債務整理メリット・デメリットをわかりやすく解説

  • (更新:2024年09月24日)
  • 借金・債務整理
弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
債務整理メリット・デメリットをわかりやすく解説

借金などの負担を軽減できる「債務整理」には、メリット・デメリットの両面があります。
各手続きのメリット・デメリットを正しく理解したうえで、弁護士と相談しながら債務整理の進め方を検討しましょう。

1. 債務整理とは

債務整理とは、借金などの債務の負担を軽減できる手続きです。債権者との交渉や裁判手続きを通じて、債務の減額・免除や支払いスケジュールの変更などを行います。
借金の返済などに苦しんでいる方は、債務整理の可能性を検討しましょう。

債務整理には、主に以下の4種類があります。

任意整理

債権者と交渉し、合意に基づいて利息・遅延損害金のカットや支払いスケジュールの変更などを取り決めます。減額後の元本は、合意したスケジュールに従って返済します。

個人再生

原則として債権者全員との間で、裁判所を通じて債務の減額や支払いスケジュールの変更などを行います。減額後の債務は、原則として3年間で返済します。

自己破産

財産の処分と引き換えに、原則として債務全額が免除されます。

特定調停

裁判所が選任する調停委員が、債務の減額等に関する債権者と債務者の交渉を仲介します。

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2. 債務整理のメリット・デメリット|種類ごとに解説

債務整理には、手続きの種類に応じたメリットとデメリットがあります。各手続きのメリット・デメリットを正しく理解して、ご自身の状況に合った債務整理の方法を選択しましょう。

(1)任意整理のメリット・デメリット

任意整理のメリット

  1. 利息や遅延損害金のカットが認められる
  2. 裁判所を通さず、簡単な手続きで行うことができる
  3. 財産が処分されない
  4. 対象債務を債務者が選べる
    (例)
  • 保証人に迷惑がかからないように、保証されている債務を外す
  • 金融機関からの借金だけを任意整理し、家族や友人からの借金は全額返済する
  1. 費用が比較的安価で済む
  2. 家族にも秘密にしやすい

任意整理のデメリット

  1. 債権者の同意が必須(安定した収入がないと認められにくい)
  2. 元本のカットは認められにくい(利息や遅延損害金だけがカットされるケースが多い)
  3. 債権者と個別に交渉する必要があるので、債権者が多数の場合には不向き

(2)個人再生のメリット・デメリット

個人再生のメリット

  1. 任意整理よりも大幅な債務の減額が認められる
  2. 一部の債権者が反対していても、多数決によって債務を減額できる
  3. 担保権が設定されていない財産は処分されない
  4. 住宅ローンが残った自宅の土地・建物についても、処分を回避できる制度がある

個人再生のデメリット

  1. 継続的に安定した収入が見込めなければ利用できない
  2. 最低弁済額がある(少なくとも100万円以上は弁済する必要がある)
  3. 手続きが煩雑で、ある程度の費用がかかる

(3)自己破産のメリット・デメリット

自己破産のメリット

  1. 一部の例外(税金・社会保険料・罰金など)を除き、債務全額が免除される
  2. 債権者の同意が不要
  3. 収入が安定していなくても利用できる

自己破産のデメリット

  1. 一部の例外(自由財産)を除き、財産が処分されてしまう
  2. 一部の職業(士業・警備員など)については資格制限が生じる
  3. 自己破産の手続き中は、居住地が限定される

(4)特定調停のメリット・デメリット

特定調停のメリット

  1. 利息や遅延損害金のカットが認められる
  2. 財産が処分されない
  3. 対象債務を債務者が選べる
    (例)
  • 保証人に迷惑がかからないように、保証されている債務を外す
  • 金融機関からの借金だけを任意整理し、家族や友人からの借金は全額返済する
  1. 調停委員が交渉を仲介するため、自力でも対応しやすい

特定調停のデメリット

  1. 取り立てが止まるまで時間がかかる場合がある
  2. 債権者の同意が必須(安定した収入がないと認められにくい)
  3. 元本のカットは認められにくい(利息や遅延損害金だけがカットされるケースが多い)
  4. 債権者と個別に交渉する必要があるので、債権者が多数の場合には不向き

(5)債務整理に共通のメリット

債務整理に共通のメリット

  1. 債務の減額・免除や支払いスケジュールの変更により、債務負担が軽減される
  2. 貸金業者からの取り立てが止まる

(6)債務整理に共通のデメリット

債務整理に共通のデメリット

個人信用情報機関のデータベースに事故情報が登録される(新規ローンやクレジットカードなどが利用できなくなる)

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3. 債務整理をすると、生活にどのような影響が生じるのか?

債務整理をすると、生活にある程度の影響が生じることは避けられません。しかし、債務整理による生活への影響については、誤解が広まっている部分もあります。

過度に恐れることなく、生活への影響を最小限に抑えられる方法で債務整理を行いましょう。

(1)債務整理によって生活に生じる影響

債務整理によって生活に生じる影響としては、以下の例が挙げられます。

共通

  • クレジットカードが強制解約される(新規契約もできなくなる)
  • ローンを利用できなくなる
  • 機関保証を要する賃貸物件を借りられなくなる
  • 保証人になれなくなる(例:子どもの奨学金)
  • 対象債務の保証人に対して請求が行われる

自己破産

  • 財産が処分される(家、車、解約返戻金のある生命保険、学資保険など)
  • 資格制限が生じる職業に就いている場合は、免責確定まで仕事ができなくなる
    • 個人再生

      • 担保権付きの財産が処分される(自宅の土地・建物については、例外的に処分を回避できる制度がある)

(2)債務整理についてよくある誤解

債務整理については、特に以下の事項について誤解が広まっています。弁護士に依頼した上で、正しい知識に基づいて債務整理の要否や種類を検討しましょう。

誤解1|家族の財産が処分されてしまう

→誤りです。自己破産や個人再生でも家族の財産は処分されず、本人の財産のみが処分の対象となります。
※家族の財産に、本人の債務に関する担保権が設定されている場合を除きます。

誤解2|債務整理の事実は戸籍に記載される

→誤りです。債務整理をしても、その事実は戸籍に記載されません。

誤解3|債務整理をした事実は、すぐに職場に知られてしまう

→誤りです。職場に知られるリスクはほとんどありません。
なお、債務整理をしたことを理由に、解雇その他の不利益な処分を行うことも違法です。

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年09月24日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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