ヤミ金(闇金融)とは|なぜ危険? 手口を弁護士が解説!
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1. ヤミ金(闇金融)とは
ヤミ金とはどのようなものなのでしょうか。
(1)ヤミ金とは
ヤミ金とは、貸金業法で義務付けられている「貸金登録」をせずにお金の貸し付けを行う金融業者や出資法の上限金利を超える違法な金利でお金の貸し付けを行う金融業者のことをいいます。 通常の消費者金融業者は、金融庁への登録が義務付けられていますので、「ヤミ金かもしれない」との疑いが生じたときは、金融庁のホームページから調べてみるとよいでしょう。
また、固定電話ではなく携帯電話の番号が連絡先に指定されている業者もヤミ金である可能性が高いです。
なお、ヤミ金を規制する法律にはいわゆる「ヤミ金融対策法」があります。ヤミ金融対策法は、貸金業法および出資法の一部を改正した法律の総称であり、以下のようなヤミ金融対策を行っています。
- 貸金業登録制度の強化
- 罰則の大幅な引き上げ
- 違法な広告、勧誘行為の規制
- 違法な取立行為の規制強化
- 年109.5%を超える利息での貸付契約の無効化
(2)ヤミ金の利子
ヤミ金の利子は、出資法の上限金利を超える違法な高金利が定められています。
具体的には、「トイチ」と呼ばれる、10日ごとに1割の利子が加算されるシステムや「トゴ」と呼ばれる10日ごとに5割の利子が加算されるシステムなどがあります。たとえば、トイチであれば、年利になおすと単利で365%、複利で3142%という異常な高金利となります。
(3)ヤミ金の取り立て方
ヤミ金は、違法な高金利だけでなく過酷な取立方法もその特徴として挙げられます。
ヤミ金のよくある取立方法としては、以下のものがあります。
- 1日に何十回も自宅や携帯電話に督促の電話をかける
- 勤務先にもしつこく連絡をして取り立てをする
- 両親や親族に対しても取り立ての電話を行う
- 自宅や親族、友人宅まで来て、連日ドアをたたかれる
- 勝手に債務者の自宅宛てにピザや寿司の配達を注文する
- 自宅に消防車を呼ばれる
(4)ヤミ金とソフト闇金との違い
ヤミ金のなかには「ソフト闇金」と呼ばれるものもあります。ソフトという言葉から通常のヤミ金よりも借りやすそうなイメージを持たれるかもしれませんが、実態としては、ヤミ金と同じです。
ヤミ金と異なる点といえば、ソフト闇金は、ヤミ金のような脅迫的な取立行為を行わず、比較的丁寧な対応をしてくれるという特徴があります。これは警察による厳しい取り締まりを回避するための手段にすぎませんので、ソフト闇金だからといって安易に手を出してはいけません。
(5)ヤミ金とサラ金の違い
サラ金とは、サラリーマン金融の略称で、主にサラリーマン(会社員)を対象に融資を行う金融業者をいいます。サラ金は、金融庁に貸金業の登録をしており、利息制限法や出資法の上限金利を遵守して、貸金業を行う健全な業者です。
無登録で違法な高金利を定めるヤミ金とは、全く異なる業者ですのでしっかりと区別しておきましょう。
2. ヤミ金の手口は何種類もある!どんな人がターゲットになってしまう?
