裁判所を通さない債務整理の方法はある?

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弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
裁判所を通さない債務整理の方法はある?

借金などの負担を軽減する債務整理手続きの多くは、裁判所を通じて行います。
その中で「任意整理」は、裁判所を通さずに行うことができる唯一の債務整理手続きです。弁護士のサポートを受けながら、適切に任意整理を進めましょう。

1. 裁判所を通さない債務整理の方法は?

債務整理手続きの多くは裁判所を通じて行いますが、任意整理については裁判所を通さずに行うことができます。

(1)裁判所を通さない債務整理手続きは「任意整理」のみ

「任意整理」は、債権者と債務者が直接交渉して、債務の減額や支払いスケジュールの変更などを取り決める債務整理手続きです。

任意整理を行う際には、債務者(またはその代理人弁護士)が債権者に連絡して交渉を行います。裁判所を通さずに、シンプルな手続きで行うことができるのが任意整理の大きな特徴です。

(2)裁判所を通じたその他の債務整理手続き

任意整理以外の債務整理手続きとしては、「特定調停」「個人再生」「自己破産」の3つが挙げられます。これらはいずれも、裁判所を通じて行う債務整理手続きです。

①特定調停

調停委員が仲介者として、債権者と債務者の間の和解をサポートします。

②個人再生

債権者が決議し、裁判所が認可する再生計画に基づき、原則として債権者全員との間で債務の減額や返済スケジュールの変更などを行います。

③自己破産

財産の処分と引き換えに、原則として債務全額が免除されます。

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2. 裁判所を通さずに債務整理を行うメリット

裁判所を通さずに債務整理(任意整理)を行うことには、主に以下のメリットがあります。

  1. 短期間で手続きが完了する
  2. 整理する対象債務を自由に選択できる
  3. 裁判手続きの費用がかからない
  4. 財産が処分されない

(1)短期間で手続きが完了する

個人再生や自己破産は、手続きが完了するまでに数か月を要するのが一般的です。

これに対して任意整理は、利息・遅延損害金のカットなどに関する債権者との交渉がスムーズにまとまれば、比較的短期間で債務負担を軽減できる可能性があります。

(2)整理する対象債務を自由に選択できる

個人再生や自己破産の場合、原則としてすべての債務が整理の対象です。

これに対して任意整理の場合は、整理する債務を債務者が自由に選べます。
たとえば「友人からの借金はきちんと返したい」「保証人に迷惑をかけたくない」などと考える場合は、任意整理によってその希望を叶えることができます。

(3)裁判手続きの費用がかからない

個人再生や自己破産では、裁判所に対して数十万円の予納金を納めなければなりません。

これに対して、任意整理は裁判所を通さずに行うため、裁判所に納付する費用が発生せず、ほぼ弁護士費用の負担だけで済みます。

(4)財産が処分されない

自己破産では、一部の例外を除いて債務者の財産が処分されます。個人再生でも、担保権が設定されている財産は処分されてしまいます。

これに対して、任意整理では財産が処分されないため、生活への悪影響を最小限に抑えることが可能です。

任意整理のメリットとデメリットとは?

3. 任意整理は弁護士なしでもできるのか?

任意整理は弁護士に依頼せずに行うこともできますが、債務者自身で対応することにはリスクもあります。
任意整理について不安がある場合には、弁護士に対応を依頼する方が安心です。

(1)弁護士による代理は必須ではない|自分で任意整理をすることも可能

任意整理の交渉に当たって、弁護士を代理人に立てることは必須ではありません。債務者本人が債権者に連絡を取り、自分で任意整理の交渉を行うこともできます。

債務者自身の交渉によって任意整理がまとまれば、ほとんど費用をかけずに債務負担を軽減することが可能です。

(2)弁護士なしで任意整理をすることのリスク

ただし、弁護士に依頼せずに任意整理を行う場合には、以下のようなリスクが生じます。

①貸金業者の取り立てが止まらない

弁護士による受任通知の発送が行われないため、任意整理の交渉中も貸金業者の取り立てが止まりません。

②交渉が決裂しやすい

適切な内容の減額提案ができない、債権者側の提案を受け入れるべきかどうか判断できないなどの理由により、任意整理の交渉が決裂しやすい傾向にあります。

③十分な減額が得られない・過払い金を取り戻せない

任意整理による適正な減額条件を把握していないと、十分な減額が得られないおそれがあります。
また、過払い金の返還を請求できる場合でも、その金額を正確に計算することができず、適正額の過払い金を取り戻せないおそれがあります。

(3)任意整理に不安がある方は弁護士に相談を

任意整理は債務者自身で行うこともできますが、さまざまな落とし穴に注意しなければなりません。少しでも不安がある場合は、弁護士のサポートを受けるのが安心です。

まずは弁護士の無料相談などを利用して、どのように債務整理を進めるべきかについてアドバイスを求めましょう。

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