相続税を節税するには? 生前にしておくべき相続税対策
- 遺産相続
1. 生前にやるべき相続税の節税対策
生前の段階で行うことにより、相続税の負担を軽減できる可能性がある主な節税対策を紹介します。
(1)暦年贈与をする
贈与を受けた場合は原則として贈与税が課されますが、毎年110万円以内であれば贈与税が非課税となります。
この贈与税の非課税枠を利用して、毎年少しずつ贈与をする節税対策を「暦年贈与」といいます。
暦年贈与をすると、相続の発生を待たずに非課税で贈与ができ、財産を早期に活用してもらえます。また、相続財産が減ることにより、相続税の軽減にもつながります。
暦年贈与に関する詳細は、以下のページをご参照ください。
(2)贈与税の非課税特例を利用する
贈与税には、以下の非課税特例が設けられています。
①住宅取得等資金の贈与の非課税特例
(参考:「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」(国税庁))
②教育資金の一括贈与の非課税特例
(参考:「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」(国税庁))
③結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例
(参考:「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」(国税庁))
これらの非課税特例を利用すれば、贈与税の基礎控除を超える額の贈与も非課税で行うことができ、大きな節税効果を得られます。
ただし、各非課税特例の利用には厳格な要件が設けられている点に注意が必要です。
(3)生命保険の非課税枠を利用する
生命保険の死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、「500万円×法定相続人の数」を超えない部分については非課税とされています。
生前の段階で、家族を受取人として生命保険に加入すると、上記の非課税枠の適用を受けることにより、相続税額を減らせます。
生命保険を活用した相続対策については、以下のページをご参照ください。
(4)不動産を購入する
財産を金銭のまま所有しているよりも、そのお金で不動産を購入した方が、相続税評価額が圧縮されて相続税が軽減されることがあります。
また、一定の要件を満たす不動産については「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができ、さらなる相続税の軽減につながります。
不動産を活用した相続税の節税対策については、以下のページをご参照ください。
(5)お墓や仏壇を購入する
お墓や仏壇などの仏具は、原則として相続税が非課税とされています。
そのため、生前の段階で被相続人が自ら仏具を購入すると、亡くなってから仏具を購入する場合に比べて、相続税を軽減できることがあります。
ただし、あまりにも高額な仏具に対しては、相続税が課されることがあるのでご注意ください。
(6)養子縁組をする
相続税には、「3000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除が設けられています。基礎控除を超えない部分の財産については、相続税がかかりません。
被相続人が孫などと養子縁組をして、法定相続人の数が増えると、基礎控除額が1人あたり600万円増えて、相続税の軽減に繋つながりますカウントできる養子の数は、実子がいる場合は1人のみ、実子がいない場合は2人まで)。
また、法定相続人の数が増えることにより、1人あたりの相続分が減少するため、相続税の累進税率が緩和される点も大きなメリットです。
養子縁組による相続税の節税対策については、以下の記事を併せてご参照ください。
2. 相続税の節税対策をする際の注意点
相続税の節税対策をする際には、以下の各点に注意しましょう。
(1)節税対策は否認されることがある
相続税の負担を免れるために不自然な節税対策をすると、税務調査によって否認されることがあります。
特に不動産を活用した節税対策などは、税務調査で否認されるケースが多いです。税理士のサポートを受けて、税務調査で指摘された際には適切に説明できるように準備しておきましょう。
(2)相続トラブルに発展しないように配慮する
節税対策を行ったことが原因で、相続トラブルが発生してしまっては本末転倒です。
特に一部の相続人に対してのみ生前贈与を行うと、他の相続人から反発されることが多いです。偏った財産の配分を避けるなど、相続トラブルを防げるように配慮しましょう。
(3)老後の生活資金を確保しておく
節税対策にお金を使いすぎて、老後の生活資金がなくなってしまっては大変です。不動産や仏具などの購入による節税対策は、老後の生活資金を確保した上で行いましょう。
3. 相続税対策を依頼する税理士の選び方
効果的な相続税の節税対策は、法定相続人の数や相続財産の内容、家庭の状況などによって異なります。適切に節税対策を行うためには、税理士のアドバイスを受けましょう。
税理士の得意分野は人によって異なるので、相続案件を豊富に経験している税理士を選ぶことが大切です。また、弁護士と連携している税理士に相談すれば、遺産分割や遺言書の作成などについてもワンストップでサポートを受けられます。
- こちらに掲載されている情報は、2024年08月26日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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