ヤミ金の手口にはさまざまなものがあります。以下では、ヤミ金の手口の種類とヤミ金のターゲットになりやすい人の特徴を説明します。
(1)ヤミ金の手口の種類
ヤミ金には、さまざまな種類があり、種類ごとに手口も異なってきます。以下では、代表的なヤミ金の種類ごとに、その手口を紹介します。
①090金融
090金融とは、店舗や事務所を持たず、他人名義の携帯電話を利用して連絡を取るヤミ金をいいます。ダイレクトメール、チラシ、電柱へのビラ貼りなどで集客し、個人の顧客を相手に5万円程度の小口の貸し付けを行うのが特徴です。
②押し貸し
押し貸しとは、勝手に債務者の口座にお金を振り込み、違法な高金利での返済を要求するヤミ金をいいます。押し貸しをするヤミ金は、名簿屋から入手した、ヤミ金やサラ金を利用した顧客の情報を利用して、貸し付けを行うのが特徴です。
勝手に振り込まれたものですので、本来は利息を支払う必要がありませんが、振り込まれたお金を使ってしまったなどの弱みにつけ込まれて、ヤミ金の要求に応じてしまうようです。
③システム金融
システム金融とは、主に自営業者や中小企業などの事業者を相手に貸し付けを行うヤミ金です。システム金融では、手形・小切手を担保にとり貸付を行いますので、違法な高金利であっても手形・小切手の不渡りをおそれてヤミ金の要求に応じてしまうようです。
このようなシステム金融は、電話やFAXなどで融資の勧誘を行います。
④都イチ金融
都イチ金融とは、貸金業登録を行い形式上は合法的な貸金業者として装っていますが、実態としては違法な高金利で貸し付けを行うヤミ金です。登録番号が「都(1)」で始まることから、「都イチ」金融と呼ばれています。
貸金業登録を行っているからといって、合法的な貸金業者であるとは限りません。設定された金利や契約書の有無などを踏まえて、ヤミ金業者であるかどうかを判断することが大切です。
⑤車金融(自動車金融)
車金融とは、車を担保にとって融資を行うヤミ金です。融資の際には、車の売買契約を締結し、売買代金としてお金の融資を受けます。そして、リース契約を締結し、車を債務者にリースし、リース料名目で違法な高金利を支払っていくことになります。
債務者が返済を滞ると貸付額をはるかに上回る車を引き揚げて、転売し、暴利を得るという特徴があります。
(2)ヤミ金のターゲットになりやすい人の特徴
ヤミ金のターゲットになりやすい人の特徴としては、以下の点が挙げられます。
①一般的な消費者金融では審査が通らずお金を借りられない人
収入や総量規制などが原因で一般的な消費者金融ではお金を借りることができない人は、やむを得ずヤミ金に手を出してしまいます。
②過去に債務整理をしてブラックリストに載っている人
過去に債務整理をしたことがある人は、一定期間ブラックリストに載ってしまいますので、その間は、新規のローンの審査は通りません。
このような人がお金に困ったときに手を出してしまうのがヤミ金です。ヤミ金業者も官報などをチェックしていると言われていますので、ブラックリストに載っている人に対しては、ヤミ金業者から融資の勧誘が行われる可能性があります。
③自分の名義ではローンが組めない専業主婦
専業主婦は自分自身では収入がないため、一般的な消費者金融では審査が通りにくい傾向にあります。夫に内緒でお金を借りたいという場合に利用してしまうのがヤミ金です。
ヤミ金業者も借り入れをした専業主婦本人に返済能力がなかったとしても、夫が正社員として働いていれば返済が期待できるため、ヤミ金に狙われやすいです。
④浪費癖やギャンブル依存症の人
浪費癖やギャンブル依存症の人は、すでに多重債務の状態にあることが多く、一般的な消費者金融では借り入れをすることができないことが多いです。このような人は浪費やギャンブルをやめることができませんので、高利のヤミ金でも気にせずに手を出してしまいます。
3. ヤミ金を利用してしまった場合の対処法
ヤミ金を利用してしまった場合には、以下のような対処法が考えられます。
(1)警察に相談する
ヤミ金から暴力的・脅迫的な取立を受けているという場合には、被害者の方が自力で解決することは困難です。違法な取立を受けて精神的に疲弊した状態では、冷静な判断ができず、ヤミ金業者につけ込まれてしまいます。
このような違法な取り立てを受けているときは、警察への相談が有効です。ヤミ金業者も違法な行為をしているという認識がありますので、警察により検挙されるリスクを冒してまで、取り立てをしようとは考えないからです。
(2)弁護士に相談する
警察に相談をしたとしても、証拠がなければ動いてくれないケースが多いです。そのため、弁護士に相談し、弁護士にもサポートしてもらうことでより確実にヤミ金からの嫌がらせを止めることができます。
弁護士であればヤミ金業者に対して、違法な取立行為をやめるよう毅然とした態度での要求が可能です。また、それでも取り立てをやめない場合には、刑事告発や口座の凍結手続きを進めるなどしてヤミ金業者に対し圧力をかけていくことができます。
- こちらに掲載されている情報は、2024年05月20日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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