債務整理で住宅や車を残す方法はある?

  • 借金・債務整理
弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
債務整理で住宅や車を残す方法はある?

債務整理をしたいけれど、住宅や車を失うのは困るという方も多いと思います。生活に必要な住宅や車がなくなってしまうと、借金の整理ができたとしても、経済的再建の大きな足かせになってしまうでしょう。
実は、債務整理の方法によっては住宅や車を維持したまま借金を減らすことができますので、ご自身の状況に応じて最適な債務整理の方法を選択するようにしましょう
本コラムでは、住宅や車を維持したまま借金を減らす方法について解説します。

1. 持ち家を残したまま借金を減額するには

持ち家を残したまま借金を減額するには、どのような方法があるのでしょうか。

(1)親族や第三者が所有している家なら手放さなくていい

債務整理をすると住宅が処分されてしまうというイメージを持っている方も多いです。しかし、債務整理により処分の対象となるのは、あくまでも債務者本人が所有している住宅に限られます。
そのため、現在住んでいる家が親族や第三者が所有している家であれば、債務整理をしたとしても手放す必要はありません。

(2)本人が所有している家を手元に残す方法

住宅を債務者本人が所有している場合には、住宅は債務整理による処分の対象に含まれてしまいますが、以下のような方法であれば住宅を手元に残すことができます。

①個人再生の「住宅ローン特則」を利用する

住宅ローンが残っている場合には、個人再生の「住宅ローン特則」を利用することで、自宅の処分を回避できます。

住宅ローン特則とは、個人再生の対象から住宅ローンを除外することで自宅を手元に残すことができる制度です。住宅ローンは個人再生の減額対象にはなりませんが、その他の債務を大幅に減額できますので、住宅ローンの支払いを継続することが可能になります。

②任意整理で債権者を選んで他の借金を整理する

任意整理は、自己破産や個人再生とは異なり、債務整理の対象となる債権者を自由に選ぶことができます。そのため、住宅ローンを除外して任意整理を進めることで、自宅の処分を回避できます。
ただし、任意整理には個人再生のような大幅な借金減額の効果はありませんので注意が必要です。

(3)持ち家を担保にしている場合は持ち家を残せない可能性がある

個人再生の住宅ローン特則は、住宅ローンとしての借り入れがある場合に利用できる制度です。住宅ローン以外の不動産担保ローンを利用している場合には、住宅ローン特則を利用できませんので、個人再生を利用しても自宅の処分は避けられません。

自己破産や個人再生では、すべての債権者を対象にしなければなりませんので、債務整理の手続きに着手すると、債権者により担保権が行使され、自宅が売却されてしまいします。そのため、持ち家を担保(住宅ローンを除く)にしている場合には、持ち家を残せない可能性が高いです。

2. 車を残したまま借金を減額するには

車を残したまま債務整理により借金を減額することはできるのでしょうか。

(1)債務整理で車を手元に残せる条件

債務整理をしたとしても、選択した債務整理の方法によっては、車を残したまま借金を減額することも可能です。そのためには、債務整理の種類に応じて以下の条件を満たす必要があります。

なお、これらの条件をすべて満たさなければならないわけではありません。

  • 車が債務者本人以外の名義であること
  • 自動車ローンが残っていないこと
  • 自動車ローンが残っていたとしても「所有権留保」が付いていないこと
  • 車の資産価値が20万円以下であること

(2)任意整理で車を手元に残せるケース

任意整理は、財産を処分する必要がありませんので、基本的には車を残したまま借金の減額が可能です。

ただし、自動車ローンの返済中であり、かつ所有権留保が付いている場合には、自動車ローンを含めて任意整理をしてしまうと車が回収されてしまいます。そのため、このようなケースで車を残したいのであれば、自動車ローンを除いて任意整理を行う必要があります。

(3)個人再生で車を手元に残せるケース

個人再生も任意整理と同様に財産を処分する必要がありませんので、基本的には車を残したまま借金の減額ができます。
しかし、個人再生ではすべての債権者を対象にしなければなりませんので、自動車ローンの返済中であり、かつ所有権留保が付いている場合には、車を回収されてしまいますので、手元に残すことはできません。

(4)自己破産で車を手元に残せるケース

自己破産では、すべての借金をゼロにできる反面、債務者が有する財産は原則として処分されてしまいます。そのため、自己破産では自動車ローンの有無にかかわらず、車を手元に残すことはできません。

ただし、自己破産では、資産価値が20万円以下のものについては、価値がないものとみなして処分対象から除外することが認められています。一般的には普通車であれば初年度登録から7年、軽自動車であれば5年で無価値とされますので、これらに該当する場合には、車を手元に残すことができます。

(5)別除権協定(弁済協定)により車を手元に残せるケース

自動車ローンの返済中であり、かつ所有権留保の付いている車であっても、個人再生で別除権協定(弁済協定)を利用することで、車を手元に残せる可能性があります。

別除権協定とは、債権者との間で別除権を行使しないという合意をとることで、担保となっている車の回収を回避できる方法です。
ただし、別除権協定を締結するには、債権者との合意と裁判所の許可が必要になります。裁判所が別除権協定の許可をするのは、タクシー運転手や配送業者など車が生計を立てるための仕事に不可欠などの条件がある場合に限られます。
通勤や生活のために必要という理由では認められませんので注意が必要です。

自己破産をすると住宅ローンはどうなる? 自宅を残す債務整理の方法は?

住宅ローンが払えない! 家を手放さずに解決する方法はある?

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2024年05月20日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

借金・債務整理に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す