり、羞恥心を抱かせたりする方法により衣類の上または直接身体を触るなどのわいせつな行為のことをいいます。
痴漢は、多くのケースでは迷惑防止条例違反となり、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。常習的な痴漢だと1年以下の懲役または100万円以下の罰金となることもあります。
(2)盗撮
盗撮とは、人の性的姿態を禁止された方法により撮影することをいいます。
盗撮は、以前は迷惑防止条例違反として処罰されていましたが、刑法改正により令和5年7月に「性的姿態等撮影罪」が新たに設けられました。同罪に該当する場合には、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処せられます。
(3)不同意わいせつ
不同意わいせつとは、被害者が同意しない意思を形成、表明、全うが困難な状態にさせること、またはわいせつ行為でないと誤信した状態で、わいせつな行為をすることをいいます。
以前は、「強制わいせつ罪」と呼ばれていたものが法改正により名称変更になったものです。不同意わいせつ罪に該当する場合には、6か月以上10年以下の拘禁刑に処せられます。
(4)不同意性交等
不同意性交等とは、被害者が同意しない意思を形成、表明、全うが困難な状態で、性交などを行うことをいいます。
以前は、「強姦」「強制性交等罪」と呼ばれていたものが法改正により名称変更になったものです。不同意性交等罪に該当する場合には、5年以上の有期拘禁刑に処せられます。
(5)援助交際、児童買春
児童買春とは、18歳未満の未成年者に対し、経済的な対価を渡し、性交または性交類似行為をすることをいいます。援助交際は、法律用語ではありませんが、基本的には、児童買春と同じ内容を指す言葉です。
児童買春罪に該当する場合には、5年以下の懲役または300万円以下の懲役に処せられます。
(6)児童ポルノ
児童ポルノとは、18歳未満の未成年者が性的な行為をする様子や性的なポーズをとる様子を描写した映像、写真、漫画などのことをいいます。
児童ポルノは、児童虐待や児童の性的搾取につながるおそれがあるため、以下のように厳しく規制されています。
- 児童ポルノ所持罪:1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 児童ポルノ製造罪:3年以下の懲役または300万円以下の罰金
- 児童ポルノ提供罪:3年以下の懲役または300万円以下の罰金
- 児童ポルノ公然陳列等罪:5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはこれらの併科
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(7)下着泥棒
下着泥棒とは、下着を盗む行為をいいます。
下着泥棒は、窃盗罪に該当しますので、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
(8)ストーカー、つきまとい行為
ストーカーとは、ストーカー規制法が禁止するつきまとい行為を反復継続して行うことをいいます。
ストーカー行為は、ストーカー規制法違反となりますので、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。公安委員会からの禁止命令に違反してストーカー行為をした場合には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処せられます。
(9)公然わいせつ
公然わいせつとは、不特定または多数の人が認識可能な状態でわいせつな行為をすることをいいます。典型的な例としては、路上で陰部を露出するなどの露出狂がこれにあたります。
公然わいせつ罪に該当する場合には、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられます。
3. 性犯罪が厳罰化されている背景とは
近年、性犯罪に関する法律が見直され、厳罰化されてきています。それには、以下の背景があるといわれています。
- 性犯罪の発生件数の増加
- 性犯罪の法定刑が軽すぎるという世間の声
- 性犯罪の被害者の保護
- 多様な性犯罪や性暴力への対処
性犯罪の加害者になってしまった場合には、重い刑罰が科されるおそれもありますので、早めに弁護士に相談することが大切です。弁護士であれば、加害者本人では難しい示談交渉などを行えますので、示談成立により不起訴処分が獲得できる可能性も高くなるでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2024年01月23日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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