残業代が少ない! 計算方法や正しく支払われていない場合の請求方法

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弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
残業代が少ない! 計算方法や正しく支払われていない場合の請求方法

残業時間(労働時間)に比べて受け取っている残業代の金額が少ない場合には、会社に対して未払い残業代請求を行いましょう。弁護士のサポートを受けることで、適正額の残業代を受け取れる可能性が高まります。

1. 残業代、全額正しく支払われていますか?

残業代が未払いとなっているケースは、一般の方が想像する以上に多いと思われます。会社が労働基準法のルールを正しく理解していないか、または意図的に無視しているために、残業代が正しく支払われていないケースは少なくありません。

残業代の未払いが生じていると思われる場合は、その原因をきちんと調べることが大切です。雇用や賃金の形態によって残業代の計算方法に違いがあるので、専門家である弁護士へ速やかに相談しましょう。

(1)残業代の未払いが生じやすいケースの例

残業代の未払いは、たとえば以下のようなケースで生じがちです。

  • 残業をしているのに、上司の指示によって定時で打刻させられている。
  • 持ち帰り残業やテレワーク中の残業の時間を申告していない。
  • 始業前の準備や、就業後の片づけの時間に対して残業代が支払われていない。
  • 管理職について、残業代が一律不支給とされている。
    ※管理監督者(=経営者と一体的な地位にある労働者)に当たらない場合は、管理職でも残業代の支払いが必要
  • 固定残業代制が適用される労働者について、残業代が一律不支給とされている。
    ※固定残業時間を超える部分については、残業代の支払いが必要
  • 年俸制の労働者について、残業代が一律不支給とされている。
    ※年俸制でも月給制などの場合と同様に、残業に対しては残業代の支払いが必要

(2)残業代請求には「時効」がある

残業代請求権は、行使できる時から3年が経過すると時効により消滅します(労働基準法第115条、附則第143条第3項)。

時効期間が経過すると、未払い残業代を請求できなくなってしまうので、早めに弁護士へご相談ください。

2. 残業代の計算方法

残業代の計算方法は、「法定内残業」と「時間外労働(法定外残業)」で異なります。

(1)法定内残業と時間外労働(法定外残業)の違い

「法定内残業」とは、労働契約上の所定労働時間を超えるものの、法定労働時間を超えない部分の残業です。

これに対して「時間外労働(法定外残業)」は、法定労働時間を超える部分の残業をいいます。

基本給は所定労働時間に対応する賃金なので、所定労働時間を超える労働である法定内残業と時間外労働については、いずれも残業代が発生します。

ただし、法定内残業については通常の賃金が発生しますが、時間外労働については割増賃金が発生するのが大きな違いです。法定労働時間は原則として、1日あたり8時間、1週間あたり40時間とされています(労働基準法第32条。ただし例外あり)。

(2)残業代の計算式

残業代は、以下の式によって計算します。割増率については後で詳述しますが、法定内残業は割増なし(=100%)、時間外労働は125%または150%となります。

残業代=1時間あたりの基礎賃金×割増率×残業時間数

1時間あたりの基礎賃金=1か月の総賃金(以下の手当を除く)÷月平均所定労働時間

<総賃金から除外される手当>

  • 時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当
  • 家族手当(扶養人数に応じて支払うものに限る)
  • 通勤手当(通勤距離等に応じて支払うものに限る)
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当(住宅に要する費用に応じて支払うものに限る)
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
(例) 1時間当たりの基礎賃金が3000円、法定内残業が20時間、時間外労働が10時間の場合

残業代
=3000円×20時間+3000円×125%×10時間
=9万7500円

残業代の正しい計算方法は?

3. 残業手当等の種類と割増率

残業代の未払いが生じているかどうかを確認する際には、以下の4つの手当につき、残業等の時間を分けて正しい金額を計算しましょう。

  1. 法定内残業の残業手当
  2. 時間外手当
  3. 休日手当
  4. 深夜手当

(1)法定内残業の残業手当

「法定内残業」とは前述のとおり、労働契約上の所定労働時間を超えるものの、法定労働時間を超えない部分の残業をいいます。

法定内残業については、割増賃金ではなく通常の賃金が発生します。

(2)時間外手当

「時間外手当」とは、時間外労働(=法定労働時間を超える労働)に対して支払われる手当です。

時間外手当の割増率は、月60時間以内の部分については125%以上、月60時間を超える部分については150%以上とされています。

(3)休日手当

「休日手当」とは、休日労働(=法定休日の労働)に対して支払われる手当です。休日手当の割増率は、135%以上とされています。

なお、法定休日は週に1日、または4週間を通じて4日のみです。法定休日ではない休日の労働に対しては、法定内残業の残業手当または時間外手当が支払われます。

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(4)深夜手当

「深夜手当」とは、深夜労働(=午後10時から午前5時までに行われる労働)に対して支払われる手当です。深夜手当の割増率は、125%以上とされています。

なお、深夜手当の割増率は、時間外手当または休日手当の割増率と重複して適用されます。

(例)
深夜労働+時間外労働(月60時間以内)→150%以上
深夜労働+時間外労働(月60時間超)→175%以上
深夜労働+休日労働→165%以上

4. 未払い残業代の請求方法

未払い残業代の請求は、以下の手順で行います。

①残業の証拠を揃える

勤怠管理システムやタイムカードの記録、オフィスの入退館履歴、交通系ICカードの乗車履歴、業務日誌など、残業をした事実に関する証拠を集めます。

退職後に未払い残業代を請求しようと考えている場合には、在職中にできる限り証拠を集めておきましょう。

②残業代の未払額を計算する

残業の証拠が揃ったところで、正しい残業代の額と実際の支払額との差額を計算し、会社に対して請求する金額を決めます。

③会社に対して内容証明郵便で請求書を送付する

内容証明郵便で請求書を送付し、残業代請求権の消滅時効の完成を阻止します。 内容証明郵便には、未払い残業代の請求額やその根拠、支払期限などを記載しましょう。

④会社と交渉する

内容証明郵便に対して会社から返答があったら、未払い残業代の支払いについて会社と交渉します。きちんと計算根拠を示して請求することで、正しい金額による和解が得られる可能性が高まります。

⑤労働審判・訴訟などの法的手続きで争う

会社との交渉がまとまらない場合は、労働審判や訴訟などの法的手続きで争いましょう。客観的な立場にある裁判官等の公平な判断に結論を委ねることができます。

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弁護士に依頼すれば、スムーズに未払い残業代請求を行ってもらえます。特に、労働審判や訴訟などの法的手続きに対応するには専門的知識を要するため、お早めに弁護士へご相談ください。

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年04月01日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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