任意整理の手続き|流れ・必要書類・期間をわかりやすく解説
- 借金・債務整理
1. 任意整理の手続きの流れ
任意整理は、以下のような流れで進んでいきます。
(1)弁護士など専門家への相談
借金の返済が難しくなったら、まずは弁護士などの専門家に相談をします。
弁護士への相談は、事前の予約制となっていますので、あらかじめ弁護士事務所に問い合わせをして、法律相談の予約を取るようにしましょう。
弁護士との相談では、以下の内容を聞かれますので、事前に資料やメモを準備しておくと相談がスムーズに進められます。
- 借金をしている業者名
- 債権者ごとの借金額
- 収入や支出の状況
- 資産の有無および内容
- 借り入れの経緯や使途
(2)委任契約
弁護士から説明のあった任意整理の方針や費用について納得ができれば、弁護士と委任契約を締結して、正式に任意整理を依頼します。
委任契約は、相談当日にすることもできますが、家族と話し合って決めたいという場合には、後日契約することも可能です。
法律相談時には、念のため印鑑も持参しておくとよいでしょう。
(3)手続き費用の支払い
弁護士と正式に委任契約を交わしたら、契約内容に従って、弁護士に任意整理の手続き費用の支払いを行います。
(4)弁護士から債権者に受任通知を発送|依頼当日~3日程度
任意整理の依頼を受けた弁護士は、各債権者に対して受任通知を発送します。受任通知が債権者に到達した後は、債権者から債務者への直接の取り立てが禁止され、債権者への返済も一時的にストップします。
ただし、受任通知には、以下のような注意点もあります。
- 受任通知による取り立て禁止の効力は、個人の債権者には及ばない
- 保証人がいる場合には、受任通知到達後、保証人に一括返済の請求がなされる
- ローンで購入した商品の返却を求められる
- 債権者に銀行が含まれている場合には、借金と預金が相殺される
- 受任通知を送付しても訴訟や強制執行を止めることはできない
(5)債権者から取引履歴を受領|数週間~2か月程度
弁護士は、受任通知の送付と同時に取引履歴の開示請求も行います。
取引履歴は、債務者の正確な借入額を知るために必要になる記録であり、和解案を作成するにあたって不可欠な資料です。取引履歴が開示されるまでの期間は、債権者によって異なりますが、数週間から2か月程度あればすべての債権者からの取引履歴の開示を受けられるでしょう。
(6)引き直し計算・返済案の検討|1~2週間程度
債権者からの取引履歴をもとに、利息制限法に基づく引き直し計算を行います。引き直し計算により正確な債権額が明らかになったら、弁護士が依頼者と相談しながら具体的な返済案を検討します。
なお、引き直し計算の結果、過払い金の存在が明らかになったときは、過払い金返還請求を行います。
(7)和解案の提案・和解交渉・和解契約の締結|2~3か月程度
和解案が完成したら、それに基づいて債権者との和解交渉を進めていきます。
和解交渉開始から和解契約の締結までの期間は、債権者数や和解案の内容によっても異なりますが、通常は2~3か月程度を要します。
(8)和解に基づく返済開始・完済|3~5年程度
和解契約が成立したら、和解契約に従って債権者への返済を行います。一般的なケースであれば、完済まで3~5年の期間を要します。
2. 任意整理を自分ですることはできる?
任意整理は、弁護士などの専門家に依頼して行うのが一般的ですが、債務者が自分だけで行うことはできるのでしょうか。
(1)任意整理を自分ですること自体は法律上問題ない
任意整理を弁護士などの専門家に依頼しなければならないという決まりはありませんので、債務者が自分だけで任意整理をすることも可能です。自己破産や個人再生のように裁判所を利用する法的手続きではなく、債権者との交渉による手続きですので、債務整理の方法のなかでは比較的債務者個人でも対応しやすい方法といえます。
自分で任意整理を行うメリットとしては、弁護士などの専門家に支払う費用を節約できるという点が挙げられます。
任意整理にかかる費用は、依頼をする専門家によって異なりますが、一般的には1社あたり数万円程度の費用がかかります。任意整理を検討している方の多くが経済的に余裕のない状態ですので、経済的な負担を軽減できるというのは大きなメリットといえるでしょう。
ただし、自分だけで任意整理をすると、後述するようなリスクもありますので、できる限り専門家に依頼して任意整理を行うのがおすすめです。
(2)自分で任意整理をするリスク
自分で任意整理をすると以下のようなリスクやデメリットが生じます。
①不慣れな方では負担が大きい
自分で任意整理をする場合、取引履歴の開示請求、利息制限法に基づく引き直し計算、債権者との交渉などすべての手続きを自分だけで行わなければなりません。
利息制限法に基づく引き直し計算は、知識や経験がなければ正しく計算することができず、過大な債務を負担してしまうリスクがあります。また、債権者は、貸金業務を専門に扱うプロですので、その分野の素人である債務者個人で交渉しなければならないのは、非常に負担が大きいと感じるはずです。
②弁護士に依頼した場合の水準での和解は困難
弁護士が行う任意整理では、主に以下のような方法で借金返済の負担軽減を図ります。
- 将来利息のカット
- 遅延損害金の減免
- 返済金額や返済期間も見直し
しかし、債務者個人で債権者と交渉をしても、返済金額や返済期間の見直ししか応じてもらえず、借金返済の負担がほとんど軽減されないケースも少なくありません。また、債権者によっては、弁護士などの専門家以外の任意整理は応じてくれないこともあります。
自分で任意整理をすることで専門家に依頼する費用を節約できたとしても、満足いく和解ができなければ、経済的な負担はより大きくなってしまいます。そのため、任意整理をお考えの方は、弁護士などの専門家に依頼して行うのがおすすめです。
- こちらに掲載されている情報は、2024年05月20日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お一人で悩まず、まずはご相談ください
借金・債務整理に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?