借金減額の仕組みはどうなっている? 本当に減額ができる理由とは?

  • 借金・債務整理
弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

インターネットやSNSなどで「借金が減額できる」という広告を見ると、「怪しい」、「詐欺なのでは?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、以下のような方法を利用すれば、本当に借金を減額できます。
・ローンの借り換え
・おまとめローン
・過払い金返還請求
・債務整理
特に、過払い金返還請求や債務整理は、借金問題の解決のために法的に認められた正当な手段ですので、決して詐欺などではありません。
本コラムでは、借金減額の仕組みと債務整理が法的に認められている理由について解説します。

1. 「借金が減額できる」は嘘ではない!その仕組みとは?

「借金が減額できる」と聞いても怪しいと感じる方もいるかもしれません。しかし、借金の減額方法をきちんと理解すればそのような誤解も解消されるはずです。

(1)まずは自分の借金の状況を把握することが大切

借金問題を解決するためには、まずは自分がどこから借り入れをしているのか、どのくらいの借金があるのかを正確に把握することが大切です。多重債務などで自分の借金が把握できていない場合には、以下のような方法により借金の状況を把握することができます。

①借り入れ先への問い合わせ

どこから借金をしているのかを把握しているのであれば、借り入れ先に問い合わせることで正確な借り入れ金額を知ることができます。借り入れ先によって問い合わせ方法は異なりますが、代表的なものとしては、以下のものが挙げられます。

  • 会員専用ページ
  • 専用アプリ
  • ATM
  • 問い合わせ窓口

②信用情報機関に開示請求

多重債務に陥っている方は、そもそもどこから借り入れをしているのかを正確に把握していないこともあります。そのような場合には、信用情報機関に開示請求を行うとよいでしょう。
信用情報機関とは、カードローンの借り入れ・返済・延滞履歴、クレジットカードの支払い状況、債務整理の情報などの個人の信用情報を取り扱う機関です。信用情報機関に個人の信用情報の開示請求をすることで、自分の借り入れ先などを把握できます。
なお、信用情報機関には、以下の3種類がありますので、それぞれの信用情報機関に開示請求を行う必要があります。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

(2)借金が減額できる方法は4つ

借金を減額できる方法には、主に以下の4つの方法があります。

①ローンの借り換え

ローンの借り換えとは、現在の借り入れよりも低い金利のローンに切り替えることで、返済総額を減らせる方法です。借り入れ金額が大きい場合には、利息も大きくなりますので、ローンの借り換えにより得られる借金減額の効果も大きくなります。
ただし、低金利のローンへの切り替えにあたっては、審査がありますので、希望する条件での借り換えができないこともあります。

②おまとめローン

おまとめローンとは、複数の債権者からの借り入れを一本化する方法です。おまとめローンを利用すれば、返済先がひとつになりますので、借金の管理が容易になります。また、ローンの借り換えと同様に低金利のローンにまとめることができれば、返済総額を減らすことができるというメリットがあります。
ただし、おまとめローンでは借り入れ額が大きくなりますので、審査も厳しくなります。

③過払い金返還請求

過払い金返還請求とは、払いすぎた利息を取り戻す手続きをいいます。
いわゆるグレーゾーン金利での借り入れを繰り返していた方は、消費者金融やカード会社に対して、過払い金返還請求をすることで、過払い金を借金の返済に充当できます。
ただし、過払い金返還請求は誰でもできるというわけではなく、以下の条件を満たしていなければ過払い金返還請求は難しいでしょう。

  • 2010年6月17日以前からを行っていた
  • 借金の完済をしてから10年以内

④債務整理

債務整理とは、借金の減額または免除などにより借金返済の負担を軽減する方法です。債務整理には、以下の3つの方法があります。

  • 任意整理
  • 自己破産
  • 個人再生

債務整理は、法的に認められた正当な借金減額方法ですので、状況に応じた最適な方法を選択すれば、借金問題を解決し、生活の立て直しを図ることができます。

過払い金とは? 仕組みや請求できる条件をわかりやすく解説

(3)債務整理の借金減額が可能な仕組みとは?

以下では、債務整理の種類ごとに借金を減額できる仕組みを説明します。

①任意整理

任意整理は、債権者との交渉により借金を減額する方法です。具体的な方法としては、以下のものが挙げられます。

  • 将来利息のカット
  • 遅延損害金の減額または免除
  • 返済金額や返済期間の見直し
  • 利息制限法に基づく引き直し計算

②自己破産

自己破産とは、裁判所から免責許可決定を受けることで、原則としてすべての借金の返済義務を免除してもらえる方法です。
非常に大きな効果が得られる反面、一定額以上の資産をすべて手放さなければならないという制約もあります。

③個人再生

個人再生とは、裁判所から再生計画認可決定を受けることで、借金総額を大幅に減額できる方法です。減額後の借金については、3~5年の期間で分割返済していくことになります。
個人再生は、自己破産のように資産を処分する必要はありませんので、自宅や車を手元に残したまま行うことができます。しかし、返済が前提となりますので安定した収入がなければ利用することはできません。

債務整理とは? 種類と手続きの方法、日常生活への影響を解説

2. 債務整理が法的に認められているのはなぜ?

法的な借金減額方法というと怪しい制度のように感じる方もいるかもしれません。しかし、債務整理が法的な借金減額方法として認められているのには、きちんとした理由があります。

(1)債務整理が法的に認められている理由

債務整理が法的な借金減額方法として認められている理由としては、以下の理由が挙げられます。

①債務者の経済的再建をサポート

複数の業者から借り入れを繰り返して多重債務の状態に陥ってしまうと、生活が立ちいかなくなってしまいます。このような状態では、衣食住という最低限の生活に必要なものも準備することができず、路頭に迷ってしまうでしょう。

借金をする理由は人それぞれですが、会社の倒産やリストラ、病気や怪我などによる休業などやむを得ない理由で借金をせざるを得なくなった方が経済的に困窮するのはあまりにも酷といえます。
そこで、このような多重債務者の経済的再建をサポートするために債務整理という方法が認められているのです。

②債権者の利益の保護

債務整理により借金が法的に減額または免除されてしまう債権者には、不利益しかないようにも思えます。
しかし、債務整理は債務者だけでなく債権者にも一定のメリットのある制度となっています。たとえば、自己破産であれば、債務者の財産を換価処分して、そこから返済を受けることができますし、個人再生では借金が減額されてしまいますが、再生計画に従った返済を受けられるというメリットがあります。

債務整理という法的手段を整備することにより、債権者の利益を保護できます。

(2)債務整理は正当な借金解決方法

債務整理が法的な借金救済制度と言われているのには、上記のようにきちんとした理由がありますので、決して怪しい制度ではありません。
むしろ、借金問題を解決できる正当な手段ですので、借金問題でお悩みの方は、早めに債務整理を検討することがおすすめです。

(3)債務整理をお考えの方は弁護士に相談を

債務整理には、任意整理、自己破産、個人再生の3種類があり、それぞれ異なる特徴を有しています。債務者の状況に応じて選択すべき手段も変わってきますので、借金問題をより効率的に解決するには、最適な債務整理の方法を選択することが重要です。

弁護士であれば、債務者の収支状況、資産内容、借金総額、借り入れの経緯などを診断して、最適な債務整理の方法をアドバイスすることができます。借金問題でお困りの方は、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2024年05月20日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

借金・債務整理に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す