ネットストーカー被害に遭ったら?対処法と相談先について解説

  • インターネット
弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
ネットストーカー被害に遭ったら?対処法と相談先について解説

インターネット上でストーカー被害に遭ったら、刑事告訴・接近禁止の仮処分申立て・損害賠償請求などの法的措置を講じましょう。緊急を要する場合は警察へ、民事上の法的措置をとりたい場合は弁護士へ、それぞれ速やかに相談することをおすすめします。

1. ネットストーカーとは?

「ネットストーカー」とは、インターネット上でつきまとい行為をする者の総称です。

(1)「ネットストーカー」の定義

ストーカー規制法3条では、「つきまとい等」をして、相手方に身体の安全・住居等の平穏・名誉が害され、または行動の自由が著しく害される不安を覚えさせる行為を禁止しています。

つきまとい等とは、恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨(えんこん)の感情を充足する目的で、相手やその親族などに対してつきまとう行為です(同法2条1項)。

本ページでは、インターネットを通じて行われる行為のうち、つきまとい等に該当するものを「ネットストーカー」と定義します。

(2)ネットストーカーに該当する行為の具体例

インターネットを通じて行われるつきまとい等の例としては、恋愛感情などの好意の感情や、それが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行われる、以下の行為などが挙げられます(ストーカー規制法2条1項参照)。

(例)

  • インターネット上で相手の行動を監視して、家に押し掛けたり、待ち伏せをしたりする。
  • 行動を監視している旨を相手に告げる。
  • 面会や交際をしつこく要求する。
  • ・相手に拒否されているにもかかわらず、メールなどによって大量のメッセージを送付する。
  • ・汚物や動物の死体など、著しく不快または嫌悪の情を催させるような画像や動画を送付する。
  • ・相手の名誉を害するような内容のメッセージを送付する。
  • ・わいせつな画像や動画を送付する。

など

ネットの誹謗中傷で警察は動かない?

ネット上に個人情報を晒されたら? 対処法と防止策を解説

リベンジポルノは何罪? 法律上の刑罰や被害者のための対処法を解説

2. ネットストーカーに対する法律上のペナルティ

ネットストーカーを繰り返す行為は、刑事罰・都道府県公安委員会による禁止命令等・損害賠償などの対象となります。

(1)ストーカー規制法違反による刑事罰

ストーカー規制法2条4項では、同一の者に対してつきまとい等を繰り返す行為を「ストーカー行為」と定義しています。
ストーカー行為をした者は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されます(同法18条)。

また、後述する禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は、さらに重い「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」に処されます(同法19条1項)。
さらに、ストーカー行為以外の禁止命令等に違反する行為をした者は「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」に処されます(同法20条)。

(2)禁止命令等・損害賠償など

ネットストーカー被害を受けた方は、都道府県公安委員会に禁止命令等を申し出ることができます(ストーカー規制法5条1項)。
都道府県公安委員会が、被害者に対するつきまとい等が反復してなされるおそれがあると認めるときは、加害者に対してさらに反復してつきまとい等をしてはならない旨などを命じます。

また、ストーカー行為を速やかにやめさせるため、人格権に基づいて裁判所に接近禁止の仮処分を申し立てることもできます(民事保全法23条2項)。

ネットストーカー行為によって被った経済的または精神的な損害については、加害者に対して損害賠償を請求できます(民法709条)。

接近禁止の仮処分申立てや損害賠償請求に当たっては、ネットストーカーをしている相手方を特定しなければなりません。
匿名の相手方を特定するためには、「発信者情報開示請求」が代表的な方法です。サイト管理者やインターネット接続業者などに対して発信者情報開示請求を行うと、加害者の個人情報の開示を受けられることがあります。

発信者情報開示請求とは? 要件と手続きの流れを解説

そのほか、ネットストーカーがSNS投稿などによって誹謗中傷を繰り返している場合などは、サイト管理者に対する削除請求を行いましょう。

削除請求とは|費用や手続きの流れを解説

削除請求での弁護士費用|相場や弁護士に依頼するメリットを解説

仮処分による削除請求とは? 仮処分が認められる要件を解説

3. ネットストーカー被害に遭った場合の相談窓口

インターネット上でストーカー被害に遭った方は、緊急を要する場合は警察へ、民事上の法的措置を講ずる場合は弁護士へ相談しましょう。

(1)緊急を要する場合は「警察」へ

つきまとい等を繰り返す「ストーカー行為」は犯罪とされているため、警察に相談すれば捜査に動いてもらえる可能性があります。

警察の主な相談窓口は、以下のとおりです。

①最寄りの警察署のストーカー相談窓口(サイバー犯罪対策課など)

②警察相談専用電話「#9110」

参考:「警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ」(政府広報オンライン)

③サイバー事案に関するオンライン相談窓口

参考:「サイバー事案に関する相談窓口」(警察庁)

警察へ相談する際には、ネットストーカーの被害を受けていることを示す証拠(受信したメッセージの記録など)を提示しましょう。加害者の身元が分かっている場合は、その情報も警察へ提供しましょう。

警察へ被害届を提出する際には、弁護士を同行するのが安心です。被害の経緯を分かりやすく説明してもらうことができ、捜査に動いてもらえる可能性が高まります。

(2)民事上の法的措置は「弁護士」へ

ネットストーカーを特定するための発信者情報開示請求、損害賠償請求、名誉毀損に当たる投稿の削除請求など、民事上の法的措置をとりたい場合は、弁護士に相談しましょう。

これらの対応を自力で行うのは手間がかかりますし、精神的な負担も大きくなります。弁護士に依頼すれば、必要な手続きや対応を迅速に行ってもらうことができますし、適切な形でストーカー被害を解決できる可能性が高まります。

インターネット上でストーカー被害を受けた方は、お早めに弁護士へご相談ください。

ネットに強い弁護士の探し方|相談する前に準備すべきことも解説

【ネットストーカー】弁護士に相談するとどうなる? 費用や対応を解説

ネットストーカーの被害に遭っている! 訴えることはできる?

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2024年10月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

インターネットに強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す